2023年4月2日（日）、歌舞伎座「鳳凰祭四月大歌舞伎」の初日が幕を開けました。

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　平成25（2013）年4月に第五期として新装開場した歌舞伎座。今月は「歌舞伎座新開場十周年記念」として、座紋の鳳凰丸を冠した公演となります。

　昼の部は、夢枕獏が描いた伝奇小説「陰陽師」を原作とした『新・陰陽師』。平成25年の「歌舞伎座新開場柿葺落」で上演され話題を呼んだ『陰陽師』から10年、今回は脚本、演出を一新し、次代を担う花形俳優が集結して舞台を盛り上げます。平安時代中期。同郷の友人である平将門（巳之助）と俵藤太（中村福之助）が、故郷・東国の窮状を救うという同じ志をもちながら、それぞれ別の道を歩むことになります。それから8年後、藤太は関八州を掌握した将門討伐の勅命を受けます。藤太が恋仲である桔梗の前（児太郎）を恩賞として所望し、東国に向かう決意をすると、現れたのは怪しげな雰囲気を漂わせた蘆屋道満（猿之助）。ただならぬオーラを放つ道満の登場に、場内が大きな拍手に包まれます。悪の力強さで魅せる将門や興世王（尾上右近）が現れ、序幕からテンポよく躍動する展開に目が離せません。

　聡明で不思議な能力をもつ主人公・安倍晴明（隼人）と、親しみやすく愛されるキャラクターの源博雅（染五郎）が登場すると、華やか雰囲気で場内を魅了します。将門の妹・滝夜叉姫（壱太郎）は、どこか影のある哀愁を見せ、その美しさにすっかり心奪われる博雅の様子が微笑ましく、客席を和ませました。晴明は将門の蘇生を謀る一味の企てに立ち向かうなか、大蛇丸（鷹之資）の加勢を得ます。晴明と将門が舞台上を飛び回る、迫力ある立廻りを見せ、猿之助の道満による宙乗りで盛り上がります。『車引』や『吉野山』など古典の趣向が散りばめられ、若手がそれぞれの持ち場でしのぎを削る白熱した舞台に、場内は興奮に包まれました。

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　夜の部は、世話物の名作『与話情浮名横櫛』で幕を開けます。仁左衛門の与三郎、玉三郎のお富の配役での上演は実に18年ぶり。人で賑わう木更津の浜辺にやって来たのは、仁左衛門勤める与三郎。舞台から降りて客席のなかを練り歩く演出に、場内の熱気が高まります。そして玉三郎勤めるお富と互いにひと目惚れする「見染」の場面では、まるで時が止まったかのように見つめ合う二人の姿に、観客の視線は釘付けとなりました。続いての「赤間別荘」では、二人の密会が片岡亀蔵勤める赤間源左衛門に見つかり、与三郎は顔も身体も斬りつけられたうえに、海に投げ込まれてしまいます。お富も後を追って海に身を投げますが、3年後、二人は思いもかけず再会を果たし…。「源氏店」は、湯屋から戻ったお富の艶やかさがみどころで、与三郎が放つ「しがねえ恋の情けが仇」から始まるせりふが有名な名場面。男女の不思議な巡り合いを描く名作で、仁左衛門と玉三郎の息の合ったやり取りが会場を魅了しました。

　最後は歌舞伎舞踊の大曲『連獅子』。松緑と左近の親子が、本興行では初めて勤めます。文殊菩薩が住むという霊地清涼山。その麓の石橋に、松緑勤める狂言師右近と、左近勤める狂言師左近が手獅子を携えて現れ、親獅子が仔獅子を谷底へと蹴落とし、自力で這い上がってきた子だけを育てるという故事を踊ります。仔獅子を思う親心、親獅子を慕う仔獅子の健気さが格式高く描かれます。続いて、権十郎勤める僧遍念、坂東亀蔵勤める僧蓮念によるユーモラスな間狂言を挟み、獅子の親子が花道に現れると、場内の空気は一変。松緑の親獅子の精が放つ貫禄、左近の仔獅子の精からあふれるひたむきさと躍動的な姿で勇壮な毛振りを見せ、鳴り止まない拍手のなか幕切れとなりました。

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　歌舞伎座新開場10周年を記念して、歌舞伎座地下2階の木挽町広場では、「SEIKO×歌舞伎座」コラボレーション腕時計（男女兼用）をはじめ、魅力あるたくさんの10周年記念商品を販売しておりますので、ご観劇の際はぜひお立ち寄りください。

　歌舞伎座「鳳凰祭四月大歌舞伎」は27日（木）までの公演。チケットは、チケットWeb松竹、チケットホン松竹で販売中です。