仁左衛門、勘三郎が「平成中村座十一月大歌舞伎」への思いを語りました
2011年11月から翌2012年5月まで、浅草・隅田公園で開催される平成中村座歌舞伎公演。
その最初の公演となる「平成中村座 十一月大歌舞伎」の製作発表記者会見が行われ、片岡仁左衛門、中村勘三郎が公演への思いを語りました。
▼
片岡仁左衛門
勘三郎さんの東京で久しぶりの公演、また一緒の舞台に出演できる、今はその嬉しさで胸がいっぱいです。前回、浅草寺での2ヶ月間の中村座公演の際にも最初の月に出演させていただきましたが、今回の長期公演も最初の月に出させていただく、本当に嬉しい事です。
歌舞伎座のような大劇場も好きですが、今上演されている多くの狂言が生まれた時代の芝居小屋の雰囲気を残すのがこの中村座です。今回上演される義太夫狂言のようなお芝居は特に良くお客様に伝わると思います。足を運んでいただいたお客様に「ああ来て良かったね」と思っていただけるようなお芝居が出来るよう心掛けたいと思っています。
私は今年の6月に孫の千之助と『連獅子』を踊らせていただきましたが、いつか勘三郎さんと今年お産まれになった孫の七緒八君(中村勘太郎の長男)との『連獅子』をぜひ観てみたいと思っております(笑)。役者はお客様次第、また、お客様に喜んでいただくのも役者次第、役者が元気に舞台を勤められるのは何と言いましてもお客様の声援があってこそ。このお芝居を皆様に喜んでいただく事が、勘三郎さんにとりましても元気の素、是非多くのお客様にご覧頂きたいと思っています。
中村勘三郎
公私ともに親しくしていただいている仁左衛門のお兄さんがこのロングラン公演の皮切りに一緒に出て下さる、本当に心強く嬉しい限りです。以前出演して下さった時「格のある立派な良い小屋だね」と褒めて下さったことも嬉しかったですね。仁左衛門のお兄さんの『義経千本桜 渡海屋 大物浦』が中村座ならではの臨場感で観られる・・・私も今から楽しみにしています。
『沼津』で共演させていただきますが、初演の時から私が父親で、年上の仁左衛門のお兄さんが息子、歌舞伎ならではの配役です。芸の力で親子に見えますし、最後に2人で抱き合うところなんて本当に素晴らしい。私も大好きな芝居で、こういう古風な中村座にはピッタリの演目だと思います。『お祭り』は父(十七代目中村勘三郎)も病気をして復帰する際に出した演目です。せり上がってきて「待ってました」と客席から声が掛った時にもう泣いちゃった・・・私もそういう気持ちになるかもしれませんね。
演出によっては舞台の後ろを開けて外を見せるような事もありますが、スカイツリーが85%位見えるということですので、それも楽しみにしていただきたいと思いますし、隅田公園のすぐ横が江戸時代の芝居町「猿若町」ですから、7ヶ月間もまたそこに芝居小屋が建つというのもありがたい事だと思っています。来年の3月には中村座で息子の勘九郎襲名もできる、本当に嬉しく思います。