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博多座「二月花形歌舞伎」節分に迎えた初日
2024年2月3日(土)、博多座「二月花形歌舞伎」が初日を迎え、開幕前に出演者が櫛田神社で節分の「豆まき神事」に参加しました。
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博多座にも近い、櫛田神社で行われた節分厄除大祭の「豆まき神事」。今年は松本幸四郎、市川染五郎、河合雪之丞、大谷廣太郎、澤村宗之助、松本錦吾、市川高麗蔵が参加しました。幸四郎は今回上演する演目を紹介し、「歴史の浅い作品ですが、博多を発信として、これから長い歴史をつくる始まりだと思って、劇場に足をお運びください」と呼びかけ、「精一杯熱い舞台を勤めさせていただきます」とご挨拶。出演者たちが力いっぱいまく豆を受け取ろうと、入場規制がかかるほど多くの参拝客でひしめく境内は、すっかり熱気に包まれました。
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豆まきを終え、出演者一同は、博多座「二月花形歌舞伎」の初日の舞台へ。最初の幕は、江戸川乱歩原作、九代琴松(松本白鸚)が演出し平成20(2008)年に国立劇場で初演、平成23年(2011)年に大阪松竹座で再演された『江戸宵闇妖鉤爪(えどのやみあやしのかぎづめ)』です。端正な神谷芳之助(染五郎)から早替りした恐ろしい容貌の人間豹・恩田乱学(染五郎/2役)が起こす最初の殺人に誰もが息を吞むなか、染五郎が書いた題字がデザインされた幕が現れ、場内は一気に乱歩歌舞伎の妖しい世界へ。明智小五郎(幸四郎)の意外な登場、笑いと緊張が混じる客席を使った演出など、物語が次々と展開し、明智と恩田の対決へと突き進んでいきます。原作を歌舞伎に落とし込んだみごとな演出、フライングや躍動感のある立廻りが観る者を惹きつけます。クライマックスの大凧や傘を使った“筋交い”の宙乗りでは、人間豹が圧倒的な存在感を放って客席上空を大胆不敵に飛び去り、観客が興奮に沸くなかで幕となりました。
続いては、打って変わってユーモラスな舞踊劇の『鵜の殿様』。今回、初めて歌舞伎として上演される本作では、太郎冠者を幸四郎が、大名を染五郎が勤めます。わがままな大名が、太郎冠者に鵜飼の様子を教えるように頼むと、太郎冠者は大名の首に縄をかけたうえ、「鵜の獲物は鵜匠の物」と、大名の酒や御膳を飲み食いし、踊り出します。縄に引かれて散々に踊らされた大名は、今度は太郎冠者に縄をかけ…。鵜匠と、縄で引っ張られる鵜の動きを息の合った舞で見事に表現し、七転八倒する二人の姿に、客席も絶えず笑い声と拍手に包まれました。
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劇場内のあちこちにしかけられている“人間豹の残した痕跡”の装飾や、折りたたんで遊べるトリックチラシにもご注目ください。博多座「二月花形歌舞伎」は、18日(日)までの公演。チケットは、博多座オンラインチケット、電話予約センター、劇場窓口ほかで販売中です。