幸四郎弁慶がついに全国制覇達成
7月29日(木)、全国公立文化施設協会主催「松竹大歌舞伎」東コース茨城県土浦市・土浦市民会館での公演で、松本幸四郎が『勧進帳』の武蔵坊弁慶を全国47都道府県で上演するという偉業を達成しました。
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終演後にはカーテンコールが行われ、地元市民から花束を贈られた幸四郎は「16歳で初めて弁慶を演じ、以来52年かかりましたが、北海道から沖縄まで、47都道府県全てを『勧進帳』で巡演させていただく事になりました。猛暑や悪天候にもかかわらず、会場に足をお運び下さった全てのお客様のおかげと厚く御礼申し上げます」と挨拶を行うと、客席は大きな拍手と歓声に包まれました。
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続いて行われた取材会では「『勧進帳』にはたくさん思い出があります。父の亡くなった日に勤めた大阪の舞台で、お客様からおくられた温かい拍手、千回の記念公演では、奈良・東大寺大仏殿の前で上演させていただきました。旅に出ると人の心が優しくなるように感じます。『勧進帳』で47都道府県を周り、役者としてばかりでなく、人間としても思いがけない出会いやいろんな経験をさせていただきました。考えてみれば、『勧進帳』の弁慶も金剛杖を片手に、主君義経を護って旅をしていると言えますね。
このように全国を巡演できたことは、本当に信じられません。52年間様々な会場に来て下さったお客様お一人お一人に御礼が言いたい、ただただ感謝の気持ちで一杯です。これからも自分の思い、役者としての姿勢・心情を守り、諦めず、舞台を勤めていきたいと思っています。」と語り、得意の俳句で「国々を巡り終へたり夏芝居」「こし方の思ひを胸に夏芝居」と喜びを表しました。
2010/08/03