京都・南座で「まねき上げ」

南座まねき上げ

▲ 最後に「片岡仁左衛門」の“まねき”を上げ、すべての“まねき”が揃いました

 


 11月30日に初日を迎える、京の年中行事『當る子歳 吉例顔見世興行』恒例の“まねき上げ”が11月24日~25日にかけて行なわれ、年の瀬の装いを終えた南座がいっそう華やかになりました。

 劇場正面に飾られているのは“まねき看板”。江戸時代、劇場前を文字や絵を使って飾った宣伝に由来する看板で、上部に庵形が付き、勘亭流の俳優の名前と紋が記されています。毎年南座の顔見世興行ではこの“まねき看板”を上げ、それは京都の冬の風物詩にもなっています。

 さてこの作業、実は20人近い鳶職人が、日をまたぎ深夜作業で行なっています。“まねき”を飾る下地は竹で作られていますが、その下地作りの作業だけで深夜12時ごろまで。続いて、一枚一枚の“まねき”を手で上げて、全体の位置のバランスを確認しながら、しっかりと固定していきます。ほとんどの“まねき”があがったのは、東の空が明るくなる頃…もちろん南座のスタッフも徹夜で作業を監督します。

 明朝午前9時、最後に「片岡仁左衛門」のまねきを上げて、すべての作業が無事に終了。最後は一般のお客様も一緒になって清めの塩をまき、興行の無事を祈りました。

 今年の『當る子歳 吉例顔見世興行』は、二代目中村錦之助襲名披露ともなり、坂田藤十郎、中村富十郎、尾上菊五郎の人間国宝をはじめ、松本幸四郎、片岡仁左衛門、中村梅玉、片岡我當、市川左團次、片岡秀太郎ら人気の役者が勢揃いし、豪華な舞台が繰り広げられます。

 ちなみに、中村錦之助のまねき看板が南座にあがるのは、なんと昭和27年以来55年振りのこと。歌舞伎発祥の地に建つ京都・南座ならではの伝統を感じる“まねき上げ”。一層華やかな南座で、京の年中行事『當る子歳 吉例顔見世興行』をぜひお楽しみ下さい。


京都・南座の「まねき書き」始まる

南座まねき上げ

▲ “まねき”を上げる作業は一晩中続きます

 

南座支配人らによって清めの塩がまかれます(写真左上)
  “まねき上げ”には大勢のお客様が詰めかけました(写真右上)
  左上に「中村錦之助」の“まねき”が見えます(写真下)

 

2007/11/28