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壱太郎、寿猿、寿治郎に松尾芸能賞
3月28日(木)、「第40回松尾芸能賞」贈呈式が行われ、演劇部門の新人賞を受賞した中村壱太郎と、松尾國三賞を受賞した市川寿猿、松尾波儔江賞を受賞した中村寿治郎が出席しました。
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公益財団法人松尾芸能振興財団による松尾芸能賞は、「日本の文化・芸能の保存・向上に寄与した芸能出演者や演出・音楽・劇場芸能に高い技能を持つ人」に贈られるもので、今年で第40回目の節目を迎えています。
壱太郎の贈賞理由としては、「上方歌舞伎の若手女方として貴重な存在であり、近年の成長著しく、『心中天網島』の小春、『滝の白糸』、『於染久松色読販』の主演など、幅広い役柄を手がける一方で、平成26(2014)年に吾妻徳陽として、日本舞踊吾妻流七代目家元を襲名し、今後も歌舞伎をはじめ多方面での活躍が期待される」旨が挙げられました。
賞を受けた壱太郎は、「私の芸の根本には上方歌舞伎の修業ということがございます。また昨年は特に、歌舞伎座で大きな舞台を数々勤めさせていただき、それが血となり肉となりました。そうした経験を評価していただき、たいへんうれしく思っております」と、素直な気持ちを表現し、感謝を込めて挨拶。「一所懸命に、稽古、修業、精進を重ねて、いつか大きな花を咲かせられるよう、この役者人生を歩んでいきたいと思っている次第でございます」と、真摯な表情で語ると、会場が期待に満ちた拍手に包まれました。
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また今回は松尾國三賞を、「長年代々の猿之助が拓いてきた多彩な歌舞伎を支え、年輪を重ねた自在な芸をもって歌舞伎界へ大きな功績を残してきた」という理由で、寿猿が受賞しました。登壇した寿猿は、「誠にうれしく、ありがたく思っております。歳を忘れて頑張りたいと思います」と、力強く述べました。
「上方歌舞伎独自の味わいを出して舞台を盛り上げ、欠かせない脇役として、その伝承と発展に多大な貢献をしてきたこと」が評価され、松尾波儔江賞を受賞した寿治郎は、「これも皆様のお陰と心より御礼申し上げます。誠にありがとうございました」と、晴れやかな面持ちで声を張りました。
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贈呈式後の取材に出席した壱太郎は、「一時いっときを無駄にすることなく、これからも芸能に精進して、よい舞台をしっかり勤めたい。今後は、古典はもとより、新作歌舞伎やたくさんのことに挑戦して、成果をあげたいです」と、これからに向けての決意を明かしました。