『NINAGAWA十二夜』ロンドン公演記者会見
2005年演劇界に新たな歴史を刻んだ、歌舞伎×シェイクスピア×蜷川幸雄コラボレーションによる 『NINAGAWA 十二夜』が、日英修好150周年となる2009年の3月に、シェイクスピアの本場であるロンドンで上演されることが決定しました。
そのロンドンバージョンが、同年6月東京・新橋演舞場、7月大阪・松竹座と連続で公演されることも決定。三都市での公演を前に記者会見が行われ、尾上菊五郎、尾上菊之助、演出家の蜷川幸雄が抱負を語りました。
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蜷川幸雄―――
3年前の初演で演出をさせて頂いた時は、まるで試験を受けるような気持ちでした。なんとか通ったかな・・・と思っていたら、今回ロンドン公演で追試をうける事になり、嬉しいような、不安なような、でも大丈夫だろうといった複雑な思いでいます。
初めて歌舞伎の演出をさせていただいたときから、この作品でロンドンに行きたいと思っていました。それが具体的になるとやはり緊張してまいりますし、実に厳しいハードルだと思っています。必ず成功し、皆がスタンディングオベーションに包まれることを願って頑張ります。
尾上菊五郎―――
日本では東京では2回、博多で1回、大変な反響を呼んだ公演です。6月の東京新橋演舞場、7月の大阪松竹座の国内公演はなんとかなると思っておりますが、ロンドンっ子に、菊五郎の江戸っ子の芸風が分かって頂けるのか、不安な気持ちを持っております(笑)。ですが、歌舞伎を背負って行く以上、一生懸命やってまいります。
海外ということもあって、ロンドンでは、アクションがオーバーになってしまうんじゃないかという気がしています。蜷川さんの演出の中で、少し大きな動きを付けてみようかなと思っています。
尾上菊之助―――
日英修好150周年という記念の年に、『NINAGAWA 十二夜』をロンドンで公演させていただきますこと、この上ない喜びです。
3年前の初演の時に、ロンドンに行けたらいいなと思ってはいましたが、正直なところ実現するとは思っておりませんでした。でも、公演を重ね、再演をすることで、作品がパワーアップして参りました。それは、蜷川先生の演出、父や父の元に集まってくださった先輩俳優の皆様や仲間の思い、なにより観に来てくださったお客様によって作品が育てられているからだと思っています。
そして前回再演の折、ロンドンのプロデューサーの方に、これはぜひロンドンで上演すべきだと強い後押しを頂くことが出来、今回の公演が実現することになりました。歌舞伎の美しさを伝えられるように、来年までに作品をもう一度練り直し、必ずロンドンの方に楽しんで頂けるように、努力して参りたいとおもっています。
今までの公演との違い―――
蜷川―――
ロンドンのバービカンセンターは、客席の勾配がきつく、花道を作ることができないので、今回は花道無しの演出になります。その他は基本的に変えるつもりはありません。上演時間はもう少し短くしようとおもっておりますが、今まで歌舞伎座・博多座で作り上げてきた形で、国際性が獲得できると思っています。
海外での公演について―――
菊之助―――
以前の海外公演でフランスにはうかがいましたが、ロンドンでの公演は初めてです。海外では、日本の時よりもバックグラウンドが無い分、1人の俳優としてさらに裸にされて観られているような気がします。ロンドンは文化も非常に刺激的ですので、街も楽しんできたいと思っています。
シェイクスピアの生まれ故郷での上演について―――
菊之助―――
イギリスでは必ず学校でシェイクスピアを勉強するほど、シェイクスピアの作品が大切にされているとうかがっています。古典の『十二夜』そのままではない、歌舞伎と組み合わされた『NINAGAWA 十二夜』によって、作品を良く知っていらっしゃるロンドンの方にも、新たな一面を再発見していただければと願っています。この作品を見ていただいて、どういう反応がおこるのか、“ドキドキ”する思いと“やるぞ”という気持ちが半分半分です(笑)。
舞台への意気込み―――
菊五郎―――
ロンドンでも、南極でも、芝居をする空間があれば、演じるのは役者の使命です(笑)。一生懸命やって参ります。
菊之助―――
2009年3月ロンドン、6月東京・新橋演舞場、7月大阪松竹座と、三都市を結ぶ公演。必ず皆様のご満足いただける作品にしたいと思っています。
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