公演情報詳細
二月大歌舞伎 |
当公演は終了いたしました。
2007年2月1日(木)~25日(日)
劇場:歌舞伎座
『仮名手本忠臣蔵』昼の部「四段目 扇ヶ谷塩冶判官切腹の場」は、演出の都合上、客席内へお出入りを一部ご遠慮いただいております。
なにとぞ、お早めにご着席くださいますようお願い申し上げますとともに、ご諒承を賜りますようお願い申し上げます。
『仮名手本忠臣蔵』昼の部「四段目 扇ヶ谷塩冶判官切腹の場」は、演出の都合上、客席内へお出入りを一部ご遠慮いただいております。
なにとぞ、お早めにご着席くださいますようお願い申し上げますとともに、ご諒承を賜りますようお願い申し上げます。
演目と配役
昼の部
通し狂言 仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)
大 序 鶴ヶ岡社頭兜改めの場
三段目 足利館門前進物の場
同 松の間刃傷の場
高師直 桃井若狭之助 足利直義 鷺坂伴内 顔世御前 塩冶判官 | 富十郎 吉右衛門 信二郎 錦吾 魁春 菊五郎 |
四段目 扇ヶ谷塩冶判官切腹の場
同 表門城明渡しの場
塩冶判官 石堂右馬之丞 顔世御前 大星力弥 大鷲文吾 小汐田又之丞 竹森喜多八 木村岡右衛門 倉橋伝助 佐藤与茂七 勝田新左衛門 小野寺十内 斧九太夫 原郷右衛門 薬師寺次郎左衛門 大星由良之助 | 菊五郎 梅玉 魁春 梅枝 秀調 高麗蔵 松江 男女蔵 猿弥 宗之助 桂三 門之助 芦燕 東蔵 左團次 幸四郎 |
浄瑠璃 道行旅路の花聟
早野勘平 鷺坂伴内 腰元お軽 | 梅玉 翫雀 時蔵 |
夜の部
通し狂言 仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)
五段目 山崎街道鉄砲渡しの場
同 二つ玉の場
六段目 与市兵衛内勘平腹切の場
早野勘平 斧定九郎 一文字屋お才 千崎弥五郎 おかや 判人源六 不破数右衛門 女房お軽 | 菊五郎 梅玉 時蔵 権十郎 吉之丞 東蔵 左團次 玉三郎 |
七段目 祇園一力茶屋の場
大星由良之助 遊女お軽 大星力弥 赤垣源蔵 竹森喜多八 矢間重太郎 鷺坂伴内 斧九太夫 寺岡平右衛門 | 吉右衛門 玉三郎 児太郎 友右衛門 松江 吉之助 亀鶴 芦燕 仁左衛門 |
十一段目 高家表門討入りの場
同 奥庭泉水の場
同 炭部屋本懐の場
大星由良之助 小林平八郎 竹森喜多八 磯貝十郎左衛門 大星力弥 高師直 村松三太夫 富森助右衛門 原郷右衛門 | 吉右衛門 歌昇 松江 種太郎 児太郎 幸右衛門 由次郎 家橘 東蔵 |
みどころ
昼の部
通し狂言 仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)
大序
鎌倉の鶴ヶ岡八幡宮。足利直義(信二郎)は討死した新田義貞の兜の鑑定役に、塩冶判官の妻顔世御前(魁春)を呼び寄せます。以前から美貌の顔世に懸想していた足利家の執権高師直(富十郎)が言い寄ると、見かねた桃井若狭之助(吉右衛門)が助けに入ります。気分を害した師直は、若狭之助を散々に侮辱。煽られた若狭之助は思わず刀に手を掛けますが、塩冶判官(菊五郎)が止めに入ります。
開幕前の「口上人形」に始まり、人形のように頭をもたげた登場人物が、ひとりずつ顔を上げて命を吹き込まれていくといった儀式的演出は、『仮名手本忠臣蔵』ならではの見もの。荘重な雰囲気の中で生きた人間の情欲が起こす事件の発端に、豪華な顔ぶれがそろいました。
三段目
師直への怒りが収まらない若狭之助を見て危険を感じた桃井家家老の加古川本蔵は、師直に賄賂を贈ります。すると師直の態度は一変し、今度はその怒りの矛先が塩冶判官に移ります。あまりの屈辱に耐えかねた判官は、ついに師直を斬りつけるものの、すぐに本蔵に抱き留められ、浅傷を負わせたに止まります。
四段目
