公演情報詳細
松竹創業120周年 | ||
十二月大歌舞伎 |
当公演は終了いたしました。
2015年12月2日(水)~26日(土)
劇場:歌舞伎座
演目と配役
昼の部
近松半二 作
一、本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう)
十種香
八重垣姫 武田勝頼 腰元濡衣 白須賀六郎 原小文治 長尾謙信 | 七之助 松也 児太郎 亀寿 亀三郎 市川右近 |
木下順二 作
坂東玉三郎 演出
二、赤い陣羽織(あかいじんばおり)
お代官 お代官のこぶん 女房 お代官の奥方 おやじ | 中車 亀寿 児太郎 吉弥 門之助 |
三、重戀雪関扉(つもるこいゆきのせきのと)
関守関兵衛実は大伴黒主 小野小町姫 良峯少将宗貞 傾城墨染実は小町桜の精 | 松緑 七之助 松也 玉三郎 |
夜の部
近松半二 作
通し狂言 妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)
杉酒屋
道行恋苧環
三笠山御殿
〈杉酒屋〉 〈道行恋苧環〉 〈三笠山御殿〉 | 杉酒屋娘お三輪 烏帽子折求女実は藤原淡海 入鹿妹橘姫 丁稚子太郎 後家お酉 家主茂儀兵衛 杉酒屋娘お三輪 入鹿妹橘姫 烏帽子折求女実は藤原淡海 杉酒屋娘お三輪 漁師鱶七実は金輪五郎今国 宮越玄蕃 荒巻弥藤次 入鹿妹橘姫 烏帽子折求女実は藤原淡海 豆腐買おむら 蘇我入鹿 | 七之助 松也 児太郎 團子 歌女之丞 権十郎 七之助 児太郎 松也 玉三郎 松緑 亀三郎 亀寿 児太郎 松也 中車 歌六 |
みどころ
昼の部
一、本朝廿四孝(ほんちょうにじゅうしこう)
◆姫の一途な恋心を描いた一幕
越後の大名長尾謙信の息女八重垣姫は、許婚の武田勝頼が切腹したと聞かされ、館の一間で弔っています。実は勝頼が切腹したというのは計略で、花作りの簑作に姿を変えて、腰元濡衣と共に長尾家に奉公していました。二人の目的は、謙信が預かる武田家の重宝諏訪法性の兜を奪い返すことだったのです。八重垣姫は勝頼と瓜二つの簑作を見て一目で恋に落ち、濡衣に仲立ちを頼みますが…。
時代物の中でも屈指の名場面です。八重垣姫は女方の大役で、気品の高さと一途な恋心の激しさを表現するのがみどころの一つです。
二、赤い陣羽織(あかいじんばおり)
◆お代官とおやじたちの笑いあふれる痛快な舞台
ある村に、派手な赤い陣羽織を着たお代官がいました。この村には、姿形がお代官と似て、見かけは悪いながら人のいい百姓のおやじと、美人で気だてのいい女房が仲よく暮らしています。女房に惚れているお代官は、口実をつくりおやじを捕らえると、その隙に女房をわがものにしようとします。やっとの思いで逃げ出したおやじが家に戻ると、そこにはお代官が着ている赤い陣羽織が脱ぎ捨てられていました。実はお代官のたくらみは見事失敗していたのですが、女房を手籠めにされたと早合点したおやじは自分とそっくりなお代官のふりをして仕返しをしようと、赤い陣羽織を着て、代官屋敷に乗り込みます。お代官は慌てて屋敷に戻りますが…。
劇作家木下順二の民話劇をもとにした舞台です。痛快な物語をお楽しみください。
三、重戀雪関扉(つもるこいゆきのせきのと)
◆常磐津と竹本の掛け合いでみせる妖艶な女の本性
先帝崩御の後、都に近い逢坂山の関にある庵で暮らす良峯少将宗貞のもとを訪れたのは、宗貞を慕う小野小町姫。庭には小町桜と呼ばれる桜の大木が美しい花を咲かせていました。関守の関兵衛は、ふたりの馴れ染めを訊ね、その話に聞き入るうちに、懐から割符を落としてしまいます。その割符から関兵衛の素性を怪しんだ宗貞は、小町姫を都へ向かわせることにします。やがて夜が更け、関兵衛の前に現れたのは傾城墨染。墨染は、実は小町桜の精が人間の姿となったもので…。
常磐津の舞踊として知られていますが、今回は常磐津と竹本の掛け合いで上演いたします。妖艶な墨染が本性を顕しての見せ場の数々など壮麗な舞踊をご堪能ください。
夜の部
通し狂言 妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)
◆三人の男女の恋が絡みあう古代ロマンの物語
『妹背山婦女庭訓』は、大化の改新の時代を題材にしたスケールの大きな物語です。今回はその中でも「杉酒屋(すぎざかや)」「道行恋苧環(みちゆきこいのおだまき)」「三笠山御殿(みかさやまごてん)」の場面を通しで上演します。
蘇我氏全盛のころ。自ら帝位につこうとする蘇我入鹿が、帝の追放をもくろみ、帝の忠臣藤原鎌足は入鹿討伐の機会をうかがうために身を隠していました。王朝での権力争いに巻き込まれてしまったお三輪、烏帽子折求女、橘姫。この物語は、三人の男女の恋愛模様が美しく切なく激しく絡み合う内容になっています。
〈杉酒屋〉
大和国三輪の里にある杉酒屋のお三輪は、最近隣家へ越してきた烏帽子折求女と恋仲です。七夕を寺子屋で過ごしたお三輪が家へ戻ると、美しい姫が求女を探しに訪れていました。嫉妬したお三輪は、求女を呼び出し問いただします。お三輪は赤い糸の苧環を求女に渡し、自分は白い苧環を持ち、二人の思いに変わりがないことを誓い合いますが、実は求女の正体は、藤原鎌足の嫡男藤原淡海で、姫は入鹿の妹、橘姫だったのです。求女を恋慕う橘姫は行方を追って駆けつけてきたのでした。
〈道行恋苧環〉
杉酒屋を抜け出した橘姫に求女が追いつき、そこへお三輪もやってきます。求女をめぐってお三輪と橘姫の言い争いが続く中、求女は橘姫の袖に、持っていた赤い苧環の糸をつけて姫の後を追いかけます。お三輪も求女の着物の裾に白い糸をつけて後を追っていきますが、糸が途中で切れてしまい、やむなく求女が向かったと思うほうへ道を急ぐのでした。
〈三笠山御殿〉
道行を続けていたお三輪は、求女の着物にとめつけた白糸を頼りに三笠山にある御殿に辿り着きます。館では、自らを帝と称する蘇我入鹿が酒宴を催していました。そこへ現れたのは藤原鎌足の使者で漁師の鱶七。鎌足からの書状を不審に思った入鹿は、鱶七を人質にします。一方、御殿に戻ってきたのは橘姫とその後を追いかけてきた求女。求女の狙いは、入鹿が持つ朝廷の宝剣を取り戻すことで、そのためには橘姫の助けが必要だったのです。ようやく御殿に踏み込んだお三輪は、意地悪な官女たちに散々なぶられた挙句、求女と橘姫が祝言を済ませたと聞いて嫉妬のあまり形相が一変。奥へと踏み込もうとした瞬間、突然鱶七に刺されてしまいます。鱶七は実は鎌足の家臣金輪五郎今国で、お三輪を刺した理由を語り始め…。
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