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大阪松竹座「七月大歌舞伎」高麗屋襲名の賑わい

 7月3日(火)、大阪松竹座「七月大歌舞伎」が初日の幕を開け、二代目松本白鸚、十代目松本幸四郎の襲名披露が始まりました。

 昼の部『廓三番叟』で華やかに高麗屋の襲名披露を寿いだ大阪松竹座。朝から気温がうなぎ上りの大阪でしたが、場内も待ちに待った二代目白鸚、十代目幸四郎、二人の襲名を祝うお客様の熱気がぐんぐんと高まっていました。『車引』は又五郎の松王丸、鴈治郎の梅王丸に扇雀の桜丸。歌舞伎の様式美にあふれたひと幕で、お客様を魅了しました。

 

 二代目白鸚の襲名披露狂言は『河内山』。白鸚となって初めての河内山宗俊、松江邸玄関先で正体を見破られても、歌六の出雲守に小気味のよい啖呵を切って逆にやり込め、帰り際に振り返ってのひと言が「馬鹿め」。暑さを吹き飛ばし、うさも晴らしてすっきり、お客様も大喜びでした。

 

 続いて、3度目の弁慶で大阪に襲名を披露する十代目幸四郎、対するのは仁左衛門の富樫という『勧進帳』。二人が生む緊張感を前にしては、客席は息をのんで舞台を見つめることしかできません。幕外の豪快な飛び六方に客席からの惜しみない拍手がいつまでも響きました。

 夜の部は、仁左衛門が大阪松竹座で綱豊卿を勤めるのは8年ぶり2度目という『御浜御殿綱豊卿』から。血気に逸る中車の富森助右衛門との緊迫した時間は、過ぎていくのが惜しいばかりでした。幕間をはさんで襲名披露『口上』は舞台上に13名が並び、全員が顔を上げたときの豪華な眺めに、大きな拍手が起きました。

 

 白鸚は「高麗屋!」「二代目!」と途切れなく声がかかるなか、大阪で襲名披露が行われることを「泉下の父もさぞ喜びおることと存じます」と感謝し、「関西・歌舞伎を愛する会の公演では30年前、中座において『四谷怪談』伊右衛門を勤めました折にご覧に入れておりまする。それからのち、数々のお力を賜りました」と、ご当地大阪へ重ねて御礼を述べました。

 

 幸四郎も夏芝居には中座への出演以来、「さまざまな役を勤めさせていただき、たくさんの汗をかかせていただいております。その育てていただきました大阪の地におきまして諸先輩にご一座いただき、大歌舞伎興行で父とともに襲名披露が執り行えますること、誠にありがたく心より御礼を申し上げる次第にござりまする」と深い感謝を表し、場内が喝采に包まれました。

 

 切狂言は『女殺油地獄』。「今までのものをすべて出せるようにして臨みたい」と、5度目の与兵衛への思いを語っていた幸四郎。猿之助のお吉と見せるドラマ、そして、暗闇の油屋で繰り広げられる壮絶な殺し場。ドラマでありながらどの一瞬を切りとっても絵になる、どんなに感情的になっていても、せりふが意味を持って心を動かす…、仁左衛門監修のもと、念願の大阪での与兵衛に挑んだ幸四郎へ、お客様は襲名披露への祝福も込めて大きな拍手を贈りました。

大阪松竹座「七月大歌舞伎」高麗屋襲名の賑わい

 近年の舞台写真の数々に、感動の思い出をよみがえらせるお客様がたくさん。ここも撮影スポットです

 客席1階ロビーには「祝幕壱張」と書かれた箱とともに、白鸚と幸四郎の近年の舞台写真が飾られています。また、劇場2階の売店ロビーには、襲名披露興行が始まる前に東京の和光で開催された「高麗屋三代襲名記念展」に寄せて、襲名披露の三人が押隈にサインしたパネルも展示。お客様の絶好の撮影スポットとなっています。その向かい側では、37年の時を経て再び行われる奇跡の三代襲名を、初世白鸚の舞台を含めた懐かしの舞台写真で振り返ることができます。

 

 襲名を寿ぐ大阪松竹座「七月大歌舞伎」は7月27日(金)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットWeb松竹スマートフォンサイトチケットホン松竹で販売中です。

 

大阪松竹座「七月大歌舞伎」高麗屋襲名の賑わい

 左から八代目染五郎、十代目幸四郎、二代目白鸚、三人の直筆サインが入った貴重なパネルです

大阪松竹座「七月大歌舞伎」高麗屋襲名の賑わい

 歌舞伎以外の舞台写真も多数。挑戦し続ける高麗屋ならではの歴史が感じられます。お見逃しなく!

2018/07/04