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歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」初日開幕

歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」初日開幕

 

 1月2日(日)、歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」の初日が幕を開けました。

 2022年も、歌舞伎座では引き続き三部制(各部総入れ替え、幕間あり)で公演を行います。今年から客席は間隔を空けた2席並びを原則とする配置で販売し、引き続き換気、消毒など、感染予防対策を徹底してお客様をお迎えします。

 

 歌舞伎座の新年は、『一條大蔵譚』から始まります。一條大蔵長成を勘九郎、鬼次郎を獅童、その女房お京を七之助、常盤御前を扇雀が勤めます。平成24(2012)年の自身の襲名以来となる勘九郎の大蔵卿が、前半の「檜垣茶屋の場」に出て来た途端に、客席は笑いに包まれます。公家訛りを織り交ぜた独特なせりふ回しやぶっかえり、そしてチャーミングな作り阿呆と爽やかな本性とのみごとな演じ分けに、観客もすっかり魅了された様子でした。

 

 第一部の二幕目は、華やかな『祝春元禄花見踊』です。桜色に染まった、目にも美しい舞台で花見の宴が催され、若衆たちが舞い踊ります。そこへ、勘九郎演じる山三と七之助演じる阿国、そして獅童演じる真柴久吉と、このたび初お目見得となる、獅童長男の小川陽喜演じる奴喜蔵が登場します。久吉を狙う武智光秀の残党を相手に凛々しい隈取り姿で立廻り、見得や飛び六方を見せた喜蔵。最後に全員が並んできまると、歌舞伎座を万雷の拍手が包みました。

 第二部の幕開きでは、初春を祝う『春の寿』と題し、舞踊2題をお届けします。『三番叟』では、翁を梅玉、女方の千歳を魁春が格調高く勤め、また三番叟の芝翫が躍動的な踊りを見せます。続く『萬歳』では、萬歳を又五郎、才造を鴈治郎が勤め、商売繁盛を祈りながら、軽妙な舞で賑やかに新年を寿ぎます。年明けに相応しい舞踊がたっぷりと披露され、劇場もすっかり正月らしい、澄んだ明るい雰囲気に満ちあふれました。

 

 続いての『艪清の夢』は、幸四郎勤める艪屋の清吉と孝太郎勤める女房おちょうの夫婦が借金を抱え、家移りした場面から始まります。歌六勤める家主六右衛門の勧めで、二人は金目当てで、錦之助勤める横島伴蔵を騙します。『仮名手本忠臣蔵』『廓文章』などの名作のパロディや滑稽なやりとりに、客席にも終始笑顔が広がります。七福神が描かれた宝船の一軸を探し求める清吉がみた夢は…。新年の初笑いに相応しい楽しいひとときです。

 第三部の最初を飾るのは『岩戸の景清』。天変地異により光が失われ闇となったため、その原因と判明した江の島の岩屋の前に、源氏方の秩父重忠(歌昇)、北條時政(巳之助)をはじめとする諸大名が集結します。その岩戸に潜んでいたのは、頼朝を狙う悪七兵衛景清(松也)。立廻りやだんまり、六方の引込みに数々の見得と、歌舞伎ならではの眼目が詰まった舞台から、若き俳優たちの勢いがあふれ、お客様からも熱い拍手が寄せられました。

 

 初春の歌舞伎座公演は『義経千本桜』「川連法眼館の場」が締めくくります。5年半ぶりとなる猿之助の狐忠信は、貴公子然とした前半の佐藤忠信から、観客の心をつかみます。目を奪われる早替りからの狐忠信では、狐らしい仕草やケレン味ある動きが観る者をすっかり釘付けに。川連法眼を東蔵、静御前を雀右衛門、門之助が義経を勤める充実の舞台で、狐忠信が桜吹雪が舞う花道の上を飛んでいきます。一昨年の8月以降、久々に復活する客席上の宙乗りとあって、場内が大きく沸き返るなかでの打ち出しとなりました。

歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」初日開幕

 

 お正月らしい飾り付けと並んで、啓翁桜もほころびはじめた歌舞伎座地下2階の木挽町広場では、1月5日(水)に望月太左衛一門によるお囃子、獅子舞が登場します。また、今年から毎週木曜に歌舞伎座南東側の木挽町通り沿いで、「歌舞伎座朝市」が開催されますので、ご来場の際にはぜひお立ち寄りください。

 

 歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」は27日(木)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売中です。

2022/01/05