猿之助、愛之助、中車、右近が語る「明治座 五月花形歌舞伎」

meijiza_0327.jpg

 5月2日(土)より始まる 「明治座 五月花形歌舞伎」に出演する、市川猿之助、片岡愛之助、市川中車、市川右近が、制作発表会見で公演に向けての思いを語りました。

 明治座の花形歌舞伎公演は平成23(2011)年から5年目を迎え、今回が7回目。「上演時間が短く、わかりやすく、あまり堅苦しくないものを」(猿之助)と、“明治座ならでは”のバラエティー豊かなラインナップとなりました。

昼の部は古典と次世代に残したい芝居
 幕開きは歌舞伎らしさが満喫できる歌舞伎十八番『矢の根』、五郎を勤める右近は、「一昨年は『鳴神』、昨年は『高時』と『暫』のパロディーと、明治座ではいつも目をむいているようですが…」と会場を沸かせ、「彩りのある明治座公演で、お客様に喜んでいただけるよう、その一端を懸命に勤めたい」と意気込みを見せました。

 昼の部のもう一本は、猿之助が平成22(2010)年5月御園座で加賀屋歌右衛門役を初演した『男の花道』です。「そのとき共演した竹三郎さんが、長谷川一夫先生直伝のテクニックを全部教えてくれました。どうしたら美しく見えるか、長谷川先生が考えに考えた芸談を、あまりやる方がいらっしゃらないので、次世代の壱太郎さんのような人たちに受け渡したいと思って、私が上演させていただきます」と、猿之助は意欲満々に語りました。

二人芝居の新歌舞伎と新作をつけての通し上演
 夜の部最初の『あんまと泥棒』は昭和26(1951年)、按摩秀の市役を八世中車(当時 八百蔵)、泥棒権太郎は三世段四郎でラジオ放送され、15年後、明治座にて十七世勘三郎と五世富十郎(当時 竹之丞)で初舞台化された新作歌舞伎です。今回は、九代目を継いだ中車と、段四郎の孫の猿之助が、初演以来の明治座で約半世紀ぶりに上演します。「せりふの分量からいって、絶対、権太郎だと思っていたのですが…」と中車が言えば、「映像の仕事ができる中車さんに合う芝居」と猿之助。

 「(歌舞伎座で出演したことのある)歌六さんから面白い、洒落ている芝居だよとうかがいました。二人で一からつくっていく気持ちでやります」と、猿之助が初役挑戦への意欲を見せると、中車は、「東京では猿之助さんと一緒の舞台は襲名以来。教えていただきながら舞台ができるので、次のステップとなるように」と、襲名から3年の感慨とともにさらなる精進を誓い、二人ともに、約45分に凝縮された濃密な二人芝居を楽しみにしている様子がうかがえました。

 そして、最後はスペクタクルで見せる『鯉つかみ』、明治座では2年ぶりに愛之助が熱演します。「今回は、なぜ、鯉が怒って怨みを持つに至ったかがわかるように、新たに大百足(むかで)退治の部分をつくります。それで、四役早替りと聞いていたのが、台本を見たら六役になっていて驚きました」とこぼしながらも楽しそうな笑顔。初夏とはいえ、本水での立廻りはつらいのではと聞かれ「温かい水にしたこともありますが、かえって湯冷めしてしまうので、水のまま、風邪をひかないように頑張ります」と、気合を入れました。

明治座でしか観られない芝居を
 「明治座は私の学び舎」と言い切る右近にとっては、昭和50年代、師の猿翁が数々の復活通し上演を成し遂げるのを、つぶさに見て勉強していた劇場。猿之助にとっては、いろいろな俳優や歌手が立つ、バラエティーに富んだ芝居ができる場所、だから、「明治座でしか見られない芝居を」と、どちらも劇場への思い入れの強さを見せました。

 中車は歌舞伎で明治座の舞台に立つのは初めてで、愛之助との共演も初めてです。「今は歌舞伎で頭がいっぱいいっぱい。資料映像を見て、よしやろう!と100%の意気込みです」と語り、初共演については中車と同じく愛之助も、「ほかの仕事での共演はありますが、歌舞伎ではなかなかご一緒できなかったので、楽しみです」と互いに今回の歌舞伎初共演に期待を寄せました。

 「明治座 五月花形歌舞伎」は5月2日(土)~26日(火)の公演、チケットは3月29日(日)より、チケットWeb松竹チケットホン松竹明治座ほかにて販売予定です。

2015/03/28