歌舞伎座の外観ライトアップが初点灯
2月14日(木)、新しい歌舞伎座で初となる外観ライトアップが行われ、9種類の照明デザインの一部が公開されました。(上の写真は夏の宵パターンの点灯、下は冬の宵パターンの点灯)
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午後6時、点灯と同時に歌舞伎座の白壁が輝きを放ち、屋根瓦がまるで舞台の大道具のようにくっきりと輪郭を浮かび上がらせると、夜道を急ぐ人も足を止め、銀座の新しいランドマークの誕生を見上げました。
365日変化するライトアップと「月明り」
世界で活躍する照明デザイナーの石井幹子氏と、石井リーサ明理氏、親子のコラボレーションが実現させた歌舞伎座の外観ライトアップは、「世界初の光を創る」ことがテーマでした。
「年間を通して移ろいゆく季節感を白色光のバリエーションで表現」するため、冬は暖白色、春と秋は温白色、夏は純白色と、3種類の白い光を使い分けます。さらに、一晩のなかで宵パターン(17:30~22:00頃)はフル点灯、夜パターン(22:00~1:30頃)はハーフ点灯、深夜パターン(1:30~5:30頃)は一部点灯と、3つの変化をつけます。これを、江戸時代の「不定時法」を再現し、日々変化する日の出と日の入りに合わせるため、1年を通すと、毎日違ったライトアップが行われることになります。
そして、背面の歌舞伎座タワー最上階、地上130mの高さからLEDが大屋根を照らし出す「月明り」。画期的な照明の効果に、第五期歌舞伎座の設計をした隈研吾氏も「第四期の歌舞伎座を取り戻すのが設計のテーマでしたが、光は取り戻した以上です」と、感激の面持ちで話しました。
日本人の繊細な感覚と最先端技術の融合
初めての全面点灯を終えて、幹子氏は「難しい照明設計をしてしまって...、デザインどおりに無事に点灯してほっとしています。皆さんが共感をもって見てくだされば」と安堵の表情を見せ、月明りの照明効果を案じていたというリーサ明理氏は「歴代の名優の皆さんが天国から歌舞伎座を見るための目印になるのではないか」と、もともと大の歌舞伎ファンというだけあって、思い入れも格別の様子で語りました。
隈氏は、「最先端の技術、最先端のデザインで、世界にこれほど凝った照明はない。白の壁をどのくらいの白に、どういう白で照らすか、日本人の色に対する、白に対する繊細な感覚を生かした照明。世界の劇場の話題になると思う」と、満足の意を表しました。
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歌舞伎座ではこの後、2月15日(金)~22日(金)の18:00~21:00にも、春秋の宵パターンでライトアップを行う予定です。お近くにお越しの際は、ぜひご覧ください。