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染五郎が浅草芸能大賞奨励賞を受賞
3月19日(土)、東京 浅草公会堂で、「第32回浅草芸能大賞授賞式」が行われ、奨励賞を受賞した市川染五郎が出席しました。
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昭和59(1984)年から続く、公益財団法人台東区芸術文化財団が創設した「浅草芸能大賞」は、「大衆芸能の奨励と振興を図ること」を目的に、大賞、奨励賞、新人賞が贈られています。奨励賞受賞は、歌舞伎俳優では染五郎が5人目となります。
浅草の「初春花形歌舞伎」に19歳から3回出演、平成10(1998)年には「市川染五郎の会」を浅草公会堂で開催。また昨年は、ラスベガスで初めて歌舞伎を披露したことも含め、「伝統を重んじながら精進されるなかで、他の模範となる一方、常に新たな可能性に挑戦し、世界や次世代に歌舞伎の魅力を伝えようとする活動が、高く評価されました。さらなるご活躍を期して奨励賞を贈ります」と、贈賞理由が発表されました。
授賞式の挨拶に立った染五郎は感謝とともに、「初舞台から37年、長いことやっておりますといいことがあるんだな」、と受賞を喜びました。若いときに勉強を重ねた浅草歌舞伎にもふれ、「今年は若手に教える立場になり、自分も年をとったと実感いたしました」と続けて会場を沸かせました。そして、「昨年は叔父(吉右衛門)、8年前には父(幸四郎)が大賞。…今度は大賞をいただきたいと思っております!」と、奨励賞にふさわしく力強い言葉で受賞スピーチを締めくくり、祝福の拍手に包まれていました。
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受賞記念公演として行われたトークでは、新人賞受賞の落語家、春風亭一之輔さんと大賞受賞者の黒柳徹子さんの間に登場とあって、「緊張しています、とにかくしゃべらないと」と、浅草のこと、歌舞伎のことをたっぷり語りました。三代同時襲名で浅草のお練りをした8歳のときは、おもちゃ屋だけが気になっていたこと。20歳の誕生日を迎えた「初春花形歌舞伎」(平成5年)では、義経を勤めた『勧進帳』にちなんで同名の日本酒をいただいたこと。そのあたりの年頃から、歌舞伎が好きでどこまでできるか、気持ちを切り替えたこと…。
「これからも歌舞伎にこだわっていきたい。今まであった歌舞伎をきっちり受継ぐこと、そして、今までにない歌舞伎をつくること、その可能性を探ることもやっていきたい。歌舞伎を教える立場になりましたけど、役の気持ちや技術的なことはもちろん大事ですが、若い人にはこの役をやりたい、歌舞伎が好きだという気持ちを前に出し、それを一番にお客様に伝えるように、と言っています」。最後まで、今後に向けてますますの活躍が期待される、熱い言葉が並んだ授賞式でした。