右近・段治郎『ヤマトタケル』への意気込み
『ヤマトタケル』は1986年2月、市川猿之助によって初演され、それは“スーパー歌舞伎”という、今までになかったまったく新しい歌舞伎の伝説の始まりでもありました。
そして、猿之助が脚本・演出・主演を勤めた大作として公演開始と同時に話題と反響の嵐を巻き起こし、2005年までに延べ19ヶ月上演、703ステージ、実に90万人の感動を呼んでいます。
今回の再演は3月新橋演舞場を皮切りに、4月博多座、5月大阪松竹座、6月中日劇場と、4ヶ月4大都市での超ロングラン公演。さらに市川右近・市川段治郎のダブルキャストも大きな話題を呼んでいます。
3年ぶりに帰ってくる『ヤマトタケル』、新橋演舞場の初日をまえに、右近、段治郎が舞台への意気込みを語りました。
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市川右近―――
いよいよ明日が初日です。新たなスタートを切るため、師匠の猿之助にも稽古を見ていただいてきました。それが、明日からの舞台で評価されます。がんばっていきたいと思っています。
市川段治郎―――
明日から、東京、博多、大阪、名古屋と、4ヶ月間。終わる頃にはもう梅雨なんですね。これから長い旅が始まる…そういう気持ちでいっぱいです。
右近―――
毎日の舞台を充実させることも、もちろん大切ですが、このロングラン公演を乗り切り、最後まで元気に勤めるように体調管理をするのも、役者の芸のうちだと思っています。段治郎さんと助けあいながら勤めていきたいと思っています。
三年ぶりの上演、前回との違い―――
右近―――
師匠が演じていた時と比べて、3年前の演出では大幅なカットもありました。今回は、師匠がなさった形に戻していて、その分メッセージ性も強くなっていると思います。
3年前は初めて猿之助が出演しないスーパー歌舞伎でした。一門が一丸となって勤めた舞台が評価を得て、今回の再演につながっていると思っております。それに応えられるように、皆で力をあわせてがんばりたいと思っています。
段治郎―――
この3年間、我々澤瀉屋一門の一人一人が歌舞伎に限らず、様々なジャンルの仕事させていただいてきました。そこで得たものを我々の成功の証として感じていただけたらとても嬉しいですね。
前回と比べられることにあまりプレッシャーは感じませんが、今回の舞台は、さらに一段と昇華されたものでなければいけないと思っています。
2人のヤマトタケルの違い、見どころ―――
右近―――
ご覧の通り、段治郎さんとくらべると、小粒でピリリと辛いヤマトタケルをご披露申し上げます(笑)。
段治郎―――
私は若干若いヤマトタケルを(笑)。
3年前はあまり感じなかったのですが、今回は右近さんの色と私の色とが鮮明に違っているような気がするんです。ぜひ私と右近さん、味わいの違う二人のヤマトタケルを観ていただければと思っています。
右近―――
何しろ楽しい舞台です。歌舞伎に行きたいけれど、何かとっつき難いな、と思っている歌舞伎初心者の方々にもぜひご覧いただいて、歌舞伎の魅力に触れてていただければと思っております。
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