歌舞伎座開場式が行われました
3月27日(水)・28日(木)、歌舞伎座で関係者を招いて「歌舞伎座開場式」が行われました。
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歌舞伎座開場式は両日にわたって4回開かれました。式の前には、座元である松竹株式会社から囃子方に大太鼓の撥が渡され、「一番太鼓」の響きによって、歌舞伎座の開場が告げられました。そして始まった開場式は、『寿式三番叟』の上演で幕を開けました。
歌舞伎では柿葺落興行の折、能楽の『翁(式三番)』を素材にした『寿式三番叟』を上演し、舞台を清めて開場を寿ぎ、祝祭空間をつくり上げてきました。第四期歌舞伎座でも、昭和26(1951)年1月3日の開場式で上演されています。今回の第五期歌舞伎座では、1回目に松本幸四郎の翁、中村梅玉の千歳、尾上菊五郎の三番叟という配役で『寿式三番叟』が披露され、演者が精進潔斎して臨むとされる厳かな一幕が終わると、場内は大きな祝福の拍手に包まれました。
新しい緞帳の紹介と休憩をはさんで、定式幕が開かれると、舞台上には歌舞伎俳優99名がずらりと緋毛氈の上に並び、新開場ご挨拶が始まりました。最初に、大谷信義松竹株式会社会長が「新しい歌舞伎座は、第四期歌舞伎座の時空間を受継ぎながら、現代ならではの技術の粋を集めた、まさに歌舞伎の殿堂の名に恥じることのない劇場になったと自負しております。歌舞伎座にいついつまでも絶大なるご声援を賜りますようお願い申し上げます」とご挨拶。
出演者を代表して坂田藤十郎日本俳優協会会長は、「どこの国民にも、世界に誇る舞台芸術を醸成し、後世に伝えるための劇場がなくてはなりません。そのような劇場はその国のあらゆる芸術、総合芸術の殿堂として、一国の文化を代表し、象徴するものでございます。歌舞伎座こそはそれにふさわしい」と讃えました。
さらに、歌舞伎座の座紋である鳳凰が不死鳥を思い起こさせることから、「第五期歌舞伎座は東日本大震災からの再生と復興を象徴する劇場であります。伝統を受け継ぎつつ、最先端の技術によって生まれた歌舞伎座。私たち俳優は、新たな歌舞伎の継承と創造の歴史を創っていく覚悟でございます」との決意を語って祝辞としました。
終わりに、迫本淳一松竹株式会社社長が、新開場に至るまでの多くの関係者へ深い感謝の念を述べ、門出の日を迎えられた喜びを「感無量の思い」と語りました。また、雀右衛門、芝翫、富十郎、勘三郎、團十郎に「晴れの舞台にお立ちいただけなかったこと」を惜しみつつ、「新しい劇場に歌舞伎の息吹を、そして魂をお入れするのが、劇場に携わる私どもの使命。新しい歌舞伎座で皆様のご期待にお応えすべく、俳優の皆様、そして、関係各位と手を携えて、最高の舞台をつくってまいる所存でございます」との力強い言葉で、謝辞を締めくくりました。
最後は尾上菊五郎日本俳優協会理事長の「新装なった歌舞伎座を祝しまして」との発声で、場内の皆様とともに「手締め」を行い、約1時間半にわたる開場式は終了しました。
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いよいよ歌舞伎座は、4月2日(火)に初日を迎えます。演目ほか4月の公演情報はこちらをご覧ください。