コクーン歌舞伎 音楽もサプライズ!

コクーン歌舞伎

 斬新な演出と感動的な舞台が魅力の「コクーン歌舞伎」が本年も渋谷の街に登場します。
 第八弾となる今回は、歌舞伎の名作者、河竹黙阿弥の代表作のひとつ『三人吉三』。この作品は2001年6月にコクーン歌舞伎第四弾として登場し好評を博しました。そして6年の年月を経て、いよいよシアターコクーンにスケールアップして帰ってきます。6日、初日を前に、出演者らが意気込みを語りました。

勘三郎―――
 前回とは大きく違うんですけど、一番の違いは、椎名林檎さんが曲をやってくれた事。凄くいい曲で、それで立廻もしたり。林檎さんの曲が最後のシーンでジーンとくる。やっぱり、音楽って一つの方向決めちゃいますね。


福助―――
 前回よりも、もっと内面を深く。橋之助と2人でのお坊とお嬢のくだりでは、特に監督からいろいろご注文も出て。厳しかった分、すごく心境を理解させていただいて、楽しい稽古でした。皆さんがどういうふうに受け取ってくださるか楽しみです。


橋之助―――
 コクーン歌舞伎で再演というと、『夏祭浪花鑑』『四谷怪談』『三人吉三』ですね。6年間、遠い昔のような、最近のような…1回目に『三人吉三』をやらせていただいた時よりも、監督はレベルを引き上げてくれて。コクーンでは初演のものも楽しいんですけど、やっぱり2回目をやる勇気っていうのも、とても面白いですよね。
 役者が楽しんで魂が燃えてないと、お客様にも喜んでいただけないと思いますし、今、ドキドキ・ワクワクしています。


亀蔵―――
 監督の求めるハードルが高めなんで、結構色々悩んだりして。でも、稽古では、壊したり作ったりの繰り返しで、ちょっとはレベルが上がればなぁ、と思ってます。


笹野高史―――
 橋之助さんがおっしゃったように、『夏祭浪花鑑』『四谷怪談』『三人吉三』(私は)再演が多いんですよね。再演に出るということは、何かを求められている訳で、前よりも「頼むよ!」みたいなことでしょ(笑)。ですから、ちょっといつも責任が重いんでございます。

勘太郎―――
 コクーンはやっぱり楽しいですね。再演なんですけれど、一からシナリオを作り上げていくっていう楽しさを味わえる空間です。
 今回、生まれて初めて出されたダメだしがありまして、「初々しく」って監督にいわれたんです。6年経って、やっぱり、悪い部分が一杯出てきたんだと…


七之助―――
『三人吉三』で初めてコクーン歌舞伎に出させていただんですが、その時は右も左も分からなくて、監督に手取り足とりで…皆に「うらやましい」って言われたぐらい。
 6年たって、今回は(兄と役が入れ替わり)“十三郎”じゃなくて“おとせ”ですが、役は変われどこの作品に出るということは、6年間を何してたのかなって問われているようで、気を引き締めてやらなくちゃいけないと思います。


串田和美―――
 6年前にこれをやってから、早く再演したいなとずっと思っていました。
 前回ドキドキしながらやっていたことが、この6年コクーン歌舞伎も色々変化して、今ではあらゆる実験をさせてもらえるようになり、時間がたったんだなぁと思います。
 江戸時代でも、こんな事をして作品毎に「お前ダメだね」とか、「大当り!」とかドキドキ作ったんでしょうね。
 椎名さんの音楽も、当時は富本の流行の曲や、その時の音楽を使った訳ですから、今“珍しいことをやろう”というより、“本来こうだったんじゃないかな”という事をやってる訳ですよね。


勘三郎―――
 (渋谷に)定着させていただいたのはありがたいですけど、まだまだこれからやりたいこと一杯あるし、最初全然認められなかったのが、やっと去年賞(第14回読売演劇大賞・最優秀演出家賞)をもらえたんだからね。そうやって、少しずつ認知していただいて、ニューヨークなんかにもこういう形で持って行けるようになったっていうのは、非常にありがたいです。みんなで一生懸命やるだけです。よろしくどうぞ!」

 椎名林檎書き下ろし曲「玉手箱」は、劇場に来たお客様だけの特典だという。コクーン歌舞伎ならではの人間ドラマ『三人吉三』、見逃せません。 
 公演情報は こちらをご覧ください。

コクーン歌舞伎

2007/06/08