海老蔵「四国こんぴら歌舞伎」記者会見
第二十四回『四国こんぴら歌舞伎大芝居』の公演が、平成20年4月5日(土)より23日(水)までの19日間(38回公演)行われます。
旧金毘羅大芝居(金丸座)は、天保6年(1835)に建築された現存する日本最古の本格的芝居小屋で、昭和45年(1970)には国の重要文化財の指定を受けています。その旧金比羅大芝居で行われる「四国こんぴら歌舞伎大芝居」は昭和60年(1985)6月の初公演以来毎年開催され、全国の歌舞伎ファンを魅了し続けています。
今年は、瀬戸大橋開通二十周年の記念にふさわしく、市川海老蔵をはじめとする豪華な顔ぶれが揃います。公演に先立ち、市川海老蔵が製作発表を行いました。
▼
市川海老蔵―――
「四国こんぴら歌舞伎大芝居」は、今回で4回目の出演になります。金丸座は大変好きな劇場で、以前、自然を感じながら舞台に出ていくという、他の劇場ではできなかった経験をして、それがとても印象に残っています。そして、いつかこの劇場で『暫』を勤めてみたいと思っておりましたが、このような形で現実となり、感謝の気持ちで一杯でございます。
江戸時代の錦絵に、お客様も、舞台で並ぶ役者もぎゅうぎゅう詰めになっている芝居小屋の中で、一人大きく舞台の上で演じている鎌倉権五郎が描かれたものがあったんです。江戸時代の芝居はまさにこんな感じで、時には劇場の外にまで声が響いていたのではないか・・・そういうことが、歌舞伎役者として実現できたら、その夢を自分で体感してみたい、というのが、この金丸座で『暫』を勤めさせていただきたいとおもった最初のきっかけです。
『暫』は、海老蔵襲名で初めて勤めさせていただきましたが、その時、父の團十郎が病気になりまして、その分、非常に思い入れのある役です。市川家に代々受け継がれている演目をきちんと勤めさせていただきたいと思っています。
第二部の『夏祭浪花鑑』の団七九郎兵衛は初役で勤めます。大変魅力的な役で、若い俳優としては、挑戦したい演目の一つに皆さんが挙げるのではないでしょうか。
金丸座は自然や天候がとても影響する劇場で、ちょうど今回この演目が上演されるのは、少し夕方になりつつある時間帯だと思うんです。その中で最後の立ち回りを迎えて、その場面がちょうど良い時間に自然と重なっていく・・・もちろん古典の形で演じますが、そのリアルな感覚が伝わるようにできたら面白いのではないかな、と思っています。
『夏祭浪花鑑』では、お辰も演じます。お話を伺ったとき、ちょっと迷いました(笑)。あまり女方の経験がないので・・・がんばりたいと思っています。
琴平の思い出―――
地方の中で最も好きな場所なんです。相性が良いと言いますか、力が湧き出てくる・・・これは金比羅様のご加護かもしれませんね。
朝起きて、東京では味わえない美味しい空気が流れている、そして季節柄、桜が満開なんですよ。ほのかに桜の薫る中で目覚め、“よし今日もお芝居がんばろう”と、そして温泉に入って、10分ほどトレーニングをしてから劇場に向かうんです。こんな贅沢なこと、他ではないです(笑)。本当に有難いと思います。
食べ物といえば、うどん。これがね、やっぱり美味しいんですよ。ものすごく美味しくて、興行中、毎日食べていました(笑)。
座頭について―――
1月新橋演舞場の『雷神不動北山櫻』では歌舞伎公演とし、初めて座頭を勤めました。今回もそうですが、僕が倒れてしまったらどうにもならない訳ですよね。ですから、普段の公演よりも一層責任を感じています。
▼
19日間・38回公演というのは、これまでの公演での最長日数となります。海老蔵の父、團十郎の襲名と同じ年の昭和60年以来、毎年開催が続く 第二十四回『四国こんぴら歌舞伎大芝居』。満開の桜が取り囲む日本最古の芝居小屋での公演を、ぜひお楽しみに。