公演情報詳細
歌舞伎座新開場柿葺落 | ||
壽 初春大歌舞伎 |
当公演は終了いたしました。
2014年1月2日(木)~26日(日)
劇場:歌舞伎座
演目と配役
昼の部
一、天満宮菜種御供(てんまんぐうなたねのごくう)
時平の七笑
藤原時平 判官代輝国 左中弁希世 春藤玄蕃 天蘭敬 藤原宿祢 頭の定岡 菅原道真 | 我當 進之介 由次郎 錦吾 松之助 宗之助 松江 歌六 |
二、梶原平三誉石切(かじわらへいぞうほまれのいしきり)
鶴ヶ岡八幡社頭の場
梶原平三景時 俣野五郎景久 梢 山口十郎 川島八平 岡崎将監 森村兵衛 剣菱呑助 大庭三郎景親 六郎太夫 | 幸四郎 錦之助 高麗蔵 ※ 松江 廣太郎 隼人 宗之助 秀調 橋之助 東蔵 |
三、秀山十種の内 松浦の太鼓(まつうらのたいこ)
松浦鎮信 宝井其角 鵜飼左司馬 江川文太夫 渕部市右衛門 里見幾之亟 早瀬近吾 お縫 大高源吾 | 吉右衛門 歌 六 歌 昇 種之助 隼 人 桂 三 由次郎 米 吉 梅 玉 |
四、鴛鴦襖恋睦(おしのふすまこいのむつごと)
おしどり
遊女喜瀬川/雌鴛鴦の精 河津三郎/雄鴛鴦の精 股野五郎 | 魁春 ※ 染五郎 橋之助 |
夜の部
一、仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)
九段目 山科閑居
戸無瀬 大星由良之助 お石 小浪 大星力弥 加古川本蔵 | 藤十郎 吉右衛門 魁春 扇雀 ※ 梅玉 幸四郎 |
二、乗合船惠方萬歳(のりあいぶねえほうまんざい)
萬歳 通人 大工 田舎侍 芸者 白酒売 女船頭 才造 | 梅玉 翫雀 橋之助 彌十郎 児太郎 孝太郎 ※ 扇雀 又五郎 |
井上ひさしの小説を新作歌舞伎に!
三、東慶寺花だより(とうけいじはなだより)
信次郎 法秀尼 柏屋主人源兵衛 おぎん 堀切屋三郎衛門 美代 おせん 惣右衛門 お陸 | 染五郎 東蔵 彌十郎 笑也 松之助 虎之介 孝太郎 翫雀 秀太郎 |
みどころ
昼の部
一、天満宮菜種御供(てんまんぐうなたねのごくう)
◆陰謀を企む藤原時平の“七つの笑い”が眼目
平安時代の延喜帝の御代。身に覚えのない謀反の嫌疑をかけられた右大臣菅原道真に、太宰府への流罪の宣命が下されます。左大臣藤原時平は道真を弁護しますが、勅命には逆らえず、道真は引き立てられていきます。実はこれは道真を陥れるために時平が仕組んだ罠。時平は、天下を狙う大願はまもなく成就と、高笑いするのでした。
一人舞台に残った時平が本心を顕し、大笑いをするところがみどころで、幕が引かれる中も続く笑いが見逃せません。
二、梶原平三誉石切(かじわらへいぞうほまれのいしきり)
◆初春らしい爽快で華やかな一幕
梶原景時や、大庭景親、俣野景久兄弟ら平家方の武将が鎌倉の鶴ヶ岡八幡宮に参詣するところ、青貝師六郎太夫と娘の梢が刀を売りにやって来ます。大庭に刀の目利きを頼まれた景時は、名刀であると鑑定しますが、俣野の意見で二人の人間を重ねて斬る「二つ胴」で斬れ味を試すことにします。囚人は一人しかおらず、試し斬りにはもう一人必要なため、金の工面をしたい六郎太夫が志願します。試し斬りを請け負った梶原は、一気に刀を振り下ろしますが…。
通常は敵役が多い梶原景時ですが、情と智を兼ね備えた捌き役として描かれているのが特徴的な、時代物の名作をお楽しみください。
三、秀山十種の内 松浦の太鼓(まつうらのたいこ)
◆忠臣蔵外伝物の人気作
