雀右衛門さんの葬儀告別式が行われました
2月29日(水)東京・青山葬儀所にて、23日に亡くなられた中村雀右衛門さん(本名:青木清治、享年91)の葬儀告別式が行われました。
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前日の28日には、同所で営まれた通夜に先立ち、ご遺体が建設中の歌舞伎座、松竹本社、そして新橋演舞場に立ち寄られ、新橋演舞場では稽古中の歌舞伎俳優や劇場関係者がそろってお見送りをしました。
通夜では、平成16(2004)年に文化勲章を受章した折に撮影された遺影が掲げられ、その勲章などとともに、何種類もの白花に覆われた祭壇には、親交のあった日本画家、片岡球子筆の揚巻の裲襠(うちかけ)が飾られました。
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29日の告別式は、夜半からの雪が降り積み、一面の雪景色のなか執り行われました。弔辞では日本俳優協会会長代行の坂田藤十郎が、自身の襲名披露公演で共演した『夕霧名残の正月』(平成17年12月南座)のときの思い出話を涙ながらに話し、「どうぞゆっくり休んでください」と惜別の念を込めてお別れを告げました。
喪主の挨拶に立った大谷友右衛門は、参列者への御礼とともに、「(雀右衛門さんの当り役の一つである『金閣寺』の)雪姫の、桜を降らせるわけにはまいりませんので、最後の舞台装置を考えて雪を降らせたのかなと思っております」と述べると、舞台の桜吹雪の中に美をたたえながら立つ、在りし日の雀右衛門さんの舞台姿が思い出されました。
また中村芝雀は、「父には芝居のことで怒られるばかりだったけれど、亡くなる前日に手を握り、目を見つめたときにやっと親子の情がつながったかなと思えました。安らかな顔で、落ち着きました」と話し、芸道に厳しかった故人を偲ばせました。
最後は雪が降り続く中の出棺となりましたが、最後のお別れを告げようと集まったファンから、「京屋!」の声がかり、孫の大谷廣太郎、大谷廣松、一門の弟子たちの手で送り出された雀右衛門さん。「今日は最期の舞台の千穐楽、次の舞台を目指して新しい稽古に入ると思います」との友右衛門の挨拶どおり、華やかで美しい歌舞伎女方としての幕を閉じられました。