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陽春大歌舞伎

陽春大歌舞伎

当公演は終了いたしました。

2008年4月1日(火)~25日(金)

昼の部 午前11時~
夜の部 午後4時~

劇場:御園座

料金(税込)

  • 一等席15,000円
  • 二等席9,000円
  • 三等席4,500円
  • 特別席17,000円
  • 特別室 東(4名)68,000円
  • 特別室 西(3名)51,000円

演目と配役

昼の部

一、ひらかな盛衰記(ひらがなせいすいき)

源太勘當

梶原源太景季
腰元千鳥
梶原平次景高
母延寿
     染五郎
     
     
     
二、鬼平犯科帳(おにへいはんかちょう)

大川の隠居

大川端船着場の場より
今戸橋船宿嶋やの場まで
長谷川平蔵
船頭友五郎
小房の粂八
木村忠吾
長谷川久栄
岸井左馬之助
     吉右衛門
     
     
玉太郎改め
     
     左團次

夜の部

一、秀山十種の内 松浦の太鼓(まつうらのたいこ)

両国橋の場

松浦邸の場


同  玄関先の場

松浦鎮信
源吾妹お縫
大高源吾
宝井其角
     吉右衛門
     
     染五郎
     
二、閻魔と政頼(えんまとせいらい)
鷹匠政頼
赤鬼
青鬼
閻魔大王
     吉右衛門
玉太郎改め
     種太郎
     左團次
三、与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)

木更津海岸見染の場

源氏店の場

与三郎
お富
蝙蝠安
鳶頭金五郎
和泉屋多左衛門
     染五郎
     
     
     
     

みどころ

昼の部

一、ひらかな盛衰記(ひらがなせいすいき)

  源太勘當

 原作は、元文四年(一七三九)大坂竹本座で初演の人形浄瑠璃。全五段の時代物の二段目にあたります。登場する主人公・梶原源太景季(かじわらげんだかげすえ)は、鎌倉時代の武士で、箙(えびら)に梅の枝を差して戦場を駆けたという逸話がある美男子です。
 梶原家の嫡子である梶原源太景季(染五郎)は、宇治川の先陣争いで近江源氏の佐々木高綱に敗れ、鎌倉の館に帰され、責任をとって切腹を迫られます。跡取りの座を狙う次男の平次景高(へいじかげたか)(歌昇)は、おっとりとした色男の源太をなじり大喜びします。中盤の「先陣問答」の場面は見せ場で、平次や腰元の千鳥(芝雀)もからんで大変面白いところです。源太は、父・景時には合戦の前に佐々木高綱から受けた恩があるので、わざと先陣の功を譲ったのでした。その心を知った母の延寿(東蔵)は、中間(ちゅうげん)のぼろ着を源太に着せ、勘当して家を出るように命じ、源太を想う千鳥を鎧櫃(よろいびつ)の中に忍ばせて、一緒について行かせるのでした。

二、鬼平犯科帳(おにへいはんかちょう)

  大川の隠居

 誰もがご存知、池波正太郎の同名の小説の劇化。登場する主人公は、「鬼の平蔵」こと長谷川平蔵です。平蔵の仕事は、徳川幕府が設けた火付盗賊改方(ひつけとうぞくあらためかた)という特別警察の長官の任でした。いつの世も悪は絶えず、凶悪な盗賊たちを容赦なく取り締まる機動性が求められていたのです。「大川の隠居」は、下町を舞台にし、ほのぼのとしたユーモア、ほろ苦い人生の哀感を漂わせる作品です。立回りや捕り物シーンがない作品にもかかわらず、『鬼平』ファンの人気ランキングトップになっています。
 風邪で寝込んでいた鬼平(吉右衛門)は、ある夜寝間に置いてあった亡父の形見の銀煙管(ぎんぎせる)を盗まれてしまいます。盗んだのは、昔盗賊をしていた老船頭友五郎(歌六)。火付盗賊改方としては面目丸潰れです。鬼平と老船頭との知恵くらべを、じっくりとご堪能ください。平成十九年五月新橋演舞場で上演し絶賛を博した舞台が、御園座初お目見得です。

