朱骨黄色地芭蕉

朱骨黄色地芭蕉

 芭蕉の葉を大胆に配し、どこか南方の熱気を感じさせるカラフルな扇。朱の親骨に注目してみると、彫りが施されていますが、何の形に見えるでしょうか。これは、ひょうたん彫りといって、弁慶が用いる扇に特有の図案。客席の私たちの目からは詳細がうかがえないのが残念ですが、こうした彫りひとつにも約束事が秘められているのです。

演目:決まりなし
タイプ:中啓
memo:この扇は、『船弁慶』の弁慶が用いる扇の一種。近年ではあまり使われなくなり、同型の色違いを用いることが多くなった。

文・田村民子 / 写真・諸角潤 / 協力・藤浪小道具株式会社