公演情報詳細
歌舞伎座さよなら公演吉例顔見世大歌舞伎 | ||
通し狂言 仮名手本忠臣蔵 |
当公演は終了いたしました。
2009年11月1日(日)~25日(水)
劇場:歌舞伎座
演目と配役
昼の部
通し狂言 仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)
大 序 鶴ヶ岡社頭兜改めの場
三段目 足利館門前進物の場
同 松の間刃傷の場
高師直 塩冶判官 足利直義 顔世御前 桃井若狭之助 | 富十郎 勘三郎 七之助 魁春 梅玉 |
四段目 扇ヶ谷塩冶判官切腹の場
同 表門城明渡しの場
塩冶判官 石堂右馬之丞 顔世御前 大星力弥 赤垣源蔵 富森助右衛門 佐藤与茂七 矢間重太郎 斧九太夫 木村岡右衛門 大鷲文吾 原郷右衛門 薬師寺次郎左衛門 大星由良之助 | 勘三郎 仁左衛門 魁春 孝太郎 松江 男女蔵 萬太郎 宗之助 錦吾 由次郎 秀調 友右衛門 段四郎 幸四郎 |
浄瑠璃 道行旅路の花聟
早野勘平 鷺坂伴内 腰元お軽 | 菊五郎 團蔵 時蔵 |
夜の部
通し狂言 仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)
五段目 山崎街道鉄砲渡しの場
同 二つ玉の場
六段目 与市兵衛内勘平腹切の場
早野勘平 女房お軽 母おかや 千崎弥五郎 不破数右衛門 判人源六 斧定九郎 一文字屋お才 | 菊五郎 時蔵 東蔵 権十郎 段四郎 左團次 梅玉 芝翫 |
七段目 祇園一力茶屋の場
大星由良之助 遊女お軽 赤垣源蔵 富森助右衛門 矢間重太郎 中居おつる 斧九太夫 大星力弥 寺岡平右衛門 | 仁左衛門 福助 松江 男女蔵 宗之助 歌江 錦吾 門之助 幸四郎 |
十一段目 高家表門討入りの場
同 奥庭泉水の場
同 炭部屋本懐の場
両国橋引揚の場
大星由良之助 小林平八郎 竹森喜多八 赤垣源蔵 佐藤与茂七 矢間重太郎 富森助右衛門 大星力弥 原郷右衛門 服部逸郎 | 仁左衛門 歌昇 錦之助 松江 萬太郎 宗之助 男女蔵 門之助 友右衛門 梅玉 |
みどころ
昼の部
「大序」
鎌倉鶴ヶ岡八幡宮。幕府の典礼の指導を司る高家筆頭の高師直(富十郎)は、将軍足利尊氏の代参の命を受けた弟の足利直義(七之助)を、饗応役の桃井若狭之助(梅玉)、塩冶判官(勘三郎)と共に出迎えます。直義は、討ち死にした新田義貞の兜の鑑定役に、判官の妻顔世御前(魁春)を呼び出します。以前から顔世に懸想していた師直が顔世に言い寄るところを、若狭之助が助けます。
気分を害した師直は、若狭之助を散々に侮辱します。思わず刀に手を掛けた若狭之助ですが、塩冶判官に押し留められます。事件の発端が描かれ、開幕前の「口上人形」に始まる儀式的演出もみどころの、荘重な一幕です。
「三段目」
師直への怒りが収まらない若狭之助。そんな主君の様子に危険を感じた桃井家の家老、加古川本蔵は、鎌倉足利館の門前で師直に賄賂を贈ります。師直は態度を一変させ、足利館の松の間で若狭之助に非礼を詫びると、怒りの矛先を塩冶判官に向けはじめます。更に師直は顔世からの返歌で自らの恋が叶わない事を知り、尚一層執拗に、判官に罵詈雑言を浴びせはじめます。
あまりの屈辱に耐えかねた判官は、ついに刀を抜き、師直を斬りつけてしまいます。しかしそれも本蔵に抱きとめられ、師直に浅傷を負わせたに止まります。
「四段目」
殿中での刃傷という大罪を犯した塩冶判官は、蟄居を命じられ、扇ヶ谷の館に籠っています。そこへ、上使の石堂右馬之丞(仁左衛門)と薬師寺次郎左衛門(段四郎)が訪れ、判官の切腹とお家断絶、所領没収という上意を伝えます。既に覚悟の判官は、国家老の大星由良之助(幸四郎)の到着を待ち望みながらも、ついに覚悟を極めて腹に刀を突きたてます。まさにその時駆け付けた由良之助と、最後の対面を果たした塩冶判官は、自らの腹切刀を形見にすると伝えて息絶えます。
