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獅童、七之助がパリ「ジャポニスム2018」で歌舞伎
2018年9月13日(木)~19日(水)、パリで開催される「ジャポニスム2018:響きあう魂」で、「松竹大歌舞伎」を国立シャイヨー宮にて公演、中村獅童、中村七之助が出演します。
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獅童と七之助が初共演の『鳴神』、初役で挑む『かさね』
「ジャポニスム 2018」は日本とフランスの首脳が昨年5月に合意した、「日本文化の素晴らしさを世界へ発信する取り組み」として、日仏友好160周年にあたる2018年の7月中旬から約8カ月にわたり、パリで開催される大規模な複合型イベントです。展覧会、舞台公演、映像、生活文化などの4つのカテゴリーで50を超える企画が予定されており、20を超す会場で、日本の縄文文化、伝統文化から今現在の文化まで、さまざまな切り口で紹介していきます。
そして、数ある公式企画のなか、パリで11年ぶりの歌舞伎公演となるのが、獅童と七之助が出演する「松竹大歌舞伎」です。会場は、エッフェル塔に近いトロカデロ広場にある国立シャイヨー劇場。劇場のシーズンオープニングを飾る公演として、目の肥えたパリの舞台芸術ファンに、日本の伝統芸能の魅力を発信する任を担う公演です。また、この公演で、獅童と七之助はパリ初お目見得を果たします。
上演されるのは、歌舞伎十八番の内『鳴神』と『色彩間苅豆(いろもようちょっとかりまめ) かさね』。迫力の荒事と幻想的な舞踊劇には、見得やぶっ返り、クドキ、立廻りといった歌舞伎ならではの技法が詰まっており、様式美や女方の所作など歌舞伎の魅力を堪能できる2演目が披露されることになります。
獅童は鳴神上人、七之助は雲絶間姫を勤めたことはありますが、二人が『鳴神』で共演するのは初めて。また、『かさね』はともに初役となります。
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日仏の官民が全力を挙げて日本の文化を紹介する一大イベント
11月22日(水)、東京の観世能楽堂で開かれた開催記者発表会では、宮本亜門さんと渡辺真理さんの進行で、ゲストに野村萬斎さん、寺島しのぶさんと、ローラン・ピック駐日フランス大使、パリ市立プティ・パレ美術館からクリストフ・ルリボー館長も出席。宮本さんは演出作品『YUGEN 幽玄』の上演、萬斎さんは親子三代で『ディヴァイン・ダンス 三番叟』『月見座頭』に出演、寺島さんはパリ初上演の蜷川幸雄演出作品『海辺のカフカ』に出演、という形で「ジャポニスム 2018」に参加します。
はじめに、外務省の宮川学国際文化交流審議官より、「1867年、パリ万博とジャポニズムから1世紀半、日本とフランスの官と民が手を携えて、これぞ日本という企画を展開いたします。21世紀のジャポニスムの風を吹かせたいと思います」と挨拶。次に「日本の文化が堂々と海を渡っていく旗印となるように」と、服部一成氏がデザインしたシンボルマークがお披露目されました。
綿々と受け継がれる伝統文化と
現代のカルチャーと
萬斎さんは、「86歳の父と51歳の私と17歳の息子の三番叟を見比べていただくことで、日本ではそうやって綿々と続くことが(伝統文化の)根本にあることを体感していただけると思います。日本はシルクロードを通ってきた文化が集積し、発酵するような気がしています。咀嚼して違うものにする、そこを楽しんでいただきたい」と、フランスへ向けてメッセージを発信しました。
伝統あるパリの劇場で恩師蜷川の作品に出られることがうれしいという寺島さんは、「フランスはアートに対してすごくリスペクトがある。これをきっかけに本物の日本を知っていただくことになればと思います。日本人もパリでフランス人と一緒に見ると、また違ったように見えるかもしれませんね」と、日本からもぜひ会場へと呼びかけました。
日本文化に造詣の深いピック大使は、「フランス人にもっともっと日本に興味を持ってもらい、そういう人たちに両国の交流の担い手になってほしい」と期待を込めました。このイベントが「私たちへの素晴らしいプレゼント」というルリボー館長は、フランスではまだ馴染みの薄い若冲の展覧会を開くにあたり、「作品に込められた深いメッセージ性を多くのフランス人に理解してもらいたい。そして日本を称える祭典が実現できれば」と、意欲的に語りました。
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公式企画の概要や開催要項については、下記の公式サイトで紹介しています。また、「松竹大歌舞伎」については、詳細が決まり次第、ニュースでもお知らせします。