蟄居を命じられた判官のもとに、上使の石堂右馬之丞(梅玉)と薬師寺次郎左衛門(左團次)が訪れ、判官の切腹と御家断絶、所領没収という上意を伝えます。塩冶家の家臣原郷右衛門(東蔵)や家老である由良之助の嫡男力弥(梅枝)に見守られ、判官が腹に刀を突き立てると、やっと待ちに待った大星由良之助(幸四郎)が到着。主従は多くを語らず、目と目で心の内を確認し合います。葬送の後、即敵討ちを主張する家中の者たちを抑え、金の配分だけを求める斧九太夫(芦燕)を見送ると、由良之助は自らの決意を示し、城を明け渡します。
なかなか現れない由良之助を待つ判官切腹の場の緊張感と、二人の男の固い誓い。遠ざかる城門を背に、決意と孤独で万感迫る由良之助の姿。緊迫感に満ちた屈指の名場面が続きます。
道行旅路の花聟
恋人のお軽(時蔵)との逢瀬を楽しんでいて、御家の一大事に駆けつけられなかった早野勘平(梅玉)。お軽は死んで詫びようとする勘平を必死に引き留め、実家の山城国山崎へと誘います。
桜と菜の花に彩られた美しい風景の中、道化役の師直の家来鷺坂伴内(翫雀)も絡んで、美しい男女の道行が展開します。
夜の部
通し狂言 仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)
五段目
猟師となった勘平(菊五郎)は、山崎街道で塩冶家の同僚だった千崎弥五郎(権十郎)と出会い、仇討ち資金の調達を約束します。一方、お軽の父の与市兵衛は、園にお軽を身売りすることでその資金を獲得。前金五十両を懐に家路を急ぎますが、斧九太夫の息子の定九郎(梅玉)に襲われ、金も命も奪われます。しかし定九郎は、勘平が猪を狙って放った銃弾であえなく絶命。勘平はその死体の懐から五十両を抜き取ります。
ふとしたことから起こる、錯誤の悲劇の始まり。不気味な色悪の粋を見せる定九郎と、銃殺に強盗と、思わぬ罪を重ねてしまう勘平。ともに無言のうちに心象を表現する、みごとな演出が見ものです。
六段目
お軽(玉三郎)を引き取りに来た園の一文字屋お才(時蔵)と判人源六(東蔵)の話から、勘平は自分が与市兵衛を殺害したものと早とちり。動揺しつつお軽を送り出すと、姑のおかや(吉之丞)や来訪した千崎と不破数右衛門(左團次)に問いつめられ、罪を吐露して切腹します。
悲運の勘平は、菊五郎の当たり役。緻密な劇構造のもと、「色にふけったばっかりに」など名せりふと美しい型の数々で、その悲哀を描きます。
七段目
大星由良之助(吉右衛門)は園で遊興に明け暮れているかに見えますが、力弥(児太郎)が顔世御前からの密書を届けに来ると、顔つきが変わります。由良之助がその書状を読んでいると、二階から遊女となったお軽(玉三郎)、床下から裏切り者の斧九太夫(芦燕)が、同時に盗み読み。内容を知られたからには生かしておけません。かつて塩冶家の足軽でお軽の兄である寺岡平右衛門(仁左衛門)は、由良之助がお軽を身請けしたうえ殺そうとしているのを察し、自分が代わりに妹を手にかけようとします。すでに勘平が死んだことを知ったお軽は兄に従おうとしますが、由良之助が止めに入り、お軽に床下の九太夫を刺させて勘平の仇を討たせ、平右衛門を仇討ちの連判に加えます。
由良之助は酔態のうちに、臣下の焦燥感を募らせたり、真意を試す九太夫をまんまと欺いたりしながら、時に本性を垣間見せる大役。吉右衛門の由良之助に、玉三郎のお軽、仁左衛門の平右衛門という贅沢な配役です。
十一段目
12月14日。そろいの火事装束に身を包んだ塩冶の浪士たちは、大星由良之助(吉右衛門)率いる表門組、力弥(児太郎)の裏門組に分かれて高家に討ち入り、ついに本懐を遂げます。
剣豪小林平八郎(歌昇)と竹森喜多八(松江)のリアルな立廻りや、勝どきを上げる浪士達の姿など、爽快感に満ちた大団円です。
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