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幸四郎が語る、博多座「二月花形歌舞伎」

幸四郎が語る、博多座「二月花形歌舞伎」

 

 2024年2月3日(土)に開幕する博多座「二月花形歌舞伎」に出演の松本幸四郎が、公演に向けての思いを語りました。

親子で挑む、『江戸宵闇妖鉤爪』

 来年25周年を迎える博多座。その記念すべき年の「二月花形歌舞伎」に、幸四郎と市川染五郎の親子が出演します。幸四郎は、「母の故郷が博多で、その血が半分流れている私にとって、博多は第二の故郷のようなところです。また博多座はあらゆる面で最先端の劇場で、これほど懐の深い劇場はないと思っています。今回は息子の染五郎が初めて博多座に出演させていただくこともあり、今から気分が高揚しています」と、博多座出演の喜びを表します。

 

 上演されるのは、江戸川乱歩の小説「人間豹」を原作とした『江戸宵闇妖鉤爪(えどのやみあやしのかぎづめ)』。幸四郎の発案から構想10年、父・松本白鸚が演出を手がけ、平成20(2008)年に初演された新作歌舞伎です。「自分でも何か新作歌舞伎をつくれるようになりたいと思っていた頃に、江戸川乱歩を題材にすることで、歌舞伎のもつ豪華絢爛、勧善懲悪な世界観ではなく、モダンな歌舞伎ができるのではないかと思い立ちました。自分が一から手がけた最初の作品です」と、初演当時を振り返ります。

 

 “人間豹”と呼ばれる半人半獣の殺人鬼・恩田と、明智小五郎との対決を軸に描かれる本作。初演時に明智を白鸚、恩田を幸四郎が演じましたが、今回は明智を幸四郎、恩田を染五郎が演じます。「なぜ悪に染まったのかもわからない人間豹という存在の不思議さ、そして“正義の人”ではない明智小五郎と、善悪の構図がはっきりしないところが演じるうえでは難しいですが、新たな歌舞伎のキャラクターだと思っています」と、作品の魅力を語ります。

 

幸四郎が語る、博多座「二月花形歌舞伎」

 

博多座でおおいに楽しんで 

 初演当時、念願の上演を終えた幸四郎は、「歌舞伎になるのは必然だったと感じました。乱歩作品はインテリ、モダンなイメージがありますが、どこかに艶やかな美しさが感じられる世界観がある気がします。男女ともに色気のあるキャラクターも多いですし、美しさは歌舞伎にも必要不可欠なことですので、その点が結びついたのかなと思います。また乱歩の小説の舞台はだいたい下町で、それがまた乱歩作品が読者に近い存在である理由だと思います」と、乱歩作品と歌舞伎の親和性を感じたといいます。

 

 今回の上演のみどころは、「染五郎が人間豹をやることですね。とても好きなお芝居で映像も何度も見ているようですし、小説もよく読んでいます。そんな染五郎が博多座初お目見得でこの大きなお役をやる。プレッシャーをかけるわけではないですが、びっくりさせてほしいと思っています」と、語る幸四郎。親心をのぞかせる一方、自身が演じる明智については、「完璧主義で頭脳派というわけではなく、わからないことを楽しんで、明智自身もどんどん人間豹にのめりこんでいく。その過程をお見せできるとスリリングになるのでは」と、役を紐解きます。自身にも似たところがあるという幸四郎が見せる明智に、今から期待が高まります。

 

 続いて、歌舞伎では初上演となる舞踊『鵜の殿様』。「今年初めて舞踊公演でこの作品を知り、お芝居の要素もあり、歌舞伎公演で上演できる作品だと思いました。太郎冠者と大名の二人が本当によく踊り、『江戸宵闇妖鉤爪』とは対照的な、華やかで、賑やかで、笑っていただける作品です」と、微笑みます。最後に、博多座に足をお運びくださるお客様へ、「博多座は特別な場所です。笑ったりハラハラしたり、ファンタジーな世界を存分に感じていただければと思っています」と思いを込めて呼びかけ、締めくくりました。

 博多座「二月花形歌舞伎」は、2月3日(土)から18日(日)までの公演。チケットは12月9日(土)より、博多座オンラインチケット、電話予約センター、劇場窓口ほかで発売予定です。

2023/11/20