公演情報詳細
六月大歌舞伎 |
当公演は終了いたしました。
2017年6月2日(金)~26日(月)
劇場:歌舞伎座
演目と配役
昼の部
池田大伍 作
池田弥三郎 演出
大場正昭 演出
一、名月八幡祭(めいげつはちまんまつり)
縮屋新助 芸者美代吉 藤岡慶十郎 魚惣 魚惣女房お竹 船頭三次 | 松緑 笑也 坂東亀蔵 猿弥 竹三郎 猿之助 |
木村富子 作
二、澤瀉十種の内 浮世風呂(うきよぶろ)
三助政吉 なめくじ | 猿之助 種之助 |
三、御所桜堀川夜討(ごしょざくらほりかわようち)
弁慶上使
武蔵坊弁慶 侍従太郎 卿の君/腰元しのぶ 花の井 おわさ | 吉右衛門 又五郎 米吉 高麗蔵 雀右衛門 |
夜の部
一、鎌倉三代記(かまくらさんだいき)
絹川村閑居の場
佐々木高綱 時姫 三浦之助義村 阿波の局 讃岐の局 富田六郎 おくる 長門 | 幸四郎 雀右衛門 松也 吉弥 宗之助 桂三 門之助 秀太郎 |
河竹黙阿弥 作
二、曽我綉俠御所染(そがもようたてしのごしょぞめ)
御所五郎蔵
御所五郎蔵 傾城皐月 子分 梶原平平 同 新貝荒蔵 同 秩父重助 同 二宮太郎次 同 畠山次郎三 花形屋吾助 傾城逢州 甲屋与五郎 星影土右衛門 | 仁左衛門 雀右衛門 男女蔵 歌昇 巳之助 種之助 吉之丞 松之助 米吉 歌六 左團次 |
長谷川 伸 作
村上元三 演出
三、一本刀土俵入(いっぽんがたなどひょういり)
駒形茂兵衛 お蔦 堀下根吉 若船頭 船戸の弥八 酌婦お松 お君 庄屋 老船頭 河岸山鬼一郎 清大工 船印彫師辰三郎 波一里儀十 | 幸四郎 猿之助 松也 巳之助 猿弥 笑三郎 市川右近 寿猿 錦吾 桂三 由次郎 松緑 歌六 |
みどころ
昼の部
一、名月八幡祭(めいげつはちまんまつり)
純朴な男が翻弄された末に迎える悲劇の結末
越後の実直な商人、縮屋新助は深川きっての芸者美代吉に惚れ込んでいます。しかし、美代吉は旗本の藤岡慶十郎という旦那がいるにもかかわらず、遊び人の船頭三次を情夫にもつ奔放な女。美代吉は三次から何度も金をせびられ借金を抱え、深川大祭に必要な百両の大金が用意できず困り果てます。これを知った新助は、越後に行って一緒に暮らしてもいいという美代吉の言葉を真に受け、故郷の家や田畑を売り払い、金を用意します。ところが藤岡から手切れ金が届き、金の心配がなくなった美代吉は、新助をまるで相手にしません。裏切られた新助は狂乱し、深川八幡の祭礼の夜に…。
河竹黙阿弥の『八幡祭小望月賑』をもとに生き様の違う男と女が織りなす愛憎を描いた新歌舞伎の名作です。
二、澤瀉十種の内 浮世風呂(うきよぶろ)
風呂屋の男と女なめくじが魅せる軽妙な舞踊
風呂屋「喜のし湯」では、鶏の声がする明け方、赤い下がり姿の三助政吉が、湯加減をみたり客の背中を流したりしています。そこへ現れたのは、女の姿をしたなめくじ。なめくじは粋な三助に惚れ、口説きにかかりますが、三助は気味が悪いと、塩をかけて退散させるのでした。
舞踊を得意とした初世猿翁が創作し、二代目猿翁(三代目猿之助)が澤瀉十種の一つとして大成させた、洒落た味と軽快な動きがみどころの一幕をお楽しみいただきます。
三、御所桜堀川夜討(ごしょざくらほりかわようち)
戦乱の男として信念を貫いた弁慶を描く名作
侍従太郎の館で懐妊のため静養中の義経の正室卿の君。そこへ、頼朝の上使として武蔵坊弁慶が訪れます。弁慶は頼朝より、反逆人平時忠の娘である卿の君の首を討つようにと命を受けていたのです。侍従太郎は、腰元しのぶを身替りに立てようとしますが、しのぶの母おわさは、18年前に一度だけ契った、しのぶの父にあたる男に娘を会わせるまでは死なせるわけにはいかない、と頑なに拒みます。実は弁慶こそがしのぶの父親。弁慶は自分が親だと名のり出たい気持ちを抑え、卿の君の身替りとしてしのぶの首をはねるのでした。
豪傑とうたわれた武蔵坊弁慶が、生涯にたった一度だけ恋をし、大泣きしたという伝説を描いた時代物の名作をご覧いただきます。
夜の部
一、鎌倉三代記(かまくらさんだいき)
歌舞伎らしい趣向に富んだ時代物の名作
北條時政との戦いで、劣勢を余儀なくされている源頼家に仕える三浦之助は、病床の老いた母長門のもとへ、別れを告げに現れます。出迎えたのは、敵方時政の娘ながら三浦之助の許嫁で長門を看病する時姫。長門は気丈にも息子との対面を拒みます。そこへ、百姓藤三郎が時政の命により、時姫を呼び戻そうとやってきます。しつこく時姫に言い寄りますが、逆に斬りつけられて井戸へと逃げ込みます。しかし、藤三郎の正体は三浦之助と共謀する佐々木高綱。三浦之助は時姫に父時政を討つように迫り、時姫はそれを承諾、高綱とともに鎌倉へと向かい、三浦之助は戦場へと戻るのでした。
重厚な義太夫狂言の名作にご期待ください。
二、曽我綉俠御所染(そがもようたてしのごしょぞめ)
江戸の風情を背景に描く男伊達の粋と意地
奥州浅間家の家臣須崎角弥は、腰元皐月との不義が露見し追放となり、今は御所五郎蔵と名のる俠客の身。五郎蔵の不義を密告した土右衛門と京の五條坂仲之町で再会し、今は廓勤めをしている皐月をめぐり一触即発となりますが、その場を甲屋与五郎が収めます。旧主のための金策で苦心している五郎蔵の様子を見かねた皐月は、金の工面のため、土右衛門になびいたふりをして、五郎蔵への偽りの愛想尽かしをしますが、皐月の本心を知らない五郎蔵は激高し…。
七五調の名せりふが彩る絢爛な舞台をご覧に入れます。
三、一本刀土俵入(いっぽんがたなどひょういり)
長い歳月恩義を忘れなかった一途な男
水戸街道の取手宿にある旅籠の安孫子屋。相撲取りの駒形茂兵衛は、店の前での喧嘩を収めます。その様子を宿の2階から見ていた酌婦のお蔦は、一文無しの茂兵衛に手持ちの金子などを与え、いつか立派な横綱になるようにと励ますと、茂兵衛はお蔦の名前を胸に刻み、何度も礼を言いながら立ち去ります。それから10年の歳月が経ち、茂兵衛は凄みのある渡世人に、お蔦は船印彫師の辰三郎と一緒になり、娘ととに侘しく暮らしていました。辰三郎は博打でいかさまをしたため長い間行方知れずで、この土地の顔役である波一里儀十たちに追われる身。そこへ茂兵衛が現れ、お蔦の記憶が蘇り…。
時の流れに翻弄されるなか、人と人との心の触れ合いを描いた、新歌舞伎の名作をお楽しみいただきます。
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