並木正三 その2
なみきしょうざ その2
歌舞伎の世界に戻り、再び狂言作者となった並木正三は、次々と意欲作を書き下ろしていきます。
宝暦3年(1753年)7月には、初期の代表作である『幼稚子敵討(おさなごのかたきうち)』。同年12月の『けいせい天羽衣(あまのはごろも)』では、三間四方の舞台をせり上げるという大掛かりな舞台転換を行い、これが大変な評判となって、翌年の4月まで打ち通しました。
宝暦7年(1757年)には、歌舞伎で初めて天竺徳兵衛を主人公として取り上げた『天竺徳兵衛聞書往来(てんじくとくべえききがきおうらい)』を上演し、好評を博しました。
そして宝暦8年(1758年)12月に、大坂角の芝居で上演した『三十石艠始(さんじっこくよふねのはじまり)』では、大切(おおぎり)の場面で廻り舞台を用いるという、画期的な舞台転換術を見せました。これが現行の廻り舞台の嚆矢で、大々的な土木工事を行って設けられた廻り舞台の機構は、正三の目論見どおり大きな話題となり、この作品は翌年の3月まで続演されました。(つづく) (M)
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