公演情報詳細
壽初春大歌舞伎 |
当公演は終了いたしました。
2008年1月2日(水)~26日(土)
劇場:大阪松竹座
料金(税込)
- 1等席15,750円
- 2等席8,400円
- 3等席4,200円
演目と配役
昼の部
芦屋道満大内鑑(あしやどうまんおおうちかがみ)
一、葛の葉(くずのは)
中村扇雀宙乗り相勤め申し候
葛の葉姫/女房葛の葉 信田庄司 安倍保名 | 扇雀 竹三郎 翫雀 |
二、佐々木高綱(ささきたかつな)
佐々木高綱 佐々木小太郎定重 馬飼子之介 高綱娘薄衣 鹿島与市 高野の僧智山 子之介姉おみの | 我當 進之介 吉弥 新悟 薪車 彌十郎 翫雀 |
三、芋掘長者(いもほりちょうじゃ)
芋掘藤五郎 緑御前 魁兵馬 菟原左内 腰元松葉 松ヶ枝家後室 友達治六郎 | 三津五郎 扇雀 彌十郎 吉弥 新悟 秀調 橋之助 |
伊賀越道中双六(いがごえどうちゅうすごろく)
四、沼津(ぬまづ)
呉服屋十兵衛 お米 池添孫八 荷持安兵衛 雲助平作 | 藤十郎 秀太郎 彌十郎 三津五郎 我當 |
夜の部
御所桜堀川夜討(ごしょざくらほりかわようち)
一、弁慶上使(べんけいじょうし)
武蔵坊弁慶 侍従太郎 腰元しのぶ/卿の君 花の井 おわさ | 橋之助 彌十郎 新悟 吉弥 扇雀 |
義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
二、吉野山(よしのやま)
佐藤忠信実は源九郎狐 早見藤太 静御前 | 三津五郎 橋之助 藤十郎 |
恋飛脚大和往来(こいびきゃくやまとおうらい)
三、玩辞楼十二曲の内 封印切(ふういんきり)
新町井筒屋の場(しんまちいづつやのば)
亀屋忠兵衛 丹波屋八右衛門 井筒屋おえん 槌屋治右衛門 傾城梅川 | 翫雀 橋之助 竹三郎 彌十郎 扇雀 |
みどころ
昼の部
一、葛の葉(くずのは)
安倍清明は、陰陽師・安倍保名と白狐との間に生まれた子であるという「信太妻伝説」に材をとった浄瑠璃『芦屋道満大内鑑』の一場面です。
安倍保名に命を救われた白狐は、保名の許婚の葛の葉姫に姿を変え、保名と夫婦になっていました。二人には子がありましたが、ある日、本物の葛の葉姫が現れたため、家の障子に「恋しくば尋ねきてみよ和泉なる 信田の森の恨み葛の葉」という歌を残して姿を消します。
泣く子をあやしながらの「曲書き」や、早替りや宙乗りなどの演出による面白さに加え、人を愛してしまった悲しみや親子の情愛溢れる名場面を、扇雀の葛の葉でご覧いただきます。
二、佐々木高綱(ささきたかつな)
宇治川の先陣争いで梶原景季に勝った佐々木高綱でしたが、馬を奪う為に馬士を殺めたことを悔い、今は償いとしてその息子を召抱え、供養を行っています。源頼朝の上洛で世間は慌しさを増していましたが、高綱は、自らが身代わりとなって命を救った頼朝の戦勝後の心変わりに憤りを感じています。馬士の命日、不誠実な主君やへつらい武士に愛想が尽きた高綱は、ついに剃髪し、高野山へ向かうことを決意します。
各登場人物の人間性がしっかりと描かれた、岡本綺堂の初期の代表作です。綺堂作品独特の台詞術や、叙情味溢れる舞台が大きなみどころの新歌舞伎で、剛直な武士、佐々木高綱を我當が演じます。
三、芋掘長者(いもほりちょうじゃ)
