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新橋演舞場 大阪松竹座『るろうに剣心』早霧せいな、猿四郎が語る
10月に新橋演舞場、11月に大阪松竹座で上演される「浪漫活劇『るろうに剣心』」で、主演の早霧せいなと立師として参加する市川猿四郎が、公演に向けて語りました。
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2年前、宝塚歌劇団で雪組トップスターの早霧が、『るろうに剣心』の緋村剣心を勤めたとき、歌舞伎の要素をとり込んだ一場にタテをつけた猿四郎。今回も立師として同じ場面の立廻りをつくります。
――猿四郎さんが2年前、宝塚歌劇団でタテをつけたときの印象は。
早霧 猿四郎先生のやってくださる所作が、目から鱗でした。同じようにしたいけどやり方がわからない、手の開き方ひとつでも、手がつる!と思ったくらい、その形にもっていくまでの難しさ。そこまでもっていけたら格好いいんだなという、理想形を見せていただきました。
猿四郎 右も左もわからない宝塚でしたから、稽古場では居場所がなくて初めは緊張していました。女性ばかりですし。でも、懐かしいです。皆さんとても優秀で、主役がいると周りの人たちは自分の居所がわかる。歌舞伎もそうです。統一感、そろえるところは歌舞伎より訓練されている印象でした。そして、稽古場で早霧さんを見たときから、剣心さんってこういう人なんだなあと思いました。
――歌舞伎のタテを、歌舞伎俳優ではない歌劇団の方につけるのはどうでしたか。
猿四郎 歌舞伎しか知りませんので、宝塚でもいつもと同じことをしました。基本的なことです。やっていることは同じなので、たとえば、宝塚でもきまったところでポーズをするので、皆さん見せ方はわかっています。ですから、言うとわかってもらえます。
早霧 おっしゃることはなんとなく想像はつくのですが、そこに行くまでの道筋が…。
猿四郎 点から点に行く道筋は、歌舞伎は独特ですからね。でも、皆さん日本舞踊を習っているし、それに早霧さんはセンスがいいから、見ればわかる。これは大事です。イメージできないものは表現できませんから。今度はもう少し手も増やし、長くやりたいですね。
早霧 歌舞伎の要素を入れたいと(演出の)小池先生がおっしゃったことは、すごく大きなことだったと私は思います。漫画の舞台化は、普通に演じるだけでは限界がありますが、歌舞伎という要素が入るだけで、(生身の)リアルさと(原作漫画の)夢の間のいい部分が出て、違和感がなくなりました。
――歌舞伎の立廻りと、ほかのアクションシーンとの違いは。
早霧 スピード感が全然違います。歌舞伎の動きは大きく、ゆったりしているので、空間を大きく使う。その分、隠されることがないので全部見られています。すると、自分の粗がわかるんです、自分自身が一番わかります。歌舞伎には型がありますが、舞台に立つ人なら誰もが美しいもの、格好いいものにもっていこうとします。けれど、人によって違いが出ますよね。
猿四郎 プロですから一定レベルにはなっていないとだめですが、あとは見る方の好みじゃないでしょうか。だからこそ、自分がいいと信じるものをやる。これでいく、と決めないと舞台には出られません。お稽古が足りないと嫌です、怖いです。
早霧 自信がないとそれが末端に表れます、足先に、手先に。
――今回、演出の小池修一郎さんが、前回と「ほぼ変えない」とおっしゃったそうですね。
早霧 それはもともとある曲、台本を変えないということで、劇場、演者は変わりますから、変えないからこそ変わることが際立つと思います。
猿四郎 今回は、剣心の相手が男性ですから斬馬刀を存分に振り回せるし、いろいろやってもらおうかなと思います。早霧さんは立ち姿が美しい、いるだけでパワーがあります。なるべく余計なことをせず、シンプルなほうがいいと思います。一対一の立廻りだからそれなりにはやっていただかないといけませんが、理想は動かないこと。歌舞伎の立廻りでも、来る者に対して動いたほうが大きく見える、といいますから。
――新橋演舞場、大阪松竹座だからやりたい、これができるということはありますか。
猿四郎 前回とは違うことができたらいいなと思います。やってよければ、ぐっと歌舞伎に寄った感じにしたい。花道もありますし。引込み、六方…。
早霧 花道でのやり方はぜひ知りたいです。たとえ演出になくても、個人的に知りたいです。
猿四郎 皆が先に引っ込んで、剣心は一人残って決心してポーズをきめて、なるべくスーッと…。引込みは絶対やりたいですね。
早霧 歌舞伎の立廻りがほかのアクションシーンと違うからこそ、そこを宝箱ではないですけれどとっておきにしたい。でも、せっかくの新橋演舞場、大阪松竹座ですから、もうちょっと歌舞伎の要素が増えるといいなと、私は思っています。
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「再演に当たり原作に立ち返ったとき、2年前の濃い経験があったために、原作が全然違って感じられました。今、目の前に見えている輝いた世界観をお客様にお伝えできたら、絶対、喜んでいただける、楽しんでいただける作品になります」。早霧の見せる新たな剣心が、どんな宝箱を開けてどんな景色を見せてくれるのか、楽しみがふくらむ対談でした。
浪漫活劇『るろうに剣心』は、10月11日(木)~11月7日(水)新橋演舞場、11月15日(木)~24日(土)大阪松竹座で上演。チケットは、チケットWeb松竹、チケットWeb松竹スマートフォンサイト、チケットホン松竹で販売中です。