藤十郎、鴈治郎がお初天神で『曽根崎心中』成功祈願
1月19日(月)、大阪松竹座 「二月大歌舞伎」で、『曽根崎心中』に出演する坂田藤十郎と中村鴈治郎がお初天神を参詣し、成功祈願祭を行いました。
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大阪キタの曽根崎にある露天神社(つゆのてんじんしゃ、通称 お初天神)は、『曽根崎心中』に登場するお初と徳兵衛が、元禄16(1703)年に心中事件を起こした天神の森があった場所として知られます。境内には石碑やお初と徳兵衛が仲よく並んだブロンズ像もあり、多くの参詣客が訪れています。
「中村翫雀改め四代目中村鴈治郎襲名披露」の公演が続く大阪松竹座では、 「二月大歌舞伎」の夜の部で『曽根崎心中』を上演、藤十郎が“アンコールにお応えして”お初を、新鴈治郎が徳兵衛を勤め、昭和55(1980)年南座の吉例顔見世興行以来35年ぶりに、徳兵衛役に鴈治郎の名が復活します。
本殿での成功祈願祭を終え、大晦日にもお初天神に手を合わせたという藤十郎は、「襲名披露で『曽根崎心中』。お初さんが呼んでくれたのかな」と笑顔を見せ、「鴈治郎の徳兵衛とのコンビ、なにかお初さんに報告していても、うれしい気持ちでした」と語りました。
「鴈治郎になってから初めて来させていただきました。祖父(二代目鴈治郎)の思いが込められた役を、鴈治郎の名前でさせていただくのがうれしい。二代目と『曽根崎心中』は切っても切れない、特別な演目です。うちの芸とうたっているわけでもないですが、節目節目に『曽根崎心中』がある気がします」と、感慨深く語った鴈治郎。
初めて徳兵衛を勤めたのは昭和55(1980)年12月、南座の吉例顔見世興行で二代目鴈治郎の代役で、21歳のときのことでした。「祖父が初めて演じた51歳も超えているし、自分なりのものもありますが、祖父の心を受継いでやらせていただきたい」と意欲を見せました。
また、藤十郎は、「曽根崎に来ると、やはり“帰って来たな”という気持ちになりますね。襲名ということで、お初として、違った徳兵衛さんで違った『曽根崎心中』になる気もして、何度もご覧になっているお客様にも“違うものなのではないか”と感じていただけるんじゃないかと思いますね」と、最後まで笑顔を絶やさず、新たな徳兵衛を相手に新たなお初をと、意気込みを見せました。
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大阪松竹座「二月大歌舞伎」は2月1日(日)~25日(水)の公演、チケットは、チケットWeb松竹、チケットホン松竹にて販売中です。