『摂州合邦辻』ゆかりの地を尋ねて~日生歌舞伎通信Vol.2
12月日生劇場「十二月大歌舞伎」で上演される、通し狂言『摂州合邦辻』ゆかりの地を尋ねてみましょう。
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大阪府天王寺区、四天王寺西門から逢坂を西へ下ったところにあるお堂が、お芝居の舞台となる、合邦道心の庵室「閻魔堂」です。その左側を下へおりる小さな石段があるのが合邦が辻。この名を2つに分けて、父の名を合邦、娘をお辻(玉手御前)としたと伝えられています。
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『摂州合邦辻』には、河内国の城主高安左右衛門の息子俊徳丸が登場しますが、その名は四天王寺にゆかりの「俊徳丸伝説」に由来します。河内国高安に住む若く聡明な俊徳丸は隣村の蔭山長者の娘と恋に落ちますが、継母に憎まれた俊徳丸は失明させられ家から追放されてしまいます。その後四天王寺境内で物乞いをする身となりますが蔭山長者の娘と再会し、涙ながらに観音菩薩に祈願したところ、俊徳丸の病気が治り2人で幸せな人生を送ったと伝えられています。
俊徳丸が四天王寺に通った道筋が俊徳街道と言われています。四天王寺の西門で西に沈む夕日を拝み、西方浄土を偲んだと伝えられる俊徳丸、今も病気平癒を祈願するため、多くの方が閻魔堂を訪れています。
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通し狂言『摂州合邦辻』で玉手御前を勤める尾上菊之助が11月24日(水)13:05~13:55、NHK総合「スタジオパークからこんにちは」に出演します。その他、日生劇場「十二月大歌舞伎」関連テレビ情報はこちらをご覧ください。
2010/11/20