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第二十七回 四国こんぴら歌舞伎大芝居

料金(税込)

  • 上場席(A席)13,000円
  • 中場席(B席)10,000円
  • 並場席(C席)7,000円

上演時間

  • 一谷嫩軍記
    熊谷陣屋

  • 幕間 30分
  • 天衣紛上野初花
    河内山

  • 御存鈴ヶ森

  • 幕間 20分
  • 藤娘

  • 幕間 25分
  • 湧昇水鯉滝
    鯉つかみ

演目と配役

第一部 (午前11時開演)

一、一谷嫩軍記
  熊谷陣屋(くまがいじんや)
熊谷次郎直実
藤の方
弥陀六
源義経
相模
染五郎
高麗蔵

門之助

二、天衣紛上野初花
  河内山(こうちやま)
松江邸広間より玄関先まで
河内山宗俊
高木小左衛門
宮崎数馬
北村大膳
腰元浪路
松江出雲守
幸四郎



高麗蔵

第二部 (午後3時開演)

一、御存 鈴ケ森(すずがもり)
幡随院長兵衛
飛脚早助
北海の熊六
東海の勘蔵
白井権八
幸四郎




二、藤娘(ふじむすめ)
藤の精

三、涌昇水鯉滝
  鯉つかみ(こいつかみ)
滝窓志賀之助/鯉の精
小桜姫
堅田刑部
粟津郷右衛門
呉竹
篠村次郎
染五郎

門之助

高麗蔵

みどころ

第一部(午前11時開演)

一、一谷嫩軍記
  熊谷陣屋(くまがいじんや)

 『一谷嫩軍記』(いちのたにふたばぐんき)は宝暦元年(1751)に大坂豊竹座で初演された時代物の人形浄瑠璃で、浅田一鳥、並木宗輔、並木正三らの合作と言われています。全五段の物語の中で、『熊谷陣屋』は三段目に当たり、平家物語で有名な一の谷の合戦での熊谷直実と平敦盛の組打(くみうち)の場面を題材にしながら、平家物語とは異なる意外な展開が描かれているのが、この作品の特徴です。物語は陣屋の桜の若木の傍らの「一枝を伐らば、一指を剪るべし」という制札がモチーフとなって、物語は展開します。
 最初の眼目は、熊谷が妻の相模と敦盛の母の藤の方を相手に、敦盛の首を討った様子を語る「物語」で、義太夫に乗せて戦の様子を再現するのが、見どころとなっています。
 続いて義経が敦盛の首実検をする場面となります。義経の意向を受け、敦盛の身替りとして我が子を犠牲にした熊谷の悲劇が明らかになります。首を見て驚く相模と藤の方を制する「制札の見得」は、数ある歌舞伎の見得の中でも有名な見得の一つです。
 最後は、我が子を犠牲にした熊谷が武士を捨てて出家をする場面で、「十六年は一昔、夢だ夢だ」と、世の中の無常、人生の儚さを語ります。
 有為転変の世の中で、それぞれの登場人物の想いが交錯していく悲劇の一幕を染五郎の熊谷直実、芝雀の相模でご覧いただきます。

二、天衣紛上野初花
  河内山(こうちやま)

 明治の初め頃、人気を博した講談を河竹黙阿弥が劇化。『天衣紛上野初花』(くもにまごううえののはつはな)として明治14年(1881)4月東京新富座で初演。交錯する人間模様を生き生きと描いた黙阿弥円熟期の代表作です。
大店の質屋の娘浪路は奉公に上がった松江侯から妾になれと迫られ、監禁されてしまいます。大名相手ではなす術もないと困り果てているところに、江戸城に仕えるお数寄屋坊主の河内山が、大金と引き換えにその救出を請け負います。上野寛永寺の使僧に化けて松江邸に乗り込んだ河内山は、松江侯をやんわりと脅し、ついに浪路を帰すことを承諾させます。帰り際、河内山と見破られ、その場に居直って啖呵を切る「悪に強きは善にもと」という七五調の名台詞は聞きどころで、この作品の最大の見せ場です。
 平成21年9月の歌舞伎座さよなら公演と同じ幸四郎の河内山と梅玉の松江侯という充実の配役でお楽しみ頂きます。

第二部(午後3時開演)

一、御存 鈴ケ森(すずがもり)

 この作品は四世鶴屋南北作の『浮世柄比翼稲妻』(うきよづかひよくのいなずま)という長いお芝居の一場面で、初演は文政6年(1823)3月江戸市村座でした。舞台は鈴ケ森の題目塚前。雲助たちが今日の獲物として飛脚に襲いかかりますが、そこにお尋ね者の白井権八が現れ、雲助たちを次々に斬り倒します。
 この様子を見守っていた幡随院長兵衛が「お若えの、待たっせえやし」と呼び止めてからの権八とのやり取りは、大きな見どころで、台詞の聞きどころでもあります。今回は梅玉の権八、幸四郎の長兵衛という配役で、歌舞伎の魅力を凝縮した名作をご覧いただきます。

二、藤娘(ふじむすめ)

 『藤娘』は、文政9年(1826)江戸中村座で、二世関三十郎が踊った五変化舞踊『歌へすがえす余波大津絵』(かえすがえすなごりのおおつえ)の中のひとつで、まさに絵から抜け出した藤娘が踊るという趣向でした。後に六世尾上菊五郎が昭和12年(1937)に歌舞伎座で踊った際、娘姿の藤の精が踊るという趣向に変え、その装置や演出を改めました。リズミカルな音調で、前半部では若い娘が男心のつれなさや恋する女心をしっとりと踊り、中盤では酒に酔った娘の色っぽさをつややかに見せ、最後は一転して賑やかな踊り地となります。芝雀が女方の舞踊の名作をご覧にいれます。

三、涌昇水鯉滝
  鯉つかみ(こいつかみ)

 明治9年の大火で道頓堀が全焼した後、再建した角座の柿落とし公演は『新舞台清水群参』(しんぶたいきよみづまうで)という通し狂言でした。この時の初代市川右団次(後に初代市川斎入)の"鯉つかみ"の芸が好評を博し、ケレン味たっぷりのこの舞台は大評判を呼びました。その後二代目市川右団次が受け継ぎ、大正年間まで演じました。昭和になり、33年8月大阪毎日ホールにて三世實川延若主演、48年8月南座にて片岡我當主演で上演されました。
 物語は琵琶湖畔で始まります。釣家の小桜姫がほたるを追ううち、腹痛を訴えると湖水の彼方から美しい稚児姿の滝窓志賀之助が現れました。志賀之助が姫に薬を与えるとその薬が効いて姫は元気を取り戻します。しかしその正体は先祖の積年の恨みを晴らそうとしている鯉の精の化身でした。やがて本物の志賀之助が鯉退治に乗り出します。今回の公演は実に40年ぶりの上演となり、染五郎の鯉の精、滝窓志賀之助の二役、芝雀の小桜姫で上演いたします。

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