元禄14年、浅野内匠頭は江戸城中で吉良上野介に刃傷に及び切腹、お家は断絶となります。その翌年、俳諧師宝井其角は、弟子で赤穂浪士の大高源吾に出会います。其角が「年の瀬や水の流れと人の身は」と詠じると、源吾は「明日待たるるその宝船」と付句して去っていきます。翌日、松浦鎮信の屋敷で句会が催される中、赤穂浪士が仇討ちをしないことに業を煮やしていた鎮信ですが、其角から源吾の付句の話を聞き、今日討入りがあることを覚ります。そこへ、隣の吉良邸から討入りを知らせる山鹿流の陣太鼓が鳴り響きます。
赤穂浪士の吉良邸討入りの前日から当日を描いた、忠臣蔵の外伝物の中でも人気の作品です。
四、鴛鴦襖恋睦(おしのふすまこいのむつごと)
◆曽我物語とおしどり伝説を描く人気舞踊
河津三郎に相撲で敗れた股野五郎は、約束通り遊女喜瀬川を河津に譲ります。しかし執念深い股野は、雌雄の執着が深いとされる鴛鴦の雄の生き血を河津に飲ませて、その心を乱した上で殺そうと企みます。やがて雄鳥を股野に殺された雌鳥の精が現れると、雄鳥の精も河津の姿で出現します。つがいの精は、恨み重なる股野を散々に悩ませると、何処ともなく去って行くのでした。
上は長唄の「相撲」、下は常磐津の「鴛鴦」からなる古風さを残した舞踊劇で、上下の色合が対照的な作品です。
夜の部
一、仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)
九段目 山科閑居
九段目 山科閑居
◆重厚で緊張感あふれる義太夫狂言の傑作
加古川本蔵の妻戸無瀬と先妻の娘小浪が、山科の大星由良之助宅を訪れます。戸無瀬は出迎えた由良之助の妻お石に、由良之助の一子力弥と許嫁である小浪との祝言を望みますが、今は浪人であることを理由に、お石は輿入れを拒否します。絶望した戸無瀬と小浪が自害を決意するところへ、虚無僧に姿を変えた加古川本蔵が現れます。本蔵は、塩冶判官が高師直を討とうとするのを自分が妨げたことを深く後悔し、わざと力弥に討たれます。由良之助は、我が身を捨てて娘の婚礼を懇願する本蔵の心根に感じ入り、仇討ちの志を明かします。手負いの本蔵から聟引出として師直邸の絵図面を受け取った由良之助は、虚無僧の衣裳を借り、仇討ちに向けて出立するのでした。
古典の名作『仮名手本忠臣蔵』の中でも、特に名作の誉れ高い一幕です。初芝居にふさわしい大顔合わせの一幕をご堪能ください。
二、乗合船惠方萬歳(のりあいぶねえほうまんざい)
◆江戸の正月の風俗を楽しめる賑やかな常磐津舞踊
新年を迎えた隅田川のほとり。大勢を乗せた渡し船がやって来るところへ、萬歳と才造の二人連れがやってきます。その場に居合わせた人々は、白酒売の言い立てを皮切りに順番に踊り始め、それぞれの芸達者振りを披露します。そして、萬歳と才造が柱立ての祝いに始まる三河萬歳のご祝儀を軽妙に踊るところ、雨が降ってくるので、皆は船へと乗り込むのでした。
江戸の正月の風物詩、三河萬歳を巧みに取り入れたご祝儀舞踊です。
三、東慶寺花だより(とうけいじはなだより)
◆人情の温もりあふれる待望の新作歌舞伎
井上ひさしの同名小説を原作とする新作歌舞伎です。江戸時代、幕府公認の縁切寺として知られる鎌倉の東慶寺には数多くの女性が離縁を求めて駆け込んでいました。医者見習の信次郎は、そういった女性たちの身柄を預かる御用宿柏屋に間借りをしており、滑稽本の作者として物書きに興じています。そこで信次郎が巡り合う、明るく朗らかなおせん、臆病者の惣右衛門とその妻お陸、柏屋の主人源兵衛、院代の法秀尼たち。信次郎が様々な出会いを通して、人々の心の機微、人情の温かさ、そして新しい一歩を踏み出そうとする女たちの強い想いに触れながら、成長していく物語です。
心温まる新作歌舞伎にご期待ください。
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