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玉三郎が語る大阪松竹座「坂東玉三郎 初春特別舞踊公演」
2018年1月2日(火)から始まる、大阪松竹座「坂東玉三郎初春特別舞踊公演」について、玉三郎が語りました。
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お楽しみの「口上」から賑やかな『元禄花見踊』へ
4年ぶりに大阪松竹座の正月の幕を開ける玉三郎。「おめでとうございますと、この舞踊公演の思いと、今の自分の思いを『口上』で。前回は暮れから風邪をひいて声が出ず、舞踊公演でせりふがなかったので無事に勤められましたが、このたびは風邪をひかずにお正月を迎えたいと思います」と、ユーモアたっぷりに語りました。声が出なかったことで、共演の七之助に途中でマイクを渡したこともあり、「お客様も親しみを持ってくださったようです。今回は、裃を着ての『口上』ですが、楽しいところもあっていいのでは」と、期待させました。
『元禄花見踊』は平成16(2004)年12月、歌舞伎座で上演するために「出雲の阿国の物語を入れ込んで、『阿国歌舞伎夢華(おくにかぶきゆめのはなやぎ)』という大きな出し物にしました。そのとき花見踊りの曲を一部入れていたのを、昨年9月、今度は阿国を抜いて純粋な花見踊りにして、歌舞伎座で上演させていただきました」。八千代座では一人で踊りましたが今回は、玉三郎と壱太郎だけでなく、「全部で10人ぐらいにして華やかに」と、ここでも正月気分を楽しめそうです。
大きな劇場で見せるためにつくられた舞踊
『秋の色種(あきのいろくさ)』は昨年11月、「八千代座公演で花柳壽輔さんに振付をお願いし、一人の踊りにして上演しました。今年10月の歌舞伎座で梅枝さん、児太郎さんと三人で踊り、二人には琴を弾いていただきました。今回もその形をとって壱太郎さんに弾いていただきますが、細かいところはまだこれからです」と、開幕が待ち遠しくなるひと言。
「虫の合方と琴の合方のところは、もともと曲を聴かせるようになっていて、踊りにくい。虫の合方で、虫の音を聞きながら二人が出会う形になり、琴の合方は初演のときは、一人だったので裏で衣裳を替えていましたが、10月は琴を弾くことにしました」。この『秋の色種』にしても、長唄の『吉原雀』にしても、「曲がよくでき過ぎていて、なかなか踊ることはできなかった」と言います。そんななか、舞踊公演を長く続けてきた玉三郎だからこそ、お客様に目新しいものをお見せしようと挑戦し、再演を重ねるほどの舞台にしてきました。
『鷺娘』は、踊りたいと「秘かにもくろんでおられた(笑)」壱太郎が、本興行では初役で勤めます。「古典的なしっとりしたものというより、派手な出し物として演じられてきたので、いろいろな『鷺娘』があっていいと思う。吾妻流の『鷺娘』もあるでしょうし」と、吾妻流家元でもある壱太郎に期待を寄せた玉三郎。「次代の方に踊っていただくことが素晴らしいと思っております」。
一年の始まりらしく四季を感じる演目で
切は『傾城』で、日生劇場で平成23(2011)年10月に、『英執着獅子』の一部を入れて大きな劇場の出し物にして初演、翌年6月の南座、今年の正月には歌舞伎座でも上演。「傾城の風情を踊るだけなのですが、『籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)』の縁切りに出てくる〈風薫る…〉のところが有名です。秋を表すところもあり、襖の向こうは雪で冬ですし」と、四季を感じられる、一年の始まりにふさわしい曲です。
公演全体も、『元禄花見踊』で春の花見の賑やかさを、『秋の色種』は月、草、虫で秋を見せ、『鷺娘』の雪の降りしきる冬があり、『傾城』の〈風薫る…〉で夏が感じられるようになっており、新年の四季を見晴らすかのようなひとときをお過ごしいただけます。
若手への大きな期待
この公演で玉三郎とともに踊るのが壱太郎。大人になったという思いが強くなったと言う玉三郎は、「ゆだねられるところもあり、頼れるところもあって、私もありがたい」と述べました。日頃から教えを乞いに来る壱太郎については、「たいへん勉強家。関西の味が強い」との印象。一昨年の6月博多座の『芸道一代男』では、「裾をからげて芝居をしているときに足元がとてもきれいで、かなり踊りの勉強をしているだろうと思いました。きちっとなさっていたのが、うれしかった」と語りました。
「あえて伝えようとしなくても、一緒にいればいいんじゃないか。なし崩しに伝える、とおっしゃった方がいましたが、的を射ているなと。聞かれたら全部言う、聞かれなければ黙っている。これがいいと思います」。若手に対する厳しくも温かい視線は、きっとこの正月の大阪松竹座の舞台にも、大きな花を咲かせてくれることでしょう。
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正月らしく「劇場に入ったら楽しい気分になっていただきたい」との玉三郎の思いもあって、今回も獅子舞をはじめ、ロビーから賑やかなしつらえでお客様をお迎えします。大阪松竹座「坂東玉三郎 初春特別舞踊公演」は、1月2日(火)から26日(金)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹、チケットWeb松竹スマートフォンサイト、チケットホン松竹で、12月5日(火)発売予定です。