菊五郎、時蔵、松緑、菊之助が語る「松竹大歌舞伎 東コース」
6月30日から全国25都市を巡る(社)全国公立文化施設協会主催 東コース 松竹大歌舞伎が始まります。演目は『義経千本桜』のうち、佐藤忠信にまつわる「鳥居前」「道行初音旅」「川連法眼館」を上演。公演に先立ち尾上菊五郎、中村時蔵、尾上松緑、尾上菊之助が意気込みを語りました。
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尾上菊五郎
東北にも縁のある源義経、静御前、佐藤忠信を中心に歌舞伎三大狂言の一つ『義経千本桜』を上演いたします。昨年は東日本大震災の影響で、東コースの巡業は中止になりましたので、その分も頑張り皆さんに喜んでいただきたいと思っています。今回は松緑、菊之助による忠信の交互出演に加え、義経や静なども若い俳優たちが中日交替で勤めます。お客様からは様々な配役を観ることができて楽しみというお声も頂いており、ぜひ2回、3回と劇場に足を運んでいただきたいと思っています。
巡業は団結力が強くなるという効果もありますし、お伺いする様々な土地で、来年再開場する歌舞伎座にぜひ来て下さいと宣伝をするにも効果があると思います。「歌舞伎は面白い、来年は新しい歌舞伎座にもぜひ観に行こう」というお客様が増えて下さればありがたいと思っています。
中村時蔵
今回は「吉野山」で静を勤めさせていただきます。菊五郎兄さんとは度々、舞踊をご一緒させていただいておりますが「吉野山」は初めてになります。「鳥居前」「川連法眼館の場(四の切)」では、私の息子梅枝と尾上右近さんが交替で静を勤めておりますので、その若手二人に負けないように勤めたいと思っています。巡業先の皆様に東京の劇場にも勝るとも劣らない素晴らしい舞台をご覧頂けるように、一所懸命勤めたいと思っております。
尾上松緑
今年2月御園座での新中納言知盛に続き、『義経千本桜』の大役佐藤忠信を菊之助さんとダブルキャストで勤めさせていただきます。一年のうちに、同じ狂言で二つの大役をさせていただけるというのはなかなか無い事で、非常に嬉しく思っています。「鳥居前」も「四の切」も久しぶりですので初役の気持ちで、お客様にはお芝居を見て元気になっていただき、劇場で夢を見ているような時を過ごしていただければ嬉しく思います。
尾上菊之助
今回初役で「鳥居前」と「四の切」の忠信を勤めさせていただくことになりました。曽祖父六代目(尾上)菊五郎から(二世尾上)松緑おじ様、そして父(菊五郎)へと伝えられてきたものを、松緑さんと共に昼夜で交互出演できて、本当に嬉しい気持ちです。忠信は歌舞伎を代表するお役の一つ、「四の切」では、親子の情愛を大切に、狐という生類でさえも情がある、そういう情けの気持ちを大切に勤めていきたいと思っています。