公演情報詳細
三月花形歌舞伎 |
当公演は終了いたしました。
2014年3月2日(日)~26日(水)
劇場:南座
演目と配役
昼の部
一、吹雪峠(ふぶきとうげ)
直吉 おえん 助蔵 | 亀三郎 梅枝 松也 |
二、新歌舞伎十八番の内 素襖落(すおうおとし)
太郎冠者 太刀持鈍太郎 三郎吾 姫御寮 次郎冠者 大名某 | 松緑 亀寿 巳之助 新悟 松也 権十郎 |
三、与話情浮名横櫛 (よわなさけうきなよこぐし)
木更津海岸見染めの場
源氏店の場
与三郎 お富 蝙蝠の安五郎 鳶頭金五郎 和泉屋多左衛門 | 菊之助 梅枝 團蔵 松緑 彦三郎 |
夜の部
一、御摂勧進帳 (ごひいきかんじんちょう)
一幕目 山城国石清水八幡宮の場
─ 暫 ─
二幕目 加賀国安宅の関の場
─芋洗い勧進帳─
〈暫〉 〈芋洗い勧進帳〉 | 熊井太郎 稲毛入道 鷲尾三郎 下河辺行平 川越太郎 岩手姫 村雨姫 音羽丸 女鯰若菜 是明君 武蔵坊弁慶 富樫左衛門 源義経 常陸坊海尊 山城四郎 駿河次郎 鷲尾三郎 斎藤次祐家 | 松緑 権十郎 亀寿 巳之助 松之助 廣松 新悟 松也 萬次郎 彦三郎 松緑 亀三郎 梅枝 松之助 廣松 竹松 亀寿 團蔵 |
二、京鹿子娘道成寺(きょうかのこむすめどうじょうじ)
道行より鐘入りまで
白拍子花子 所化 同 同 同 同 | 菊之助 松也 巳之助 竹松 新悟 廣松 |
みどころ
昼の部
一、吹雪峠(ふぶきとうげ)
◆極限状態で描く三角関係の人間模様
荒れ狂う吹雪の中、山小屋に辿り着いた助蔵とおえん。おえんは、助蔵の兄貴分である直吉の女房でしたが、助蔵と密通を重ね、駆け落ちをしました。そこへ偶然にも直吉が現れ再会する3人。一旦は2人を許した直吉も、仲睦まじさを目の当りにして耐えきれなくなり、殺気立った形相で2人に出て行ってほしいと言います。固く結ばれていた2人でしたが、死の恐怖から互いを罵り命乞いを始め…。
人間の男女の愛憎と欲望などを描き出した巧みな心理劇の新歌舞伎をご覧いただきます。
二、新歌舞伎十八番の内 素襖落(すおうおとし)
◆新歌舞伎十八番の嚆矢となった喜劇味溢れる舞踊劇
伊勢参宮を思い立った大名が、叔父を誘おうと、太郎冠者を叔父の館へ向かわせますが、あいにくの不在。名代の姫に酒を振舞われ、太郎冠者は盃を重ねます。源平合戦の「那須の与一」の件(くだり)を語ってみせ、さらに素襖まで頂戴しますが、帰宅した太郎冠者は酩酊状態。決して渡すまいと隠していた素襖を大名の前で落としてしまっても気づかない始末です。そして、素襖を巡って大名が、太郎冠者をからかうのでした。
狂言をもとにした松羽目舞踊の嚆矢となった作品です。竹本と長唄の掛合いでお贈りする喜劇味溢れる舞踊劇をお楽しみください。
三、与話情浮名横櫛 (よわなさけうきなよこぐし)
◆若旦那の一目惚れから生まれた、しがねぇ恋の行く末は・・・
「木更津海岸見染めの場」大店伊豆屋の若旦那与三郎が鳶頭の金五郎に連れられて浜見物をしていると、木更津界隈の顔役である赤間玄左衛門の妾お富と出会い、浜辺で互いに一目惚れします。
「源氏店の場」2人の仲を知った赤間により、与三郎は瀕死の重傷を負い、お富は身投げをしたところを和泉屋多左衛門に救われました。それから3年が経過。今は、多左衛門のところで囲われ者となっているお富のもとに、時折たかりにくる蝙蝠安が、相棒をつれて訪れます。頬被りで傷だらけの顔を隠したその相棒こそ…。
「しがねぇ恋の情けが仇」の名ぜりふが有名な世話物です。
夜の部
一、御摂勧進帳 (ごひいきかんじんちょう)
◆おおらかで豪快な江戸歌舞伎
初世桜田治助が「義経記」の世界を大胆かつ奇抜な趣向で描き上げた大作。昭和43年に二世尾上松緑が通し狂言として復活。南座では初となる上演で、荒唐無稽のおおらかさがある豪快な舞台をお楽しみください。
【暫】勧善懲悪で正義の英雄が窮地を救う
石清水八幡宮では、平家滅亡を好機に天下掌握を狙う是明君が源義経の家臣たちを引き据えています。是明君は、宝剣を奪い、善人たちの首を刎ねるよう命じたそのとき、「暫く」と声が掛かり、義経の忠臣で大力無双の熊井太郎が現れます。熊井は悪者たちを圧倒し、是明君に奪われた宝剣を取り返すと、悠然と立ち去ります。
【芋洗い勧進帳】弁慶の力の本領が発揮される奇想天外な趣向
山伏に姿を変えた義経一行は、安宅の関で富樫左衛門の詮議を受けます。武蔵坊弁慶が調べに答え勧進帳を読みますが、義経が疑われるのであえて主君を打ち据えます。富樫は義経一行と知りながらも、弁慶の苦衷に心打たれ、関の通過を許します。弁慶はなおも一人留められますが、縄を引きちぎり、番卒たちの首を天水桶に投げ込み、金剛杖で芋を洗うように掻き回すのでした。
二、京鹿子娘道成寺(きょうかのこむすめどうじょうじ)
◆幻想的な歌舞伎舞踊屈指の人気大曲
春爛漫の道成寺。鐘供養が行われているところへ、花子と名乗る白拍子が鐘を拝みたいと申し出ます。実は、花子は叶わぬ恋の恨みから熊野詣の僧安珍を焼き殺した清姫の亡霊だったのです。所化たちは舞を奉納するならと承知し、花子は艶やかに舞を披露しますが、形相がみるみる変わり鐘の中に飛び込んでしまいます。
華麗で美しく切ない恋心を踊り分ける、女方の舞踊の中でも屈指の大曲で、今回は道行からの上演となります。
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