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松也「舟木一夫特別公演」『忠臣蔵』初日に向けて
12月2日(土)に開幕する新橋演舞場「舟木一夫特別公演」で、通し狂言『忠臣蔵』に出演する尾上松也が、舟木一夫、里見浩太朗とともに初日への意気込みを語りました。
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新橋演舞場の「舟木一夫特別公演」に3度目の出演となる里見が、出ずっぱりの舟木を気遣い、「大変だとは思いますが、本当に素晴らしい大石内蔵助。きっとお客様を満足させることでしょう。乞うご期待」と切り出して始まった取材は、三人が終始和やかな雰囲気で、稽古が順調なことをうかがわせました。
歌舞伎では勤めていない役に挑戦
松也は浅野内匠頭。「歌舞伎にも『仮名手本忠臣蔵』があり、『忠臣蔵』は日本人にとってかけがえのない物語。歌舞伎では塩冶判官になりますが、浅野内匠頭という役は、憧れの役の一つ。舟木さんの大石内蔵助で浅野内匠頭、本当にうれしいです。『忠臣蔵』の中では、出番は多くないのですが、そのなかで話の軸になり、内匠頭のために家臣が苦労して大望を果たしてくれる、家臣の皆さんが敵討ちをしたいと思えるような内匠頭にできたら」。
その松也の言葉を受け、「この殿様がもうちょっと我慢してくれてたら苦労しなかったのにという話もありますが…」と、笑いを誘ったのは舟木。「(声を荒げる)松の廊下、喉に気を付けて」と、松也に声をかけ、「松の廊下は事件の発端。吉良と内匠頭がきちっと相対してくれないと、話にならない。今回は苦虫かみつぶしたような吉良の林与一さんと華やかな内匠頭の松也さん。役者に恵まれました」と語りました。
さらに舟木は、仇討ちの中心となる内蔵助のごとく、一座の長として、「『忠臣蔵』は役者がそろわないと成立しない物語。綺羅星のごとく役がそろってくださってこそ、内蔵助が成り立つ」と、共演者たちに感謝しました。
内匠頭について、「映画俳優も一度はやってみたいと思う役」と若い頃、映画では残念ながら演じられなかったことを振り返った里見ですが、今回の役は千坂兵部。「内蔵助とは同門で、一緒に学んだ仲。内蔵助を死なせたくないけど、吉良は討たせたいというジレンマに陥る、そのあたりがとても面白い。駆け引きみたいなところもありますし」と、意欲満々。最後に舟木が、「忙しい師走ですが、ぜひご来場を」と呼びかけて大入りを願いました。
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昼夜で通し狂言として上演される『忠臣蔵』、前編〈昼の部〉花の巻の舞台稽古が公開されました。
赤穂を愛する内匠頭、
松の廊下の緊迫感
舞台は祇園の茶屋『一力』。主君の仇討ちなど忘れてしまったかのように遊興にふける内蔵助(舟木)の登場から物語は始まります。思い出すのは赤穂の穏やかな海、空。その思い出の赤穂の浜で内匠頭(松也)は妻あぐりとそぞろ歩きながら、赤穂の自然を愛し、江戸の生まれながら真の故郷のような気がすると語り始めます。幼くして家督を継ぎ、夫婦仲睦まじく暮らす赤穂への愛着とともに、気の短さや気が変わりやすいところなども見せ、丁寧な芝居で次に起こる悲劇を予兆させます。
所変わって松の廊下。御勅使饗応役の内匠頭と吉良上野介(林)が、真っ向から対立する緊迫した場面です。じりじりと締め付けてくる吉良に、怒りを募らせる内匠頭。舟木が語ったとおり、何もかも対照的な二人のドラマがしっかりと心に刻まれました。
城内で刃傷に及び、切腹した主君亡きあと、残された家臣たちと仇討ちの誓いを立て、城明け渡しの無念さに身を震わせる内蔵助。その胸中には、その場に居合わせなかったことへの後悔もあります。山科閑居で見せる内蔵助と家族の穏やかな時間は、あらためて『忠臣蔵』という物語は、逸話を持つたくさんの人物がいてこそ成り立っているということを思い出させてくれます。『仮名手本忠臣蔵』では描かれない逸話も詰め込まれた『忠臣蔵』花の巻、雪の巻、ぜひ昼夜通してご覧ください。
『忠臣蔵』前編〈昼の部〉花の巻、後編〈夜の部〉雪の巻のあとは、昼・夜別構成の「シアターコンサート」。芸能生活55周年のファイナルをヒット曲あり、新曲ありの舟木の歌声で締めくくります。
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新橋演舞場「舟木一夫特別公演」は、12月2日(土)から24日(日)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹、チケットWeb松竹スマートフォンサイト、チケットホン松竹で販売中です。