公演情報詳細
錦秋名古屋 顔見世 |
当公演は終了いたしました。
2016年10月2日(日)~26日(水)
劇場:日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール(中ホール)
演目と配役
昼の部
一、橋弁慶(はしべんけい)
武蔵坊弁慶 従者 牛若丸 | 彌十郎 廣太郎 萬太郎 |
二、壺坂霊験記(つぼさかれいげんき)
女房お里 座頭沢市 | 孝太郎 染五郎 |
森 鷗外 原作
宇野信夫 作・演出
三、ぢいさんばあさん
美濃部伊織 下嶋甚右衛門 宮重久弥 宮重久右衛門 久弥妻きく 石井民之進 山田恵助 柳原小兵衛 伊織妻るん | 仁左衛門 彌十郎 梅枝 萬太郎 新悟 松之助 亀鶴 亀蔵 時蔵 |
夜の部
一、菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)
寺子屋
松王丸 武部源蔵 戸浪 涎くり与太郎 百姓吾作 園生の前 春藤玄蕃 千代 | 仁左衛門 染五郎 梅枝 廣太郎 松之助 新悟 亀蔵 孝太郎 |
二、英執着獅子(はなぶさしゅうちゃくじし)
姫後に獅子の精 | 時蔵 |
矢田弥八 作
三、品川心中(しながわしんじゅう)
幇間梅の家一八 一八女房おたね 城木屋楼若い衆廣吉 城木屋楼女郎おそめ 大工の棟梁六三 | 染五郎 梅枝 廣太郎 新悟 亀鶴 |
みどころ
昼の部
一、橋弁慶(はしべんけい)
弁慶は従者から、五條橋に現れた少年が目にもとまらぬ太刀捌きであった話を聞き、その夜更けに五條橋でその少年を待ち伏せ、薙刀を振るいますが、牛若丸だとわかり威に服します。昔から有名な、五條橋の牛若丸と弁慶の出会いを舞踊にした作品です。勇猛な法師の武蔵坊弁慶が、優美な牛若丸(のちの源義経)に翻弄される立廻りが見どころです。
能の「橋弁慶」を題材として、軽やかさと力強さを備えた品格ある舞は、長唄とお囃子による勇壮な音楽とともに歴史絵巻となって目の前に繰り広げられます。
二、壺坂霊験記(つぼさかれいげんき)
西国三十三ヶ所の札所の一つ大和国壺坂寺の秘蹟を描いた『壺坂霊験記』は、明治時代に人形浄瑠璃として初演されました。病気のため盲目となった座頭沢市は、夜な夜な家を抜け出す女房お里を不審に思い問い質すと、お里は夫の目が治るよう壺坂寺の観音様に願をかけに通っていたと語ります。お里の気持ちを知った沢市は、二人で壺坂寺を詣でますが、祈りが通じず目が明かないことを嘆き、お里にこれ以上の苦労は掛けられないと、密かに滝壺に身を投げるのですが…。
妻による献身と愛の深さのおかげで観世音菩薩の功徳を受けるという、夫婦の深い情愛を描いた感動的な結末に心が温まります。
三、ぢいさんばあさん
江戸番町、美濃部伊織と妻るんは評判のおしどり夫婦。ところが伊織は喧嘩で負傷した弟の宮重久右衛門に代わり京でのお役目を命じられ、二条城在番を勤めることになります。翌年の桜時の再会を誓い別れる二人。それから3カ月後、泥酔して絡んできた同輩の下嶋甚右衛門を誤って斬ってしまった伊織は越前へ預かりの身となり、それを知ったるんは筑前へ奥女中奉公に出て、二人は離れ離れになってしまいます。それから37年の月日が経ち、伊織とるんはようやく再会することとなり…。
この作品は、森鷗外の短編小説をもとに、宇野信夫が脚色・演出を手がけ、時を経ても変らぬ夫婦の情愛が感動的な名作をごゆっくりご堪能ください。
夜の部
一、菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)
『菅原伝授手習鑑』は、『仮名手本忠臣蔵』『義経千本桜』と並ぶ歌舞伎の三大名作の一つとして知られ、菅原道真(菅丞相)の太宰府流罪を題材にし、今もなお絶大な人気を誇る義太夫狂言です。そのなかから『寺子屋』をご覧いただきます。武部源蔵は、妻戸浪と寺子屋を営みながら、菅丞相の子菅秀才をかくまっています。このことが時平方に発覚し、その菅秀才の首を差し出すように命じられた源蔵は、悩んだ末に、その日寺入りしたばかりの小太郎という子どもの首を検分役の松王丸に差し出します。なんとか窮地を切り抜け安堵する源蔵夫婦のもとに、小太郎の母千代が迎えに現れるので、源蔵が斬りかかるところに、最前の松王丸も姿を見せるのでした。実は、松王丸と千代夫婦は菅丞相の恩に報いるために、わが子を源蔵の元に差し向けることとなった苦しい胸の内を語り始めます。
緊張感がみなぎる義太夫狂言の一幕をご堪能ください。
二、英執着獅子(はなぶさしゅうちゃくじし)
宝暦4(1754)年に初代中村富十郎が江戸中村座で初演した長唄の舞踊で、女方が踊る獅子物の代表作です。永らく絶えていたのですが、昭和になって振りを復活しました。原点は能「石橋」で、文殊菩薩のおわす清涼山に自然と発生した石橋の謂われや、霊獣の獅子が牡丹に戯れているという伝説を仕組んだ舞踊です。前半は姫の姿で女心をしっとりと見せ、やがて荘厳な空気が漂う中、獅子の精となって現れると、牡丹を手に獅子の狂いを見せて舞い納めます。古風な長唄舞踊をお楽しみください。
三、品川心中(しながわしんじゅう)
主人公である幇間の梅の家一八は、妻おたねとある事情から実の子として育てている正吉の三人暮らし。千両の富くじが当たってから、金があるからといって稼業はそっちのけで、ばくちや女遊びをはじめ、せっかくの千両もみんな使い果たしてしまう始末に、女房おたねの苦労は絶えません。
そんな秋のある日のこと。一八は、自分が惚れている品川宿の城木屋楼の女郎おそめからの手紙を受け取って驚きます。おそめは、城木屋で長年人気を集めた遊女でありましたが寄る年波には勝てず客が減り、廓の年中行事で必要な金の工面ができなくなり、いっそひと思いに死のうというのでした。一八は、そんな手紙を真にうけて、金の心配をしつつ、ひょんなことから、おそめと心中の約束をしてしまいますが…。
名古屋では初めて上演する、落語を題材としたユーモアあふれる世話狂言にご期待ください。
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