公演情報詳細
八月納涼歌舞伎 |
当公演は終了いたしました。
2014年8月5日(火)~27日(水)
劇場:歌舞伎座
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演目と配役
第一部
一、恐怖時代(きょうふじだい)
お銀の方 磯貝伊織之介 茶道珍斎 細井玄沢 お由良 氏家左衛門 梅野 春藤靱負 春藤釆女正 | 扇雀 七之助 勘九郎 亀蔵 芝のぶ 橘太郎 萬次郎 彌十郎 橋之助 |
二、龍虎(りゅうこ)
龍 虎 | 獅童 巳之助 |
第二部
一、信州川中島合戦(しんしゅうかわなかじまがっせん)
輝虎配膳
長尾輝虎 直江山城守 唐衣 越路 お勝 | 橋之助 彌十郎 児太郎 萬次郎 扇雀 |
二、たぬき
柏屋金兵衛 太鼓持蝶作 妾お染 門木屋新三郎 松村屋才助 倅梅吉 隠亡平助 芸者お駒 狭山三五郎 備後屋宗右衛門 女房おせき | 三津五郎 勘九郎 七之助 秀調 市蔵 波野七緒八 巳之助 萬次郎 獅童 彌十郎 扇雀 |
第三部
一、勢獅子(きおいじし)
鳶頭 鳶頭 鳶頭 芸者 手古舞 鳶の者 手古舞 鳶の者 手古舞 鳶頭 鳶頭 鳶頭 芸者 | 三津五郎 橋之助 獅童 七之助 新悟 国生 鶴松 虎之介 児太郎 巳之助 勘九郎 彌十郎 扇雀 |
訪米歌舞伎凱旋記念
三世實川延若より直伝されたる
十八世中村勘三郎から習い覚えし
二、怪談乳房榎(かいだんちぶさのえのき)
中村勘九郎三役早替りにて相勤め申し候
菱川重信/下男正助/うわばみ三次/三遊亭円朝 重信妻お関 茶店の女お菊 松井三郎/住職雲海 磯貝浪江 | 勘九郎 七之助 小山三 亀蔵 獅童 |
みどころ
第一部
一、恐怖時代(きょうふじだい)
◆陰謀をめぐり、様々な人間の欲望が重なり合う愛憎劇
江戸深川に広大な屋敷を持つ春藤家。太守、春藤釆女正は残忍な性格の上、日夜酒宴に耽(ふけ)っています。その愛妾お銀の方は、実は家老春藤靱負(ゆきえ)と深い仲で、お家乗っ取りを企んでいます。釆女正との間にできた子である照千代は、本当は靱負との子で、懐胎している正室を毒殺し、照千代に家督を継がせようとしているのでした。そのためお銀の方は、自分に心を寄せている医者の細井玄沢に毒薬を用意させます。さらには小心者の茶坊主の珍斎を脅し、正室に毒を盛ることを承諾させます。
一方、若く美しい小姓の磯貝伊織之介は、実は家中一番の剣の使い手。女中梅野とは夫婦になる約束をしています。そんな折、釆女正が催した酒宴に太守の乱行を見かねた家臣が諫言に来て、お銀の方の命を差し出せと申し出ますが…。
谷崎潤一郎が大正時代に発表した戯曲をもとにしたこの作品は、谷崎ならではの耽美的な作風で、お家横領をめぐり、愛欲と権勢欲が交錯する醜くも美しい舞台になっています。久しぶりとなる歌舞伎での上演にご期待ください。
二、龍虎(りゅうこ)
◆威厳と激しさでせめぎ合う英雄たちの舞踊
天の王者である龍と、地の覇者である虎。力量の伯仲(はくちゅう)した英雄の戦いが激しく繰り広げられています。両者は毛を振り立てて戦い続けますが、勝敗は決まらず、龍は雲の中で息を切らし、虎は洞窟へと去っていきます。
龍と虎という神獣が相争う様子を舞踊に仕立てた作品です。荘重な竹本の演奏と共に展開される緊張感みなぎる舞台をご覧いただきます。
第二部
一、信州川中島合戦(しんしゅうかわなかじまがっせん)
◆時代物ならではの多彩な役柄が織りなす豪華な一幕
越後の長尾輝虎(後の上杉謙信)は、敵対する武田信玄の軍師山本勘助を味方に引き入れようと考え、家老の直江山城守の妻唐衣が勘助の妹であることを利用して、勘助の母越路と妻お勝を館に呼び寄せます。輝虎は自ら料理を運びますが、その計略を察知していた越路は膳を足蹴にします。短気な輝虎は激怒して刀を抜きますが、お勝が必死の思いで止めに入り…。
時代物らしい絢爛とした舞台に、武将の輝虎をはじめ多彩な役柄が登場します。歌舞伎らしい技巧に富んだ義太夫狂言の一幕です。
二、たぬき
◆人間の化けの皮の下に隠された本性を描いた喜劇
江戸深川の火葬場では、柏屋金兵衛の葬式が営まれていました。ところが日もすっかり暮れたころ、死んだはずの金兵衛が、再び息を吹き返します。思案した金兵衛は、自分はこのまま死んだことにして、女房のおせきではなく、妾のお染と暮らそうと、お染のもとに駆け付けますが、そこにはすでに情人の狭山三五郎がいました。愕然とした金兵衛は、お染が自分から引き出していた金を持ち出します。二年ほどが経ち、甲州屋長蔵と名を変え成功していた金兵衛は、訪れた芝居茶屋で偶然にもお染の兄の太鼓持蝶作と出くわして…。
大佛次郎によるこの新歌舞伎は、別人になりすました男が味わう人間心理の表と裏を描いた皮肉の効いた喜劇です。おかしさと切なさが巧みに混ざり合う舞台をお楽しみください。
第三部
一、勢獅子(きおいじし)
◆華やかに魅せる江戸の大祭の風情
山王祭で賑わう江戸の街。御神酒所には鳶頭や芸者たちが勢揃いしています。ほろ酔い気分で、鳶頭たちは曽我兄弟の仇討の物語、威勢のいい獅子舞を賑やかに披露し、皆を盛り上げます。
祭礼を華やかに描いた常磐津の舞踊で、江戸っ子の風情を様々な踊りで魅せる変化に富んだ一幕です。
二、怪談乳房榎(かいだんちぶさのえのき)
◆早替り、本水、大立廻り、随所に見せ場のあふれる夏芝居
絵師菱川重信には、美貌の妻お関と赤ん坊の真与太郎がいます。偶然、お関の窮地を救った浪人磯貝浪江は、一目ぼれをしてしまい、重信に弟子入りをします。そして重信が南蔵院本堂の天井画の龍を描くために留守をした間に、お関を我が物にしてしまうのでした。そんな浪江の前に現れたのはうわばみ三次。浪江の旧悪を知る男で、金の無心に訪れたのです。仕方なく三次に金を渡した浪江は、下男正助を仲間に引き入れ、ついに重信を殺害します。一方、南蔵院では、重信が霊となって現れ、画を完成させると、忽然と姿を消して皆を驚かせるのでした。悪業を隠してお関と夫婦になった浪江は、今度は正助に真与太郎を亡き者とするように命じ…。
三遊亭円朝の口演をもとにした怪談噺で、今回は米国ニューヨーク公演の凱旋記念となります。早替りをはじめ、本水を使った滝壺での大立廻りなど先人の思いを受け継ぎ、さらに練り上げた清新な舞台をご堪能ください。
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