仁左衛門が語る「七月大歌舞伎」

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 7月4日(木)に初日を迎える大阪松竹座「関西・歌舞伎を愛する会 第二十二回 七月大歌舞伎」の開幕を前に、「初めての方にも行ってみようかなと思っていただける公演にしたい」と意気込みを見せる片岡仁左衛門が、公演への熱い思いを語りました。

中村屋ゆかりの演目で十八世を偲ぶ
 「大阪には、中村屋(十八世勘三郎)と中座の頃から一緒にやってきた思い出があるので、今回は、気持ちのなかで彼を偲びつつ、公演成功を願っております」と、昨年末に急逝した故人に思いを馳せる仁左衛門。夜の部に出演する『一條大蔵譚』は、「十八代目勘三郎襲名のときに鬼次郎を初役で勤め(平成17年3月歌舞伎座)、昨年3月平成中村座の勘九郎襲名でも鬼次郎で出ました。...なんか、中村屋とつながっているんです」と、特別の思いで臨みます。

片岡仁左衛門

 最初に大蔵卿を演じたのは昭和50(1975)年12月御園座。「片岡十二集の一つでもあり、父(十三世仁左衛門)の指導のもとで演じ、再演のたびに練り上げてきました。今回は、播磨屋と松嶋屋、両方の型を取り入れた自分のやり方で演じ、省いていいところは省いてテンポアップします。お客様に観ていただくことが一番ですから」と話しました。

 大蔵卿については、「つくり阿呆と地のところの演じ分けが面白いし楽しい。でも、品のある阿呆でないといけないところが難しいですね」と言います。しかし、「あまりつくり上げないほうがいい。お客様に楽しんでもらえたらそれでいい」と、客席とのコミュニケーションを大切にしている様子をうかがわせました。

今のうちに踊っておきたかった『保名』

片岡仁左衛門

 仁左衛門が昼の部に出演する『保名』は、昭和61(1986)年3月歌舞伎座で勤めて以降4回目、関西では初披露となります。「六代目(菊五郎)の演出で、夢の世界を楽しんでいただけます。幕が下りたら"ああ、よかったね"と言ってもらえるように勤められるといいですね」。

 恋人を失った悲しみから正気を失ってしまう保名の幽玄の世界、見た目に美しい舞踊ですが、「体力的にきつい踊りで、技術でカバーできるものでもないので、今のうちに踊っておきたいと思って選びました。こう言いながら、10年後も踊っているかもしれませんけれど(笑)」。

 気がふれるほどの愛など、そう経験のあるものではないでしょうがと前置きしたうえで、「理屈やストーリーを度外視して、どれだけ楽しんでいただけるか。『保名』はその典型的な作品」と言い、関西のお客様の反応を楽しみにしているようでした。

 「関西・歌舞伎を愛する会」は今回で22回目。大阪で歌舞伎の興行が難しかった時代を経験している仁左衛門だけに、「十七代目勘三郎さんが(前身である<関西で歌舞伎を育てる会>の)第1回に出てくださったのが本当にありがたかった。当時の勘九郎君(十八世勘三郎)もよく出てくれた。そして、澤村藤十郎君が頑張ってくれた。中村屋と紀伊国屋とは切っても切れない公演です」と、最後は言葉では表しきれない感謝の気持ちで会見を締めくくりました。

 大阪松竹座「七月大歌舞伎」公演のチケットは6月5日(水)より、チケットWeb松竹チケットホン松竹で販売されます。

2013/05/30