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「團菊祭五月大歌舞伎」七代目丑之助初舞台の祝幕意匠を発表
歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」の『絵本牛若丸』七代目尾上丑之助初舞台にお目見得する祝幕の意匠が発表されました。
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令和最初の歌舞伎座公演、「團菊祭五月大歌舞伎」で、寺嶋和史が七代目尾上丑之助(うしのすけ)を名のって初舞台を勤めます。その初舞台を祝し、宮崎駿監督の意匠による祝幕が、株式会社長谷川萬治商店提供で、飾られることが発表されました。
12月新橋演舞場『風の谷のナウシカ』の縁で、今回、「鈴木さんのお力をお借りして、祝幕を宮崎駿監督にお描きいただきました」と、喜びをかみしめるように話した菊之助。「音羽屋にとっても和史にとっても、本当に果報なことです。この絵を初めて見させていただいたとき、とても元気な躍動感あふれる作品だと感じました。宮崎監督が、そういう躍動感を込めてお描きになった絵でございますので、和史も、その力にあやかって、元気ではつらつとした初舞台の牛若丸をさせていただきたいと思っています」と続けました。
祝幕の絵のなかには、元気な牛若丸とどっしりと構えた弁慶が五条大橋の上に並びます。「宮崎監督が、牛若丸と弁慶を描いてくださったので、ここは弁慶が出ないわけにはいかないだろうと、一大決心をして、(予定していた)御厩鬼三太ではなく、武蔵坊弁慶を、和史の初舞台で勤めさせていただくことになりました」。菊之助の弁慶は初役です。
鈴木敏夫スタジオジブリ代表取締役プロデューサーは、「今回、菊之助さんから祝幕用に絵を1枚描いてほしいと言われたとき、これは何がなんでも宮崎に描いてもらわなきゃならない」と思ったと明かします。そして、「宮崎が、どういう絵なんだろうと言ったとき、やっぱり牛若丸といったら五条大橋で、そこに牛若丸と弁慶がいるだろうと。演目の内容と、多少違いがあっても、象徴的な絵としてはそれがあるんじゃないかと、彼に話しました」。すると、宮崎監督は鈴木氏の目の前で、すぐにラフ画を描き始めたと言います。最初は、五条大橋を渡る、道具を何も持たない弁慶を描きましたが、「史実や物語とは違っても、弁慶が何を持っていたのか、絵としてはそれが1つのポイントになるんじゃないか」と、弁慶の七つ道具を背負わせた原画が出来上がりました。「本当に偶然ですけれど、和史君に会ったとき(絵の中の牛若丸と)本当に似ていて、僕もびっくりしました。和史君と、こういうきっかけで知り合いになって、本当にいい機会になった」と、和史と会ったときのことを思い出して、鈴木氏は笑顔を見せました。
和史は、自分に似ている牛若丸の絵を初めて見たとき、喜んで、繰り返し「これ、僕?」と菊之助に聞いてきたと言います。初舞台に向けての稽古は、「進んでいます。立廻りあり、せりふあり、最後は幕外の六方も試みようと思っています。それを一つひとつ、今、丁寧に稽古しているところです」。弁慶に付き添われ、源氏再興のために旅へ出る、七代目丑之助の元気な牛若丸に、期待がふくらみます。
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歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」は5月3日(金・祝)~27日(月)までの公演。ロビーでは原画の掛け軸も展示予定です。チケットは、チケットWeb松竹、チケットホン松竹で販売中です。