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三代同時襲名記念特別展「高麗屋のコリャイイや」も開幕
2月25日(日)まで、歌舞伎座ギャラリーの木挽町ホールでは、三代同時襲名記念特別展「高麗屋のコリャイイや」を開催、オープニングの1月2日(火)には、十代目松本幸四郎がテープカットを行いました。
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歌舞伎座初日の昼の部『菅原伝授手習鑑』「車引」松王丸で、染五郎改め十代目松本幸四郎として歌舞伎座の舞台を踏んだばかりの新幸四郎が、その舞台の息遣いまで聞こえてきそうな松王丸の等身大フィギュアと対面したのが、特別展「高麗屋のコリャイイや」。司会の「高麗屋!」に続けてお客様の「コリャイイや!」の声とともに、幸四郎のテープカットが行われました。
幸四郎の趣味を集めた襲名披露記念の特別展
「歌舞伎座の舞台では古典の大歌舞伎を、諸先輩方に一座していただいての大歌舞伎をご覧になっていただきたい。そして、歌舞伎座ギャラリーにおいては、限りなく私の個人的な趣味を皆様にお楽しみいただきたい」。同じ歌舞伎座の建物の中でも、襲名披露の舞台上で見せる顔とは打って変わって、「この“とっちらかっている”のが、私の生きざま」と、幸四郎はいたずらっぽい顔を見せました。
ひと言でくくるなら「幸四郎ごのみ」としかいいようのない、さまざまなものが集められた特別展です。幸四郎の思い出の舞台にちなんだ貴重な品々の隣に、趣味で集めたものが詰め込まれ、かと思うと、白鸚の弁慶の舞台衣裳が飾られていたり、染五郎が自宅で上演している「犬丸座」の大道具があったり。一番のみどころは、「なにはともあれ“僕”ですね。等身大のフィギュアを海洋堂さんがつくってくださいました」。これには、やはりひときわ強い思いがある様子です。
襲名披露狂言の等身大松王丸に本人も大満足
「襲名で勤めさせていただいている『車引』の松王丸ですが、(その襲名披露狂言の)ポスター撮影のとき、海洋堂さんがいらして、360度撮影をしてリアルに再現していただきました。フィギュア好き、海洋堂好きの私にはなによりの宝物」と、手放しの喜びよう。フィギュアの製作で抜群の知名度と人気を誇る海洋堂が、唯一無二の作品として完成させた幸四郎松王丸は、顔の表情はもとより、衣裳の質感まで驚くほどの再現力を発揮しています。「ただ、等身大なので、置き場所が…」と、うれしい悲鳴の幸四郎。会場には弁慶の1/8スタチュー(無可動の立像)も飾られています。
さらに、「倅は絵が好きで、自分のやりたい役を描いたものを襖絵にし、三代の口上写真をパネルにしました。(パネルの隣に)お座りいただければ、三代とともに記念写真が撮れます」。観光地の顔出し記念写真パネルにも近い感覚ですが、「ここは銀座の真ん中、歌舞伎の殿堂、歌舞伎座の5階。これが私のおもてなしです」。『船弁慶』『勧進帳』『関の扉』と紋が描かれた襖を指しながら、胸を張っておすすめする幸四郎のうれしそうな顔に、さっそく会場へ駆けつけたお客様から笑顔が返ってきました。
必見! 37年前の襲名披露「口上」はフルバージョンで
会場では特別映像として、37年前の高麗屋三代の襲名披露口上の舞台が、ノーカットでご覧になれます。初世白鸚が、「まだまだ歌舞伎修業中でございます」と九代目幸四郎を、「ゆくゆくは十代目幸四郎ともなれますように」と、七代目染五郎を紹介しています。そして、列座した俳優たちの豪華さ。特に、六世歌右衛門から共演の多かった初世白鸚への花向けの言葉、九代目幸四郎にかけた「てるあきちゃん(本名)、本当におめでとうございます」という、心温まる口上は必見です。
七世芝翫、九世宗十郎、七世梅幸、十七世羽左衛門、四世雀右衛門、三世権十郎、七世簑助(九世三津五郎)、十世海老蔵(十二世團十郎)、初世辰之助(三世松緑)、二世松緑(以上、登場順)と、懐かしの顔が見られる一方、二代目白鸚、十代目幸四郎以外にも今月の「口上」と同じ顔が並びます。ほかに、先日、歌舞伎座ギャラリーで行われた「三代紀夢窓II夜」のトークの模様などもご覧になれる、三代同時襲名記念特別展「高麗屋のコリャイイや」。時間をたっぷりとってゆっくりと、新幸四郎のおもてなしを楽しんでください。