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新橋演舞場『平家女護嶋』の賑わい

 2024年1月6日(土)、新橋演舞場で「初春歌舞伎公演」『平家女護嶋 恩愛麻絲央源平―SANEMORI PARTII―』の初日が開幕しました。

 令和5(2023)年1月に好評を博した『SANEMORI』をふまえ、今年歿後300年となる近松門左衛門の作による『平家女護嶋』から新たな着想と趣向を取り入れ、『平家女護嶋 恩愛麻絲央源平―SANEMORI PARTⅡ―』として生まれた本作。團十郎が俊寛僧都、常盤御前、斎藤別当実盛の3役を勤め、お正月にふさわしい華やかな演出のなかに、乱世の世の深い愛を守り抜く親子、夫婦の絆を描いています。

 

 平家打倒の反乱に失敗し、鬼界ヶ島に流された俊寛僧都(團十郎)。妻・あづまや(孝太郎)が自らを思い自害したと知った俊寛は、島に留まることを選びます。現世との別れの場面に、客席は涙に包まれます。一方、都では、平治の乱に敗れた源義朝の妻・常盤御前(團十郎)が、平清盛の愛妾となりましたが、夜な夜な寝所の朱雀御所に男を引き入れているという噂が広がります。元は源氏の武将でありながら、平家に使える斎藤実盛(團十郎)が身をやつして朱雀御所に詮議にやってきますが、女童の姿となった源牛若丸(新之助)ともみ合いになるうち、二人はそれぞれ源氏再興のため素性を隠していることが明るみに。源平の時代の複雑な背景と心の内が、物語を盛り立てます。

 

 そんな折、父を探しにやってきたひな鶴(ぼたん)が実盛の前に現れ…。程なくして実盛は、朱雀御所で常盤御前と牛若丸を逃がそうとします。物語がテンポよく展開していくと同時に繰り広げられる團十郎の早替りに、客席からは驚きの声が上がります。一方、常盤御前との別れを惜しむ牛若丸は、平家方に追われ大立廻りに。新之助の熱演に、大きな拍手が送られました。平家の追手から逃れた義経は、逢坂山からまさに旅立とうとするところ。そこに控える実盛のところへ、ひな鶴がやってきます。義経の計らいで二人が親子であることを名のりあい…。團十郎、ぼたん、新之助がそろって華やかな幕切れとなりました。

 新橋演舞場「初春歌舞伎公演」は25日(木)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。

2024/01/17