由良之助は血気にはやる諸士(友右衛門、孝太郎、秀調、松江、由次郎、男女蔵、錦吾、萬太郎、宗之助)たちをなだめ、すみやかに館を明け渡しますが、主君の腹切刀の血汐をなめて、仇討ちを誓うのでした。
「道行」
戸塚の山中にやって来たのは、判官の家臣早野勘平(菊五郎)と、顔世御前の腰元お軽(時蔵)。主君塩冶判官が足利館で刃傷に及んだ折、かねてから恋仲の腰元のお軽との逢瀬を楽しんでいたばかりに、お家の大事に駈けつけられなかった勘平は、その申し訳に切腹しようとします。
お軽は勘平を押し留め、自らの在所である山崎の里へ落ち延びることを勧めます。心優しいお軽の申し出に勘平も得心し、その場から立ち去ろうとするところへ、師直の家臣鷺坂伴内(團蔵)が手勢を引き連れ、ふたりを捕えにやって来ます。しかし武勇に優れる勘平はそれを打ち負かし、ふたりは山崎の里へと向かっていくのでした。
夜の部
「五段目」
猟師となった勘平(菊五郎)は、山崎街道で塩冶浪人の千崎弥五郎(権十郎)に出会い、仇討ちに加わるための資金調達を約束します。同じ頃、勘平の妻となったお軽の父与市兵衛が、勘平の仕官の資金を用立てるため、園の廓一文字屋と、お軽の身売り話をまとめ、前金の五十両を貰って夜道を急いでいます。与市兵衛が稲叢に差し掛かり一息ついていると、山賊となった塩冶浪人斧定九郎(梅玉)が現れて与市兵衛を斬り殺し、その財布を奪います。そこへ猪が走り込んで来て銃声が鳴り、定九郎が倒れます。
勘平が、獲物を追って現れ、暗闇の中を手探りで近づくと、自分が誤って人を撃ったことを知ります。慌てる勘平ですが、死体の懐の金に気付くと、それを抜き取り、その場を逃げ去っていくのでした。
「六段目」
翌朝、勘平が家に戻ると、一文字屋お才(芝翫)と判人源六(左團次)がお軽(時蔵)を引き取りにやってきています。お才の話を聞き、昨日誤って撃ち殺したのが舅の与市兵衛だと思い込む勘平。お軽が去った後、与市兵衛の死骸が家に運び込まれ、うろたえる勘平を不信に思ったお軽の母おかや(東蔵)が勘平を責め立てます。そこへ不破数右衛門(段四郎)と千崎弥五郎があらわれ、不忠不義の金は受け取れないと、五十両の金を勘平に突き返します。 追い込まれた勘平は、自らの腹に刀をつきたて、自分の思いを吐露していきます。それを聞いた弥五郎が与市兵衛の死骸を改めると、定九郎が与市兵衛を殺害して金を奪い、その定九郎を勘平が殺したことが判明します。疑いの晴れた勘平は仇討ちの連判状に血判を押すと、息絶えるのでした。
「七段目」
祇園の一力茶屋で遊興に耽る大星由良之助(仁左衛門)のもとへ、塩冶浪人達(松江、男女蔵)が訪れ、鎌倉への出立の時期を問います。遊女お軽(福助)の兄で足軽の寺岡平右衛門(幸四郎)も、仇討ちに加わりたいと願い出ますが、相手にされません。夜が更け、大星力弥(門之助)が顔世御前からの密書を携えてやってきます。やがてお軽(福助)と、師直に内通する元塩冶家老、斧九太夫(錦吾)に、密書を盗み読まれたことに気づいた由良之助は、お軽を身請けすると言って奥へ去ります。
そこへ平右衛門が現れ、身請けの話は偽りで、実は由良之助が妹お軽を殺す心積りと悟ります。兄は自ら妹を手にかける覚悟を決め、お軽も兄に従おうとします。そこへ由良之助が現れて兄妹を留め、勘平のかわりにお軽に九太夫を討たせると、平右衛門が仇討ちに加わることを許すのでした。
「十一段目」
由良之助に率いられた浪士達(友右衛門、錦之助、門之助、松江、男女蔵、萬太郎、宗之助)が師直の屋敷に討入り、師直の家臣小林平八郎(歌昇)らと激闘を繰り広げます。一同はやがて師直が炭小屋に潜むところを発見し、ついに師直を討ち取ります。亡君の墓前にその首を供えるため菩提所へ向う一行は、両国橋で営中守護の旗本、服部逸郎(梅玉)に出会います。服部は一行に通行を許し、見事本懐を遂げた浪士達を讃えるのでした。
壮大なドラマの大団円に相応しい、爽快感に満ちた幕切れです。
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