夜の部

一、秀山十種の内 松浦の太鼓(まつうらのたいこ)

 この作品は、平戸藩主・松浦鎮信(しずのぶ)を主人公とした『忠臣蔵』の外伝で、初代吉右衛門の当たり芸を集めた「秀山十種」に選ばれています。
 吉良邸の隣に住む松浦鎮信侯(吉右衛門)は、浅野内匠頭(あさのたくみのかみ)が殿中で吉良上野介(きらこうづけのすけ)を斬りつけて切腹を命じられたことに深く同情し、赤穂浪士の一人、大高源吾(染五郎)の妹お縫(芝雀)を腰元として召し抱えてかわいがっていました。ところが、大の赤穂びいきの期待に反し、赤穂浪士がなかなか吉良に対する敵討ちをしないので業を煮やしています。
 俳諧の師匠・宝井其角(歌六)が昨日会った大高源吾の様子を話すと、松浦侯は急に機嫌が悪くなり、お縫を連れ帰れと当たり散らす始末。しかし、昨日、其角が「年の瀬や水の流れと人の身は」と詠みかけると、源吾が「明日待たるるその宝船」と付け句をして立ち去ったことを伝えると、その心中をくみ取って、機嫌は一変。帰りかけた其角とお縫を呼び戻すところに、突如として隣家から陣太鼓の音が聞こえてきます。それは大石内蔵助が打つ山鹿流(やまがりゅう)の陣太鼓と察した松浦侯は、やはり付け句の通り今宵討入りしたと喜び、歓喜の絶頂に達します。やがて、本懐を遂げたことを知らせに大高源吾がやって来ます。

二、閻魔と政頼(えんまとせいらい)

 作品の題材になっているのは狂言の『政頼』です。主人公の政頼は鷹匠の名人として知られる平安中期に実在した人物です。
 ここは地獄の閻魔の庁。亡者たちが巧みに娑婆(しゃば)での罪状を言い逃れて極楽へ行こうとする由々しき事態に、閻魔大王(左團次)は厳しく詮議しようと思い立ち、赤鬼(松江)と青鬼(種太郎)を六道の辻に赴かせます。そこへやって来たのが、主君の鷹を失った罪で打首となった鷹匠の政頼(せいらい)(吉右衛門)。閻魔の前に引き出され、殺生の罪を問われると、鷹狩りで獲物を捕らえたのは鷹であり、自分ではないと弁明。政頼が鮮やかに語る鷹狩りの由来などに興を覚え、目の前でやらせた鷹狩りにも大満足の閻魔大王でしたが……。
 平成十九年六月、松貫四(吉右衛門の筆名)の構成・脚本により歌舞伎座で初演された新作舞踊劇で、今回は左團次とのユーモアあふれる舞台をお楽しみください。

三、与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)

 三世瀬川如皐によって書かれ、嘉永六年(一八五三)江戸・中村座で初演された全九幕の世話物です。今回ご覧いただくのは、代表的な二幕目の「木更津海岸見染の場」と四幕目の「源氏店の場」です。
 江戸の大店伊豆屋の若旦那与三郎(染五郎)は、木更津の浜で、土地の親分・赤間源左衛門の妾(めかけ)お富(芝雀)を見染め、源左衛門の留守に密会したのを見つけられ、なぶり斬りにあって全身に三十四箇所の刀傷を受け、生死の境をさまよう身に。一方のお富も木更津の海に身を投げましたが、折から通りかかった鎌倉にある和泉屋の大番頭・多左衛門(東蔵)の船に助けられました。
 それから三年。命を取り留めた与三郎は親に勘当され、「切られ与三」の異名をとってならず者の仲間に入っていました。今日は兄貴分の蝙蝠安(こうもりやす)(歌昇)に伴われて鎌倉・雪の下の源氏店の妾宅にたかりに入ったところ、死んだものと諦めていたお富とばったり再会するのでした。

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