公演情報詳細
松竹創業120周年 | ||
七月大歌舞伎 |
当公演は終了いたしました。
2015年7月3日(金)~27日(月)
劇場:歌舞伎座
演目と配役
昼の部
一、南総里見八犬伝(なんそうさとみはっけんでん)
芳流閣屋上の場
円塚山の場
〈芳流閣屋上の場〉 〈円塚山の場〉 | 犬塚信乃 犬飼現八 犬山道節 犬飼現八 犬川荘助 犬江親兵衛 犬村角太郎 浜路 犬田小文吾 犬坂毛野 網干左母二郎 犬塚信乃 | 獅童 市川右近 梅玉 市川右近 歌昇 巳之助 種之助 笑三郎 猿弥 笑也 松江 獅童 |
二、与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)
見染め
源氏店
与三郎 蝙蝠安 番頭藤八 お岸 鳶頭金五郎 和泉屋多左衛門 お富 | 海老蔵 獅童 猿弥 歌女之丞 九團次 中車 玉三郎 |
三、蜘蛛絲梓弦(くものいとあずさのゆみはり)
市川猿之助六変化相勤め申し候
童熨斗丸 薬売り彦作 番頭新造八重里 座頭亀市 傾城薄雲実は女郎蜘蛛の精 源頼光 坂田金時 渡辺綱 碓井貞光 平井保昌 | 猿之助 門之助 市川右近 巳之助 獅童 海老蔵 |
夜の部
一、一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき)
熊谷陣屋
熊谷直実 白毫弥陀六 相模 堤軍次 亀井六郎 片岡八郎 伊勢三郎 駿河次郎 梶原平次景高 藤の方 源義経 | 海老蔵 左團次 芝雀 九團次 巳之助 種之助 廣松 梅丸 市蔵 魁春 梅玉 |
通し狂言
二、怪談 牡丹燈籠(かいだんぼたんどうろう)
第一幕 第二幕 | 大川の船 高座 新三郎の家 伴蔵の住居 高座 伴蔵の住居 萩原家の裏手 新三郎の家 高座 関口屋の店 笹屋二階座敷 元の関口屋夜更け |
〈第一幕〉 〈第二幕〉 | お峰 伴蔵 お米 お六 萩原新三郎 山本志丈 三遊亭円朝 お峰 馬子久蔵 お国 定吉 お六 三遊亭円朝 伴蔵 | 玉三郎 中車 吉弥 歌女之丞 九團次 市蔵 猿之助 玉三郎 海老蔵 春猿 弘太郎 歌女之丞 猿之助 中車 |
みどころ
昼の部
一、南総里見八犬伝(なんそうさとみはっけんでん)
◆運命に引き寄せられた八犬士たちの出会い
安房国を治めていた里見家の息女伏姫は、愛犬八房と共に富山山中で暮らしていましたが、誤って家臣に銃で撃たれて絶命。すると八つの水晶の珠が空中に飛び散ります。
この珠を持つ八犬士の一人で里見家再興を目指す犬塚信乃は、公方に献上した名刀村雨丸が偽物だというあらぬ罪を着せられます。追手の犬飼現八も実は八犬士なのですが、互いにそれとは知らず二人は芳流閣の大屋根で死闘を繰り広げます。
行方知れずとなった村雨丸は、円塚山で犬山道節の手に渡り、引き寄せられるように八犬士たちが姿を現し…。
曲亭馬琴の名作より、大立廻りやだんまりなど見せ場のあふれる舞台をご覧に入れます。
二、与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)
◆一目惚れから始まった男女の恋の顛末
江戸の大店伊豆屋の若旦那与三郎が木更津の浜見物をしているところへ、この界隈の顔役赤間源左衛門の妾であるお富が通りがかり、互いに一目惚れします。逢瀬を重ねる二人の関係を知った赤間により、瀕死の重傷を負った与三郎。与三郎が死んだと思ったお富は海へ身投げをしますが、和泉屋多左衛門に救われます。
それから3年が経ったある日。今は多左衛門に囲われているお富が番頭藤八と話をしていると、小悪党の蝙蝠安が相棒を連れて訪れます。お富は金をやってその場を収めようとしますが、戸口から頬被りで顔を隠した男が現れ…。
おなじみの名せりふが織り込まれた世話物の名作にご期待ください。
三、蜘蛛絲梓弦(くものいとあずさのゆみはり)
◆様々な役柄を踊り分ける、趣向をこらした変化舞踊
物の怪に憑りつかれた源頼光は病にかかり、館で休んでいます。家臣の坂田金時と碓井貞光が宿直をして、館の警護をしていると、どこからともなく現れたのは童の熨斗丸。その様子に疑いをいだいた二人に、熨斗丸は蜘蛛の糸を繰り出し、忽然と姿を消します。さらに薬売り、番頭新造、座頭が現れて頼光の寝所を目指しますが、二人に遮られます。そこに頼光と傾城薄雲が共に現れて逢瀬を楽しみますが、この傾城の正体こそ実は葛城山に棲む女郎蜘蛛の精だったのです。
源頼光主従の土蜘蛛退治を題材に、早替りの趣向を取り入れ、変化に富む舞踊劇をお楽しみください。
夜の部
一、一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき) 熊谷陣屋
◆戦乱の世で武将が下した厳しい決断
源氏の武将熊谷直実は、廟参を終えて自らの陣屋に戻ってきます。妻相模は息子小次郎の初陣を心配して陣屋を訪れており、また、囚われの身の藤の方は我が子平敦盛の無事を案じていましたが、熊谷は二人に向かい、須磨の浦で敦盛を討った様子を語って聞かせます。そこに源義経が現れ、敦盛の首実検が行われますが、直実が差し出した首桶の中にあったのは小次郎の首。義経の思いを汲んだ直実は、後白河院のご落胤である敦盛の身替りとして我が子小次郎を犠牲にしたのです。義経は敦盛を、弥陀六と名乗る石屋に身をやつした平宗清に託すこととし、そして、甲冑を着た姿で義経の前に現れた直実は…。
源平争乱の中、世の無常を感じさせる重厚な義太夫狂言の一幕です。
二、通し狂言 怪談 牡丹燈籠(かいだんぼたんどうろう)
◆幽霊よりも恐ろしい人間の強欲の深さ
旗本の娘お露は、一目惚れをした浪人萩原新三郎に恋い焦がれてこの世を去りますが、後を追って自害した乳母のお米とともに幽霊になり、牡丹が描かれた燈籠を手にして、新三郎を訪ねようとします。下男の伴蔵はお露に、新三郎と会えるように懇願されますが、幽霊からの依頼に伴蔵は躊躇します。悩んだ末に女房のお峰に相談したところ、お峰は百両の大金をもらうことを条件に、この願いを引き受けるよう伴蔵を説得し…。
それから1年後。伴蔵とお峰は、もらった百両を元手に、馬子久蔵の口利きもあり野州栗橋で荒物屋を営みます。店は繁盛し羽振りの良い生活をしていた二人でしたが、伴蔵は料理屋笹屋の酌婦お国に入れあげて、通いつめる始末。それを知ったお峰から厳しく問い詰められます。ついには口論をする二人のもとに、いずくともなく牡丹燈籠が飛んできて…。
三遊亭円朝の傑作の一つとして知られる怪談噺で、人間の欲望の深さを巧みに描き出しています。原作者の円朝が劇中に登場し、高座で話す演出もあるなど趣向に富んだ作品です。
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