公演情報詳細
壽 初春大歌舞伎 |
当公演は終了いたしました。
平成29年1月2日(月・休)~26日(木)
劇場:歌舞伎座
演目と配役
昼の部
大政奉還百五十年
真山青果 作
真山美保 演出
一、将軍江戸を去る(しょうぐんえどをさる)
徳川慶喜 山岡鉄太郎 土肥庄次郎 吉崎角之助 間宮金八郎 天野八郎 高橋伊勢守 | 染五郎 愛之助 廣太郎 男寅 種之助 歌昇 又五郎 |
河竹黙阿弥 作
二世藤間勘祖 構成
二、大津絵道成寺(おおつえどうじょうじ)
愛之助五変化
藤娘 鷹匠 座頭 船頭 大津絵の鬼 弁慶 犬 外方 矢の根の五郎 | 愛之助 歌昇 種之助 吉之丞 染五郎 |
伊賀越道中双六
三、沼津(ぬまづ)
呉服屋十兵衛 お米 荷持安兵衛 池添孫八 雲助平作 | 吉右衛門 雀右衛門 吉之丞 又五郎 歌六 |
夜の部
北條秀司 作・演出
一、井伊大老(いいたいろう)
井伊直弼 仙英禅師 長野主膳 水無部六臣 老女雲の井 宇津木六之丞 中泉右京 昌子の方 お静の方 | 幸四郎 歌六 染五郎 愛之助 吉弥 錦吾 高麗蔵 雀右衛門 玉三郎 |
五世中村富十郎七回忌追善狂言
二、上 越後獅子(えちごじし)
角兵衛獅子 | 鷹之資 |
下 傾城(けいせい)
傾城 | 玉三郎 |
三、秀山十種の内 松浦の太鼓(まつうらのたいこ)
松浦鎮信 大高源吾 お縫 宝井其角 | 染五郎 愛之助 壱太郎 左團次 |
みどころ
昼の部
一、将軍江戸を去る(しょうぐんえどをさる)
慶喜の心の葛藤を描いた重厚な一幕
朝廷に大政を奉還した徳川慶喜は江戸出発を明日に控え、上野寛永寺で恭順謹慎していましたが、幕臣の主戦論者の意見に心が揺らいでしまい出発延期を願い出ます。そのことを知った高橋伊勢守や山岡鉄太郎は、慶喜を諫めにやってきます。恭順を翻意すれば江戸で戦が起こり、罪もない人々が血を流すことになると鉄太郎が必死に説得し、慶喜はようやく自らの誤った決断に思い至ります。慶喜は江戸を官軍に明け渡すことを決意し、その名残を惜しみながら、水戸へと旅立っていくのでした。
大政奉還から150年という節目の年を迎えて上演される、真山青果作品ならではのせりふ劇にご注目ください。
二、大津絵道成寺(おおつえどうじょうじ)
5役を早替りで魅せる変化舞踊
近江の三井寺では鐘供養が行われ、外方が唐子を従えてやってきます。外方が酒宴を始めると、藤娘が鐘を拝ませて欲しいと現れ、外方は舞を所望します。藤娘は舞を始めますが、いつのまにか消えてしまい、今度は鷹を追って鷹匠が現れます。その後、犬とじゃれつきながら座頭が去り、いなせな船頭が現れて踊ります。船頭が去り、再び藤娘が現れたのですが、落ちた鐘の中に姿を消します。しかし、弁慶が祈ると鐘から大津絵の鬼が現れ、駆けつけた矢の根の五郎が祈り伏せるのでした。
大津絵の中に登場する五役を一人の俳優が踊り分ける演出がみどころの舞踊劇をお楽しみください。
三、沼津(ぬまづ)
生き別れた親子の悲しい再会の物語
東海道を旅する呉服屋十兵衛は、沼津のはずれで出会った雲助の平作に頼みこまれ、荷物を持たせることにします。しかし、年老いた平作は怪我をしてしまい、十兵衛は印籠の妙薬で平作を治療します。先を急ぐ十兵衛でしたが、平作の娘お米にひと目惚れしてしまい、平作の家に立ち寄ることにします。その夜、平作から薬の話を聞いたお米は、病に臥している夫のことを思い十兵衛の印籠を盗もうとします。お米と平作の話を聞いていた十兵衛は、驚くべき事実に気づき…。
偶然が重なって起きた悲劇を巧みに描いた義太夫狂言の名作をご覧いただきます。
夜の部
一、井伊大老(いいたいろう)
国難に立ち向かった男の心情を描いた名作
開国か攘夷かで国中が揺れていた幕末。大老井伊直弼は、開国を断行し暗殺の危機にさらされています。雛祭りの前夜、幼くして命を落とした娘鶴姫の命日に、直弼の旧知の仲である仙英禅師は井伊家の下屋敷を訪れ、側室お静の方に直弼に危機が迫っていることを明かします。下屋敷に現れた直弼は、これから起こるであろう自らの運命を悟り、しんしんと雪が降る中、お静の方と酒を酌み交わし二人きりで語り合うのでした。
北條秀司の名作の一つで、井伊直弼が桜田門外で暗殺される前夜の様子を描いた作品です。美しい桃の節句の雛壇の前で通わせる夫婦の情愛が心を打ちます。
二、上 越後獅子(えちごじし)
旅芸人の哀愁を軽妙な踊りで表す舞踊劇
江戸日本橋。遠く越後の国からやってきて、踊りや軽業を見せて稼いでいる角兵衛獅子が現れます。角兵衛獅子は浜歌やおけさ節、最後には布を波に見立てた布さらしを披露するのでした。
五世中村富十郎が得意とした演目でこの度、七回忌追善狂言として上演いたします。
下 傾城(けいせい)
吉原の情景を艶やかな舞踊で魅せる一幕
吉原仲之町の廓のとある座敷に、吉原一の美貌を誇る松の位の傾城が姿を現します。傾城は愛しい間夫への心情や吉原での出来事を移りゆく四季の詞章に乗せて艶やかに踊ります。四季折々の風情あふれる美しい舞踊をご堪能ください。
三、秀山十種の内 松浦の太鼓(まつうらのたいこ)
四十七士の活躍を陰から見守るもう一つの忠臣蔵
元禄15年12月13日、俳諧師宝井其角は弟子で赤穂浪士の大高源吾に出会います。源吾は「明日待たるるその宝船」と詠んで、その場を去っていきます。翌日、松浦鎮信の屋敷で句会が催されます。鎮信は赤穂浪士が一年経っても未だ仇討ちをしないことに腹を立て、源吾の妹で松浦家に奉公しているお縫に暇を与えますが、其角から源吾の付句の話を聞き、その意味を思案します。そこへ、隣の吉良邸から陣太鼓が鳴り響き、鎮信は赤穂浪士の討入を悟るのでした。
秀山十種の一つであり、赤穂浪士の吉良邸討入の前日から当日を描いた、忠臣蔵外伝物のなかでも屈指の名作です。
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