海老蔵が語る、通し狂言『壽三升景清』

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 新橋演舞場1月公演は、「初春花形歌舞伎」と銘打ち、通し狂言『壽三升景清(ことほいでみますかげきよ)』が上演されます。公演に先立ち、製作発表記者会見が行われ、市川海老蔵が公演への意気込みを語りました。

 歌舞伎十八番の復活に意欲的に取り組んでいる海老蔵が、景清の登場する四演目を一つの通し狂言として上演。中国の伝説上の武将である関羽の勇壮を得た景清(『関羽』)が、その無敵の力を示した(『鎌髭』)のち、都へ乗り込んで絶世の傾城である阿古屋をめとり、源氏随一の知恵者である重忠と対面(『景清』)、最後は御仏の世界に入って悟りの境地に至る(『解脱』)、というような物語が構想されています。

市川海老蔵 通し狂言『壽三升景清』

 「『雷神不動北山櫻(なるかみふどうきたやまざくら)』にも、『毛抜』『鳴神』『不動』と歌舞伎十八番が三演目入っています。これがヒントになりました。この三演目は単独でも上演される。同じように今回の四演目も、いずれは単独でも上演され、また、ほかの俳優さんにも演じてもらいたい」。これは、十八番を後世に残していきたいという強い意志の表れでもあります。

海老蔵がひきつけられた景清の魅力
 「力もある、才能もある、源氏の棟梁にもなれるような人物が、なぜ平家に生まれたのか。景清が死の間際に人生を走馬灯のように振り返ったとき、その欲望をすべてかなえた夢を見せてあげたい」と、自ら演じる景清に抱いてきた思いを語った海老蔵。景清の、現実とは異なるその夢の走馬灯を、「絵巻物的荒事として表現したい」と述べました。

 景清の隈取は正義を表す紅だけでなく、頬に一筋の青黛(せいたい)が入ります。それを「心の闇、心の影」ととらえた海老蔵は、「細かい心理描写を理解してくれる現代は、この青黛一本をどう表現するか、挑戦するのに絶好のタイミング」であると言います。「力があっても報われず、滅びていく」という現代に通じるテーマを見出し、その表現に心を砕きます。

父、團十郎の遺志も受け継いで
 「随分前に、父の演出で僕が景清を演じたいと言ったら、快く"そうですか"と言ってくださり...」。『外郎売』『象引』などの歌舞伎十八番を復活させてきた父、十二世團十郎に相談しながら、海老蔵は景清の物語を温めてきました。

 まさに今、その物語を具体化しようと構想が練られているところで、『景清』では重忠との男の達引(たてひき)や牢破りに続く荒事を見せるなど、演出方法も工夫し、歌舞伎の面白さ、魅力をたっぷり詰め込んだ作品になりそうです。

通し狂言『壽三升景清』

 新橋演舞場 「初春花形歌舞伎」は、2014年1月2日(木)~26日(日)の上演、チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹にて販売中です。

2013/11/26