勘三郎『やじきた道中てれすこ』初日舞台挨拶
中村勘三郎46年ぶりの主演作として話題の映画『やじきた道中 てれすこ』。11月10日(土)公開初日の丸の内ピカデリー1で、勘三郎、柄本明、小泉今日子、平山秀幸監督が舞台挨拶を行いました。
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平山秀幸監督―――
8年ほど前、勘三郎さんや柄本さんと“弥次喜多のような映画がつくれるといいな”と話し、それからやっと今日初日を迎えることができました。
弥次さん喜多さんっていうのは、30~40年前の日本映画にはたくさんあって、あまり人生とか難しい事を語る映画ではなくて、どちらかというと“B面タイプ”。
そういう話を勘三郎さん、柄本さん、小泉さん、という超A級の俳優さんとできたというのは、ものすごく贅沢な事だと思っています。
中村勘三郎―――
去年の今頃、撮影をした2ヶ月間は、私にとってとても豊かな良い時間でした。今日は皆さんお金を払って観ていただいて・・・今まではキャンペーンだったので、ずっとタダのお客様で・・・本当にありがとうございます(笑)。
『幕末太陽傳』という映画が好きで、ああいうゆるい映画・・・ホンワカしていて何もないようで、実はあるという作品が今は無いよねって話をしていたら、監督から撮りたいから出てくれって(笑)。それで柄本さんと2人、弥次喜多みたいなものをってお願いしたんです。
この映画を好きだと言ってくださる方は、きっと暖かな方々だと思います。芝居でもそうなんですが、“ここが肝だ”っていう事を褒められると、とても嬉しくて。お客さまがそんな“肝”を見つけてくれたらうれしいですね。
柄本明―――
この映画はまだ、大井川までしか行っておりません。これから先の旅も続けていきたいと思うので・・・そのためには、皆さん家に帰ったら必ず宣伝してくださいね(笑)。
撮影中、「腰部脊柱間狭窄症」で入院になってしまって・・・10月2日に入院して、3日が映画のクランクイン。それで3日と5日に仕事をして、すぐ病院にもどって6日に手術して12日に退院。退院と同時に撮影所に行って撮ったのが“首つり”のシーン(笑)。見る前にこのことが情報として入っているともっと笑えるんじゃないでしょうか。
小泉今日子―――
映画って、こうしてお客様が入ってくださって、初めて完成って言えるのだと思います。本当にとっても嬉しい気持ちです。皆様の力で、京都まで私たちの旅を続けさせていただければと思っています(笑)。
撮影では、柄本さんの本当につらそうな顔をたくさん見ました(笑)。本当は心配なんですけど、なんか現場がその事でちょっと盛り上がって・・・がんばろうっていう気にさせていただきました。
勘三郎さんは、撮影の待ち時間も楽しそうにスタッフの方が働いている姿を眺めてていたり、若いスタッフの子に声をかけたりして、すごく楽しそうに過ごされていたので、なんだかこちらも嬉しくなりました。
私たちは、こういう喜劇には少し馴染みがない世代だと思うんです。そういう私でも、とても懐かしい気持になったり、日本っていいなって感じられる映画になっていると思います。
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