京都南座「三響會」 三兄弟が語る公演への思い

京都南座「三響會」 三兄弟が語る公演への思い

 8月3日(月)4日(火)、京都南座では3回目となる亀井広忠、田中傳左衛門、田中傳次郎三兄弟による「三響會」が開催されます。今年は十一世田中傳左衛門十三回忌追善の「江口」二題、観世清和の「安宅 延年ノ舞」と中村富十郎の「滝流し」という2人の至芸、野村萬斎と市川染五郎の共演が楽しみな「二人三番叟」と見逃せない舞台が揃っています。話題の公演に先立ち、亀井広忠、田中傳左衛門、田中傳次郎の三兄弟が舞台への思いを語りました。

京都南座「三響會」 三兄弟が語る公演への思い 亀井広忠―――

 今年も京都南座で「三響會」を開催させていただきますこと、大変ありがたく思っております。

 『江口』では、初日に観世喜正さん、二日目に片山清司さんにご出演いただきます。片山清司さんは私とは兄弟弟子の関係で、近い世代のシテ方としても関西で1、2の実力の持ち主だと思います。また、観世喜正さんには初回からこの「三響會」にご出演いただき、ご尽力をいただいており、お二人による楽しみな舞台がお見せできると思っています。

 『安宅 延年ノ舞』には、観世流の家元観世清和師にご出演いただきます。能楽の至芸をお客様にはぜひご覧いただきたいと思っておりますし、私も胸をお借りして『延年ノ舞』の囃子を勤めさせていただきたいと思っています。

 『二人三番叟』は野村萬斎、市川染五郎のお二人が、『三番叟』という共通の演目のもと、同じ舞台に立たれて、同じ舞台で舞う。その仲立ちをするのが我々三響會である、ということに非常に誇らしさを感じています。

 『江口』『安宅 延年ノ舞』『三番叟』と全て力の使い方が違っていて、演者としても非常に辛い演目が続きますが、南座という劇場で、どうお客様に観ていただけるか、我々演者と、劇場と、お客様と、3つがどの様に響き合うか、今からとても楽しみにしています。

京都南座「三響會」 三兄弟が語る公演への思い 田中傳左衛門―――

 今年は祖父・十一世傳左衛門十三回忌にあたりますが、12年前の平成9年3月に祖父が亡くなり、その秋に第1回の三響會を開催させていただいた事もあって、今年の公演には特に深い思いがございます。

 『時雨西行』は祖父が大変好きだった曲で、追善の題材としても相応しい曲だと思っています。若柳吉蔵さん、尾上青楓さんには初めて三響會にご出演いただくのですが、藤間勘十郞宗家に振りを付けていただき、片岡孝太郎さんの歌舞伎舞踊と、お二人による日舞の対比をお楽しみいただければと思っております。『滝流し』には中村富十郎丈に特別出演していただきます。祖父の追善ということで出演をご快諾していただいた富十郎丈に、胸をお借りするつもりで勤めたいと思っています。

京都南座「三響會」 三兄弟が語る公演への思い 田中傳次郎―――

 三響會ではサプライズを企画することが多いのですが、今回の公演では夜の部の『安宅 延年ノ舞』で父(人間国宝・亀井忠雄)に出演していただきます。我々子供として、自分たちの「三響會」という舞台の中に父の演奏を残し、そして見てみたいという思いがあります。こういった演出も、自分たちで演奏の場を作っていく三響會ならではの楽しさではないでしょうか。

 『二人三番叟』は能と歌舞伎を対比し融合するという三響會らしい演出になっています。さらに"鈴渡し"として茂山逸平さんにも、歌舞伎で言うところの"ご馳走"としてご登場いただきます。

 3回目という区切りの公演で三響會の集大成をお見せし、さらなる飛躍を目指して挑戦していいきたいと思っています。

【公演情報】
 平成21年8月3日(月)・4日(火)南座「三響會」

【関連ページ】
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2009/07/21