染五郎、亀治郎、勘太郎、七之助が意気込みを語りました~明治座五月花形歌舞伎
16年振り、明治座に歌舞伎登場!明治6年に歌舞伎の芝居小屋として誕生した明治座。現在の劇場が新装開場する際には、記念公演として2ヶ月連続で歌舞伎を上演するなど、歌舞伎とは縁の深い劇場です。16年ぶりの歌舞伎公演となる「明治座五月花形歌舞伎」、公演に先立ち、染五郎、亀治郎、勘太郎、七之助が意気込みを語りました。
▼
市川 染五郎
このたびの東日本大震災で被災された皆様へ、お悔やみお見舞いを申し上げます。3月私は新橋演舞場に出演しており、一時公演が中止にもなりました。そうした中で、自分なりに何が出来るかを考え、そして演劇、歌舞伎、自分の行っている事が人の役に立つものだということを信じ、改めてこれからも舞台に立ち続けていきたいと思っております。
今回の明治座五月花形歌舞伎は、ずらりと名作が並び、どれも古典のようにも感じられますが、実はどの作品も新しく進化しているものばかりです。『牡丹燈籠』は昔からある作品ですが、今回は戌井市郎先生の演出を基にしていますし、まだまだ進化し続けていけると思っています。新しい『牡丹燈籠』を皆様にご覧頂きます。
『義経千本桜 川連法眼館(四の切)』は澤瀉屋(猿之助)さんが新たに進化させた作品、『蝶の道行』も武智鉄二先生が新しくした作品、『高坏』も昭和に入ってからの作品です。我々は歌舞伎の将来に向けて責任ある興行を行う立場でもありますから、そういう意味でも、非常に楽しみな演目、座組だと思っています。ぜひ期待していただきたいです。
市川 亀治郎
明治座はおじの猿之助が四十八撰の殆どの作品を生み出してきた、澤瀉屋にとって新橋演舞場と並ぶホームグラウンドとも呼べる劇場です。毎年新作を発表していた頃は、連日、朝まで稽古をしていた事を懐かしく思い出します。その明治座で本公演では初演となる『四の切』を上演させていただくのは非常に感慨深いものがあります。
今回上演するにあたり、おじの猿之助からは様々なアドバイスを頂いています。おじが進化させた型を、僕の肉体を使ってやりたいという思いもあるようですし、僕もこの『四の切』を今からとても楽しみにしています。
中村 勘太郎
『恋飛脚大和往来 封印切』は坂田藤十郎のおじ様に教えていただこうと思っています。4月新橋演舞場で『封印切』を上演なさっているので拝見して参りましたが、劇場に流れるあの何とも言えない空気感は本当に素晴らしいです。忠兵衛が舞台に出てくるだけでその雰囲気や上方の匂いが伝えられなければ、お客様もスッと感情移入ができないと思います。やはり本舞台に行くまでの花道で全てが決まるのではないでしょうか。
夜の部の最後には『高坏』を勤めます。華やかな舞踊ですので、お客様に楽しい気持ちになって帰っていただけるように踊りたいと思っています。明治座には初めて出させていただきますが、新しい空間で芝居ができることがとても楽しみです。
中村 七之助
明治座は16年ぶりの出演です。そのときは『恋女房染分手綱』で三吉を勤めましたから、子役からこうして大役を沢山勤めさせてただけるようになり、とても有難く思っています。
『封印切』の梅川は何度か勤めさせていただいておりますが、初役の時の忠兵衛は隣にいる亀治郎さんでした(笑)。『牡丹燈籠』でご一緒する染五郎さんのお相手役は『大江戸りびんぐでっど』。歌舞伎座の建替え工事が始まってからは、色んな方と共演する夢が叶い嬉しいです。こうした機会に恵まれることは、女方として本当に有難いことだと思っています。稽古を重ね、自分なりの『牡丹燈籠』というものを作品の中に組み入れることができればと思っています。