長者の姫・緑御前に恋い焦がれた芋掘藤五郎は、舞の上手な友人・治六郎の協力を得て、舞の名手と偽り、婿選びの舞競べの席に飛び込みます。面をつけた治六郎は藤五郎のふりをして踊り、人々は喝采しますが…。
『身替座禅』『棒しばり』などで知られる岡村柿紅作の舞踊劇です。
藤五郎と治六郎、入れ替わりながらの踊りと、そこに緑御前が加わっての三人の連れ舞なども見どころで、踊りの名手にわざと下手な踊りをさせるところは笑いを誘います。長唄と常磐津の掛け合いも楽しい賑やかなおとぎ話を三津五郎の藤五郎でお楽しみいただきます。
四、沼津(ぬまづ)
沼津の宿はずれで、呉服屋十兵衛は年老いた雲助の平作と出会います。気の毒に思った十兵衛は平作の客となりますが、平作は足元が覚束ず、怪我をしてしまいます。十兵衛が薬で手当てをしてやるところへ娘のお米が現れ、その美しさに惹かれた十兵衛は平作の家に一夜の宿を借ります。皆が寝静まった夜、印籠を盗み出そうとするお米に気づいた十兵衛。平作親子と十兵衛の不思議な因縁が明らかになります。
「伊上野の仇討」を題材にした人形浄瑠璃『伊賀越道中双六』を歌舞伎化したものです。藤十郎の十兵衛、我當の平作、秀太郎のお米といった充実した配役で義太夫狂言屈指の名場面を御覧いただきます。
夜の部
一、弁慶上使(べんけいじょうし)
「ついに泣かぬ弁慶も…」とうたわれた武蔵坊弁慶が大泣きに泣いたその理由は…。弁慶の生涯でたった一度の恋を描いた義太夫狂言の名作です。
主人・源義経の正妻である卿の君の身代わりに、弁慶は腰元のしのぶの首を差し出させるよう申し出ます。女手ひとつで娘を育て上げた母のおわさは、父に一目会わせるまではと拒みますが、弁慶はしのぶを刀で刺します。実はおわさは、弁慶が稚児の頃にたった一度契りを交わした女性で、しのぶはその子だったのです。
クドキ、述懐など、義太夫狂言特有の見せ場も多く、時代物の様式美と人間の情愛を色濃く描く名作で、弁慶を橋之助が、おわさを扇雀が演じる期待の舞台です。
二、吉野山(よしのやま)
『義経千本桜』の四段目にあたる道行の場面を、満開の桜を背景に美しく描いた一幕です。
桜の花が満開の吉野山へ、義経を追って恋人の静御前がやって来ます。姿が見えないと思った供の佐藤忠信でしたが、静が「初音の鼓」を打つと、どこからともなく姿を現します。そして忠信は静に、戦死した兄継信の戦場での様子を物語って聞かせるのでした。
忠信は実は静の鼓に張られた狐の子で、随所にそれを表す振りがあります。勇壮な戦物語や静と二人並んだ女雛男雛の絵模様など、見どころの多い華やかな舞踊を三津五郎の忠信、橋之助の藤太に、藤十郎の静御前で御覧いただきます。
三、玩辞楼十二曲の内 封印切(ふういんきり) 新町井筒屋の場
淡路町の飛脚問屋亀屋の養子・忠兵衛は大坂新町の遊女梅川と言い交わす仲ですが、丹波屋八右衛門が梅川を身請けすると言い出して喧嘩となります。忠兵衛には身請けの金すらないと、八右衛門に満座の中で恥をかかされた忠兵衛は、屋敷へ届けるはずの為替の金の封印を切ってしまいます。公金横領の大罪を犯してしまった忠兵衛は訳を知った梅川と共に、何も知らない廓の皆に見送られ、死出の旅立ちをするのでした。
「玩辞楼十二曲」は上方の名優・初世中村鴈治郎が制定した得意芸十二種。翫雀の忠兵衛で、廓を舞台に情緒豊かな上方歌舞伎の醍醐味を存分にご堪能ください。
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